表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第5章 学園1年目 激動編
234/279

第233話

第233話


 守護者ヨルド。


 その巨躯が戦場へ降り立った瞬間、空気そのものが変わった。


 ドラクスが楽しそうに笑う。


「いいなぁ!!」

「やっとまともなのが来た!!」


 対するヨルドは静かだった。


 ただ拳を握る。


 それだけで周囲の地面が軋む。


「ドラクス。ここから先へは行かせん」


「はっ!」


 次の瞬間、両者が激突した。


 轟音。


 地面が砕け、大気が震える。


 一撃だけで周囲の魔族と人類側が吹き飛ばされそうになる。


 レオンたちは言葉を失っていた。


 別格。本当に、今まで見てきた戦いとは次元が違う。


 ヨルドがドラクスの拳を正面から受け止める。


 ドラクスが笑う。


「最高だ!!」


 さらに拳を叩き込む。


 ヨルドも拳を振るう。


 山同士がぶつかっているような衝撃。


 もはや人の戦いではなかった。


 その中で、ヨルドが低く叫ぶ。


「アレス!!」


 アレスが即座に反応する。


「一年を逃がせ!!」

「もう他学年は撤退を始めている!!」

「ここは俺が止める!!」


 アレスは即座に判断した。


「……了解」


 この戦場に一年生を残していい状況ではない。


 アレスが振り返る。


「撤退する!」

「動ける者は負傷者を支えろ!」


 その声で一年生たちが動き出す。


 レオンはまだ立てない。


 オーバードライブの反動が大きすぎた。


 フィアナとガイウスが支える。


「悪い……」


「気にすんな!」


 ノエルとテオドールも周囲を警戒しながら撤退を始める。


 そこへ、複数の四年生たちが合流してきた。


「一年を囲め!!」


「先に下がらせる!」


 流石は上級生。


 この状況でも冷静だった。


 前衛、側面、後方。


 すぐに防御陣形が形成される。


 アレスは最後尾へ移動した。


 殿。最も危険な位置。


 だが、この場で最も適任でもある。



 撤退は順調だった。


 少なくとも、一瞬前までは。


 その時だった。


 ゾクリ、と。


 アレスの背筋に嫌な感覚が走る。


(――来る)


「止まれ!!」


 アレスが叫ぶ。


 直後、凄まじい斬撃が飛来した。


 狙いは最後方にいる勇者パーティ。


「っ!!」


 アレスが飛び込み、剣を振るう。


 轟音。


 衝撃。


 防いだ。


 だが、その衝撃で地面が崩壊する。


「なっ――!?」


 裂ける地面。


 土煙。


 一年生たちとアレスたちの間に巨大な亀裂が走った。


 完全な分断。


「アレス先輩!!」


 レオンたちの声。


 アレスは即座に周囲を見る。


 こちら側へ取り残されたのは。


 勇者パーティ。そして自分。


 他の四年生たちは反対側。


 アレスが即座に叫ぶ。


「先に行け!!一年を逃がせ!!」


「だけど――!」


「いいから行け!!」


 四年生たちは一瞬迷う。


 だが、すぐに判断した。


「……行くぞ!!」


 一年生たちを連れて離脱を開始する。


 アレスは剣を構えたまま前を見る。


 土煙の奥。そこから、ゆっくりと誰かが歩いてきた。


「いやぁ」

「ごめんごめん」


 軽い声。


 まるで遊びに来たような口調。


 現れたのは、一人の男。


 緩やかに天に伸びる角、赤い目、不気味な笑み。


 そして、底知れない魔力。


「本当は今回、俺は来る予定じゃなかったんだけどさぁ」

「面白そうだったから内緒でついてきちゃった」


 アレスの目が細まる。


 危険。


 本能が叫んでいる。


 男が楽しそうに周囲を見る。


「ドラクスとイリシアだけで十分だと思ったんだけどなぁ」

「勇者に興味あったんだよね」


 その視線が、倒れたレオンへ向く。


「……あれ?」

「倒れちゃってるの?」


 残念そうに肩を竦める。


 そして、ゆっくり周囲を見回した。


 ガイウス、ノエル、テオドール、フィアナ、アレス。


 そして最後に、一瞬だけ。


 ルシアンで視線が止まる。


 ほんの僅か。


 だが確かに。


 ルシアンは無表情のまま、その男を見る。


 男はすぐに笑った。


「じゃあしょうがないか。他の子たちで遊ぼうかな」


 四天王ゼルキス。


 その怪物が、静かに笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ