表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第5章 学園1年目 激動編
242/279

第241話

第241話


 合同遠征から数日。


 アーカディア学園は、未だ重い空気に包まれていた。


 例年行われているSクラス合同遠征。


 だが今年は違った。教員の死亡、上級生の死亡。そして、大量の負傷者。


 あまりにも被害が大きすぎた。


 廊下を歩く生徒たちもどこか静かだ。


 特にSクラスの空気は重い。


 実際に戦場を見た者たちほど、その現実を引きずっている。


 中には心が折れてしまった者もいた。


 合同遠征に参加したSクラス生徒のうち、何人かは自主退学。


 一年生だけでも五人。


 四天王の圧倒的な力、絶望的な戦力差。


 あれを見てなお立ち向かえる者ばかりではない。


 むしろ普通なら心が折れる。


 アーカディアに入学できるほどの才能を持っていても。


 現実はあまりにも過酷だった。



 一年Sクラス教室。


 空席が増えている。


 それが妙に現実感を与えていた。


 ガイウスがぽつりと呟く。


「……減ったな」


 誰も否定しない。


 ノエルも珍しく何も言わなかった。


 テオドールが静かに窓の外を見る。


「仕方ないとはいえ、重いな」


 ルシアンは目を閉じている。


 その隣、レオンの席は空いていた。


 まだ療養中、オーバードライブの反動。


 しかも今回は、武闘大会の時以上だった。


 ドラクス相手に限界を超えた力を無理やり引き出した。


 その代償は大きい。


 未だまともに動けない状態が続いていた。


 その時、教室の扉が開く。


 入ってきたのはレオニード。


 空気が少し引き締まる。


 レオニードは教室を見渡した。


 減った人数、沈んだ空気。


 当然気づいている。


 だが何も言わない。


 ただ静かに口を開いた。


「……近々、一年の総まとめとなる大規模試験を行う」


 空気が少し変わる。


「内容は二つ。筆記試験、そしてダンジョン実習だ」


 何人かが顔を上げる。


 レオニードは続けた。


「ダンジョン実習はパーティ単位で行う。数日かけて攻略を進めてもらう形になる。今回の結果によってはランキング変動、及びクラス替えもあり得る」


 ざわつく教室。


 レオニードは淡々と説明する。


「実習地はダンジョン都市アルディア、アーカディアから少し離れた位置に存在する都市だ」

「この都市には三つのダンジョンが存在している」


 ダンジョン。それだけで空気が少し変わる。


 冒険者にとって特別な場所。


 未知、財宝、危険。


 様々なものが眠る場所。


「どのダンジョンへ挑むかは自由。当然、難易度によって評価基準も変わる。また、今回は卒業間近の四年生三名と試験官二名が各班へ同行する」


 四年、つまりアレス世代。


 教室が少しざわつく。


 レオニードは最後に言った。


「今回の試験は、お前たちがこの一年で何を得たかを見る試験だ」


 その言葉が静かに響く。


 合同遠征、敗北、絶望。


 その全てを経て、自分たちは何を得たのか。


 試される時が近づいていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ