第242話
第242話
レオニードは教室を見渡しながら続ける。
「大規模試験は一月後に筆記試験、その一週間後にダンジョン実習を行う」
生徒たちが静かに聞いている。
「ダンジョン実習についての詳細説明は筆記試験後だ。まずは筆記に集中しろ」
そして、少し呆れたように息を吐く。
「毎年のことだが、実技はできるのに筆記が壊滅的な奴が割といる」
何人かが視線を逸らした。
ガイウスも微妙に目を逸らしている。
レオニードは容赦なく続ける。
「それでSクラスから落ちる者もいる。まずは、しっかり勉強しろ」
教室に微妙な空気が流れた。
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その日の放課後。
ルシアン、フィアナ、テオドール、ノエル、ガイウスは療養中のレオンの部屋を訪れていた。
レオンは以前よりは回復している。
だが、まだ本調子には遠い。
ベッドに座っているだけでも少し辛そうだった。
「大規模試験かぁ……」
レオンが天井を見る。
「一ヶ月後なら動けるようになってるよな」
フィアナが静かに答える。
「おそらくは、ですが完全に元通りという保証はありません。今回は武闘大会の時よりも反動が大きすぎましたから」
レオンが苦笑する。
「やっぱ無茶しすぎたか」
ルシアンが静かに口を開く。
「レオン、オーバードライブは基本的に使用禁止です」
レオンがきょとんとする。
「なんでだ?」
ルシアンは淡々と答えた。
「使うたびに行動不能になるのでは、倒しきれなかった時に詰みます。先日の時のような絶体絶命の状況なら別ですが……」
ドラクス戦。あれは本当に使うしかなかった。
だが、常用する力ではない。
レオンも少し考え込み、頷く。
「……それもそうだな」
「わかった。なるべく使わないように心がけるよ」
ルシアンは静かに続ける。
「いまレオンに必要なのは基礎技術の向上です。あなたは強くなっています。ですが、まだ技術が未熟です」
レオンが少し不満そうな顔をする。
「そんなにか?」
その瞬間、ノエルが即答した。
「かなり力任せ」
テオドールも頷く。
「悪く言えばな、良く言えば勢いと才能で押し切ってる。実際、それで勝ててる部分も大きい」
ガイウスも腕を組む。
「でも確かに、レオンって感覚で戦ってるよな」
レオンがむっとする。
「お前に言われたくないんだけど」
「は?」
少しだけ空気が軽くなる。
だが、ルシアンは真面目なままだった。
「アレス先輩との戦い。そしてドラクスとの戦いで、少し見えたはずです。上へ行くほど、基礎技術の差が致命的になる」
アレスの圧倒的完成度、そしてドラクスやゼルキスなどの格上との戦い。
レオンは静かに目を伏せ、思い出す。
届かなかった剣、通じなかった力、悔しさ、無力感。
そして、それでも前へ進みたいと思った自分。
「……もっと強くなるよ」
小さく。
だが、確かな声だった。
ルシアンは静かに頷く。
「ええ、期待していますよ、勇者様」




