第237話
第237話
眩い光、浮遊感。そして次の瞬間。
アレスたちは拠点へ転移していた。
「っ……!」
ガイウスが膝をつく。限界だった。
全身が痛い。盾は半壊し、腕も痺れている。
カインは大剣を杖代わりに立っている状態。
アルトも肩で息をしていた。
アレスですら血塗れ。
そして、レオンは未だまともに動けない。
「レオン!」
先に撤退していたSクラスの生徒たちが駆け寄ってくる。
レティシア、シャロン、リオルド。
他の上級生たちも一斉に動く。
「回復班を呼べ!」
「担架!」
「重傷者優先だ!」
騒然とする拠点。
フィアナもすぐに回復魔法を展開する。
だが、魔力が足りない。既に限界近い。
クラリスが青い顔でルシアンを見る。
「ルシアン……これ……」
「ええ」
ルシアンの表情は静かだった。
だが、その瞳は冷えている。
(想像以上に動きが早い)
四天王二人。
さらにゼルキスまで。
明らかに魔族側の本気度が違った。
⸻
しばらくして、拠点へ新たな気配が戻ってくる。
ボロボロのルミナス騎士団。
そして、守護者エイル、ヨルド。
さらに教員たち。
全員満身創痍だった。
ヨルドの腕には深い傷。
エイルも服が裂け、血が滲んでいる。
それを見た瞬間、周囲が静まり返る。
守護者ですら、無傷では済まなかった。
それほどの戦いだった。
⸻
その後、拠点中央の大型テント。
レオニード、守護者たち、ルミナス騎士団、教員。
主要人物が集められる。
当然、生徒は入れない。
……表向きは。
少し離れた場所。
ルシアンは静かに気配を消していた。
盗み聞き。
誰にも気づかれていない。
テントの中では重い空気が流れていた。
最初に口を開いたのはレオニード。
「……魔族側は撤退した」
低い声。
「こちらも相応のダメージは与えている。痛み分け、と言ったところか」
誰も安堵していない。
今回の被害が大きすぎる。
ヨルドが腕を組む。
「ドラクスは相変わらず化け物だった」
エイルも静かに続ける。
「イリシアも厄介でした。しかも今回はゼルキスまでいた」
その名前に空気がさらに重くなる。
レオニードが険しい顔で問う。
「……被害は?」
一瞬沈黙。
そして、ルミナス騎士団側の人間が低く答えた。
「ルミナス騎士団に多数の死者。負傷者も多い」
重い空気。
さらに、アーカディア側の教員が続ける。
「アーカディアも……」
「撤退支援をしていた教員が一名死亡。生徒は…」
一瞬詰まる。
「四年二名」
「三年二名」
死亡。
その言葉が静かに突き刺さる。
ルシアンは無言のまま聞いていた。
戦場。それが現実。
力がなければ死ぬ。
今回、それを嫌というほど見せつけられた。
ヨルドが低く言う。
「……ボロボロのところ悪いが、すぐ移動する。追撃が来る可能性もゼロじゃない」
エイルも頷く。
「長居は危険です」
レオニードが立ち上がる。
「全員へ通達しろ。撤収準備開始だ」




