第161話
第161話
リオルドが踏み込む。
拳が迫る。
速い。
だがレオンは半歩ずれて回避する。続けて剣を振るう。リオルドが体を捻って回避。すぐに距離を詰める。蹴り。レオンが剣で受ける。
衝撃が腕へ伝わる。
だが、崩れない。
先ほどまでのように押し込まれることもない。
観客席がざわめく。
「……対応してる」
「さっきまで押されてたのに」
リオルドの目が細くなる。
再び踏み込む。拳。レオンが横へ動く。回避。反撃。剣が閃く。リオルドが腕で弾く。続けて肘打ち。レオンが後退する。だがすぐに体勢を整える。
拮抗。
流れは変わっていた。
レオンが押されていた状況から、互角へと変わりつつある。
(見える……)
レオンは感じていた。
リオルドの動き。重心。筋肉の動き。次の攻撃が来る瞬間が、ほんのわずかに分かる。
完全ではない。
だが、それでも対応できる。
リオルドが連撃を繰り出す。拳、肘、蹴り。速い。だがレオンが捌く。完全ではないが、確実に対応していた。
ルシアンは静かに見ていた。
(……やはり)
魔族との戦いの時と同じ気配。レオンから微弱な神性を感じる。
(神の加護……)
未来を導くような感覚。レオンは気づいていない。ただ自然に動いているだけだった。
レオンが踏み込む。剣が閃く。リオルドが回避。だが体勢がわずかに崩れる。レオンがさらに踏み込む。
「光弾」
光が弾ける。
閃光。
リオルドの視界が白く染まる。
その瞬間、レオンが斬る。剣が腕に入る。浅い傷。それでも確実に届いた。
観客席が沸く。
「魔法!」
「レオン、押してる!」
リオルドが距離を取る。呼吸が荒い。だが笑う。
「……いいな」
再び踏み込む。拳。レオンが避ける。光。閃光。リオルドの動きが止まる。斬撃。今度は肩に入る。
レオンが攻める。連撃。剣が閃く。リオルドが後退する。
観客席がさらに沸く。
だが――
リオルドの表情が変わる。
次の瞬間。
空気が変わった。
リオルドの身体から魔力が溢れる。
筋肉が膨らむ。
踏み込み。
速い。
先ほどまでとは別次元の速さ。
「っ――!」
レオンが回避するが遅れる。拳が肩に直撃。衝撃。レオンが吹き飛ばされる。
観客席がどよめく。
「身体強化!」
リオルドが踏み込む。連撃。速い。重い。レオンが防ぐ。だが押される。
完全に流れが逆転する。
拳。蹴り。連撃。レオンが防戦一方になる。
拳が腹に入る。レオンがよろめく。さらに蹴り。レオンが剣で受ける。だが押し込まれる。
リオルドの身体強化が全開だった。
数十秒。
それでも圧倒的だった。
観客席が沸く。
「リオルド押してる!」
だが――
レオンの目は死んでいない。
(……速い……でも……)
見える。
拳の軌道。
レオンが半歩ずれる。回避。反撃。剣が閃く。リオルドが後退。
だが再び踏み込む。拳。レオンが防ぐ。押される。
リオルドの呼吸が荒くなる。
動きが鈍る。
限界。
身体強化の反動だった。
レオンが踏み込む。
「光弾!」
閃光。
リオルドの視界が白く染まる。
レオンが斬る。
深い。
リオルドが後退する。
レオンがさらに踏み込む。
連撃。
剣が閃く。
リオルドが防ぐ。だが遅い。疲労がある。
レオンが止まらない。
剣。
光。
連撃。
リオルドが押される。
観客席が最高潮に達する。
リオルドが最後に踏み込む。拳。レオンが避ける。反撃。
剣が喉元に止まる。
静寂。
勝負あり。
観客席が爆発する。
「レオンだ!」
「激戦だった!」
リオルドが息を吐く。
「……強いな」
レオンが剣を下ろす。呼吸が荒い。だが立っている。
ルシアンは静かに見ていた。
(……やはり神の加護)
レオンは気づいていない。ただ勝利を実感していた。
激戦の末――
レオンが勝利したのだった。




