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果てなき世界  作者: 影川明空人
第5章 学園1年目 激動編
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第237話

第237話


 眩い光、浮遊感。そして次の瞬間。


 アレスたちは拠点へ転移していた。


「っ……!」


 ガイウスが膝をつく。限界だった。


 全身が痛い。盾は半壊し、腕も痺れている。


 カインは大剣を杖代わりに立っている状態。


 アルトも肩で息をしていた。


 アレスですら血塗れ。


 そして、レオンは未だまともに動けない。


「レオン!」


 先に撤退していたSクラスの生徒たちが駆け寄ってくる。


 レティシア、シャロン、リオルド。


 他の上級生たちも一斉に動く。


「回復班を呼べ!」


「担架!」


「重傷者優先だ!」


 騒然とする拠点。


 フィアナもすぐに回復魔法を展開する。


 だが、魔力が足りない。既に限界近い。


 クラリスが青い顔でルシアンを見る。


「ルシアン……これ……」


「ええ」


 ルシアンの表情は静かだった。


 だが、その瞳は冷えている。


(想像以上に動きが早い)


 四天王二人。


 さらにゼルキスまで。


 明らかに魔族側の本気度が違った。



 しばらくして、拠点へ新たな気配が戻ってくる。


 ボロボロのルミナス騎士団。


 そして、守護者エイル、ヨルド。


 さらに教員たち。


 全員満身創痍だった。


 ヨルドの腕には深い傷。


 エイルも服が裂け、血が滲んでいる。


 それを見た瞬間、周囲が静まり返る。


 守護者ですら、無傷では済まなかった。


 それほどの戦いだった。



 その後、拠点中央の大型テント。


 レオニード、守護者たち、ルミナス騎士団、教員。


 主要人物が集められる。


 当然、生徒は入れない。


 ……表向きは。


 少し離れた場所。


 ルシアンは静かに気配を消していた。


 盗み聞き。


 誰にも気づかれていない。


 テントの中では重い空気が流れていた。


 最初に口を開いたのはレオニード。


「……魔族側は撤退した」


 低い声。


「こちらも相応のダメージは与えている。痛み分け、と言ったところか」


 誰も安堵していない。


 今回の被害が大きすぎる。


 ヨルドが腕を組む。


「ドラクスは相変わらず化け物だった」


 エイルも静かに続ける。


「イリシアも厄介でした。しかも今回はゼルキスまでいた」


 その名前に空気がさらに重くなる。


 レオニードが険しい顔で問う。


「……被害は?」


 一瞬沈黙。


 そして、ルミナス騎士団側の人間が低く答えた。


「ルミナス騎士団に多数の死者。負傷者も多い」


 重い空気。


 さらに、アーカディア側の教員が続ける。


「アーカディアも……」

「撤退支援をしていた教員が一名死亡。生徒は…」


 一瞬詰まる。


「四年二名」

「三年二名」


 死亡。


 その言葉が静かに突き刺さる。


 ルシアンは無言のまま聞いていた。


 戦場。それが現実。


 力がなければ死ぬ。


 今回、それを嫌というほど見せつけられた。


 ヨルドが低く言う。


「……ボロボロのところ悪いが、すぐ移動する。追撃が来る可能性もゼロじゃない」


 エイルも頷く。


「長居は危険です」


 レオニードが立ち上がる。


「全員へ通達しろ。撤収準備開始だ」


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