表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第5章 学園1年目 激動編
229/279

第228話

第228話


 戦闘が始まった。


 怒号、爆発、金属音、魔力の奔流。


 静かだった荒野は、一瞬で戦場へ変わる。


「前線維持!!」


「右側押されてるぞ!」


「魔術部隊、援護しろ!!」


 ルミナス騎士団の声が飛び交う。


 同時に、大量の魔族が姿を現していた。


 多い、明らかに多い。


 レオンが思わず目を見開く。


「なんだよこの数……!」


 遠征学習で見た魔族とは規模が違う。


 まるで軍勢だった。


 下級魔族、中級魔族、上級魔族。


 様々な種族が入り乱れ、人類側へ襲いかかってくる。


 テオドールが即座に状況を分析する。


「例年より明らかに多いな。しかも質も高い」


 通常の遠征でここまでの戦力は出てこない。


 少なくとも、一年が参加する区域では。


 だが今回は違った。


 ルシアンは静かに周囲を見渡す。


(SSクラスの気配も混ざっていますね)


 複数、しかも一体ではない。


 普通ではありえない戦力配置。


 明らかに魔族側も本気だった。


「来るぞ!」


 レオンが叫ぶ。


 最初に突っ込んできたのは、四足の大型魔族。


 Sランク相当の上級魔族。


 だが、まだ対処可能な範囲。


「ガァァァァ!!」


 魔族が飛びかかる。


 ガイウスが即座に前へ出た。


「おらぁ!!」


 大盾が激突。


 轟音。


 魔族の突進を真正面から止める。


「っ……重ぇ!!」


 それでも押し返した。


 そこへ、ノエルが風のように動く。


「遅い」


 一閃。


 喉を切り裂く。


 さらに、テオドールの魔法陣が展開。


「焼き払え」


 火炎が爆発。


 後方の中級魔族を吹き飛ばす。


 レオンも飛び出す。


「はぁぁ!!」


 火と光を纏った斬撃。


 魔族の腕を切断。


 フィアナの支援魔法が全体へ広がる。


「身体強化、魔力安定化を付与します!」


 連携が以前より遥かに完成されている。


 武闘大会、遠征学習、個人任務。


 その全てが力になっていた。


 そして何より、一年Sクラスは弱くない。


 普通なら、学生の域を超えている。


 上級魔族相手でも十分戦えていた。


 だが、それでも。


「……っ」


 レオンが思わず息を呑む。


 空気が違う。


 周囲で起きている戦いの規模が、自分たちとは別次元だった。


 遠く。


 第二隊が高速で戦場を駆け抜ける。


 シグルドが動く度、魔族が消し飛ぶ。


 見えない、速すぎる。


 さらに別方向。


 第四隊が中級魔族の群れを押し返していた。


 ヴァレインが大剣を振るう度に戦線が安定する。


 そして、さらに奥。


 とてつもない魔力衝突。


 ヨルドが巨大な魔族を正面から押し返していた。


 山同士がぶつかっているような衝撃。


 あれだけ離れていても地面が揺れる。


 レオンが歯を食いしばる。


(……これが)


 本物。本当の戦場。


 武闘大会とは違う。観客もいない、審判もいない。


 死ぬ、本当に簡単に。


 ガイウスが額の汗を拭う。


「なんか……」

「思ってたよりやばくねぇか……?」


 いつもの軽さが少し消えている。


 ノエルも珍しく真面目な顔だった。


「うるさい。でも同感」


 テオドールも小さく息を吐く。


「魔族側の圧が強すぎる。数も質も異常だ」


 ルシアンは静かに前方を見る。


(……まだ来ますね)


 嫌な予感。


 いや、確信に近い。


 これはまだ前座、本命は別にいる。



 その時だった。


 戦場の空気が変わる。


 突如、前線側から、とてつもない魔力の奔流が広がった。


 空気が軋み、地面が震える。


 ルミナス騎士団の騎士たちが一斉に表情を変えた。


「……来たか」


 シグルドが低く呟く。


 前線方向、大量の魔族の奥。


 そこに現れたのは、一人の女だった。


 長い蒼髪、冷え切ったような瞳。


 その周囲には、複数の強大な魔力反応。


 SSランク級。


 それも一体ではない。


 魔王軍四天王イリシア。


 その存在を見た瞬間、空気がさらに重くなる。


 イリシアは戦場を見渡し、静かに口を開いた。


「……興味深いですね。今年は例年以上に粒が良い」


 感情の薄い声。


 だが、その一言だけで前線の緊張感が跳ね上がった。


 ヴァレインが舌打ちする。


「四天王が直々に来るとか聞いてねぇぞ……!」


 シグルドも剣を抜く。


「総員、警戒を最大まで上げろ。SS級複数確認」


 騎士団の空気が一気に変わる。


 本物の最上位戦力。


 ついに現れた。



 そして、それとほぼ同時だった。


 一年生たちがいる後方区域。


 突如、空が陰る。


「……え?」


 レオンが反射的に顔を上げた。


 次の瞬間、空から巨大な“何か”が落ちてくる。


 轟音。


 大地が爆発した。土砂が舞い上がる。


 衝撃だけで一年生たちが吹き飛ばされそうになる。


「っ!?」


 ガイウスが咄嗟に盾を地面へ叩きつける。


 フィアナも防御魔法を展開。


 衝撃が収まった後、土煙の中心。


 そこに立っていたのは――


 巨大な魔族。筋肉の塊のような肉体に燃えるような赤髪。獣のような笑み。


 ただ立っているだけで空気が震える。


 ドラクス。魔王軍四天王。


 その男は、周囲を見渡して楽しそうに笑った。


「へぇ……」

「ガキがいっぱいじゃねぇか」


 その瞬間、一年Sクラス全員が理解した。


 今まで相手にしていた魔族とは、まるで違う。


度々で申し訳ないのですが、

投稿時間を0時、12時に戻します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ