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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章
161/180

第160話

第160話


 準々決勝第三試合。


 レオン対リオルド。


 観客席の空気が、これまでとは明らかに違っていた。


 グランヴェルの圧勝。

 ガイウスの泥試合。


それらを経て、観客の期待は自然とこの試合へ集まっていた。


 Sクラスの中でも注目される二人。


 レオンとリオルド。


 両者が闘技場へと上がる。


 レオンは剣を構える。


 対するリオルドは、いつも通り素手だった。


 軽く肩を回す。


 力みはない。


 だが――


 隙もない。


 観客席がざわめく。


「リオルドか……」


「近接は相当強いらしいぞ」


「でも相手はレオンだ」


 ルシアンは静かに見ていた。


(……厳しいですね)


 リオルドの近接技術はSクラスでもトップクラス。剣士であるレオンにとっても、距離を詰められれば厳しい相手だった。


 審判が手を上げる。


「――始め!」


 開始。


 次の瞬間――


 リオルドが動いた。


 速い。


 一気に距離を詰める。


「っ――!」


 レオンがとっさに剣を振るう。


 だが――


 空を切る。


 リオルドはすでに横へ回っていた。


 拳。


 レオンが剣で受ける。


 重い衝撃。


 続けて蹴り。


 レオンが後退する。


 リオルドが追う。


 連撃。


 速い。


 レオンが防ぐ、だが押される。


(……速い!)


 想像以上だった。


 リオルドの動きは無駄がない。間合いの詰め方、攻撃の繋ぎ、すべてが洗練されていた。


 拳、蹴り、肘。


 連撃が続く。


 レオンが防戦一方になる。


 観客席がざわめく。


「押されてる……」


「リオルド強いな」


 ルシアンは静かに見ていた。


(……やはり)


 予想通りだった。


 リオルドの近接技術はレオンを上回る。


 レオンが距離を取ろうとする。


 だが――


 リオルドが追う。


 距離を詰め、拳を振るう。


 レオンが受ける。


 衝撃で、腕が痺れる。


 続けて蹴り。


 レオンが後退する。


 完全に押されていた。


(……まずいな)


 レオンが呼吸を整える。


 再び踏み込む。


 剣を振るう。


 だが――


 リオルドが懐へ潜り込み、拳を放つ。


 レオンがとっさに避ける。


 だが掠める。


 観客席がどよめく。


 リオルドが止まらない。


 連撃。


 レオンが防ぐ。


 押される。


 防戦一方。


 ルシアンの目が細くなる。


(……厳しい)


 だが――


 レオンの動きが、わずかに変わる。


 リオルドの拳。


 レオンが半歩ずれる。


 回避。


 続く蹴り。


 剣で受ける。


 距離を取る。


 わずかだが、対応できている。


(……?)


 ルシアンが違和感を覚える。


 リオルドが再び踏み込む。


 速い。


 拳。


 だがレオンが避ける。


 続けて斬撃。


 リオルドが回避。


 レオンが距離を取る。


 少しずつ。


 だが確実に。


 対応し始めていた。


(……これは)


 ルシアンの目が細くなる。


 レオンの動きが自然だった。


 まるで――


 次の動きを予測しているかのような。


 リオルドが踏み込む。


 拳。


 レオンが避ける。


 蹴り。


 剣で受ける。


 反撃。


 リオルドが回避。


 拮抗。


 観客席がざわめく。


「対応してきた……」


「さすがレオン」


 だがルシアンは違った。


(……違う)


 ただの慣れではない。


 わずかだが、レオンの動きには予測のようなものがあった。


 そして――


 思い出す。


 魔族との戦い。


 あの時も似たような現象があった。


(……やはり)


 レオンから微弱な神性を感じる。


 ごくわずか。


 だが確かに存在する。


(神の加護……)


 ルシアンが内心で呟く。


 レオンは気づいていない。


 だが確実に、導かれている。


 リオルドが踏み込む。


 連撃。


 レオンが捌く。


 先ほどよりも明らかに対応できていた。


 剣が閃く。


 リオルドが避ける。


 距離を取る。


 リオルドの表情がわずかに変わる。


「……やるな」


 レオンが息を吐く。


「……速いな」


 再び構える。


 戦いは続く。


 だが――


 先ほどまでとは違う。


 レオンは確実に対応し始めていた。


 リオルドが踏み込む。


 拳。


 レオンが避ける。


 剣。


 リオルドが防ぐ。


 拮抗。


 観客席の熱気が高まる。


 レオンは押されながらも、徐々に対応していた。


 近接の怪物、リオルド。


 だが――


 レオンはその動きを読み始めていた。


 戦いは、さらに激しくなるのだった。


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