第151話
第151話
代表選抜の翌日。
武闘大会まで残り九日。
ルシアンは朝早くから訓練場へ向かっていた。
まだ人は少ない。
だが、すでに何人かの姿がある。
レオンとヴァルクが打ち合っていた。
剣と剣がぶつかる音が、朝の静かな空気に響く。
レオンが踏み込む。
以前よりも鋭い動きだった。
ヴァルクが受け流す。
反撃。
レオンが半歩下がり、すぐに踏み込み直す。
迷いが少ない。
遠征以降、レオンの動きは確実に変わっていた。
ルシアンは静かに観察する。
ガイウスも加わり、三人での鍛錬が始まる。
重い音が響く。
ガイウスが受け止める。
レオンが回り込む。
ヴァルクが追う。
短い攻防が続く。
その時――
「朝からやってるな」
声がする。
リオルドだった。
軽く手を上げて近づいてくる。
「俺も混ぜてくれ」
レオンが頷く。
「いいよ」
リオルドが前に出る。
構えは低い。
拳を軽く握る。
足運びは静かだった。
次の瞬間――
踏み込む。
速い。
一気に距離を詰める。
レオンが反応する。
拳が剣に当たる。
鈍い音。
だが、そのまま止まらない。
体を沈める。
レオンの死角へ回り込む。
膝。
低い攻撃。
レオンが後退する。
リオルドがすぐに距離を取る。
動きが軽く、無駄がない。
再び踏み込む。
今度はフェイント。
右拳。
だが途中で止める。
左の掌打。
レオンが剣で受ける。
短い攻防。
リオルドが下がる。
「……やっぱ強いな」
軽く笑う。
レオンも息を吐く。
「リオルドも速いな」
再び動く。
ヴァルクが加わる。
三人での鍛錬。
リオルドが横へ動く。
素早く間合いを詰める。
体の使い方が滑らかだった。
拳だけではない。
肘。
膝。
体当たり。
近距離での攻撃が多い。
ガイウスも加わる。
四人での鍛錬。
動きがさらに速くなる。
リオルドがガイウスへ踏み込む。
盾に拳を当てる。
すぐに引く。
回り込む。
足払い。
ガイウスが踏ん張る。
短い攻防。
リオルドが下がる。
ルシアンは静かに見ていた。
近接の技術は確かに高い。
無駄な動きが少ない。
体の使い方も洗練されている。
鍛錬の積み重ねが見える動きだった。
その時――
テオドールが来る。
「朝から熱心だな」
ノエルも加わる。
代表八人が徐々に揃っていく。
鍛錬は続く。
レオンの剣。
ガイウスの盾。
ヴァルクの斬撃。
リオルドの徒手空拳。
それぞれの戦い方が交差する。
武闘大会まで残り九日。
Sクラスの空気は、さらに研ぎ澄まされていく。
ルシアンは静かに目を細める。
それぞれが確実に強くなっている。
武闘大会。
戦いの舞台は、すぐそこまで迫っていた。




