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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章
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第147話

第147話


 魔族との戦闘を終えた後、一行はその場で状況の確認を行っていた。


 倒れた魔族の遺体を調べる。だが、特に目立った手がかりは見つからなかった。身につけている装備も簡素なものが多く、所属を特定できるようなものはない。


 それでも今回の調査結果としては十分だった。


 アルベインが静かに口を開く。


「今回の件ですが……」


 全員の視線が集まる。


「魔物の分布が変化していること」


「そして、魔物の強さが以前よりも上がっていること」


 剣士の男が頷く。


「ああ、間違いないな」


 弓使いの女性も続ける。


「この森で見たことのねぇ魔物もいたしな」


 レオンも頷く。


「そうですね。確かに少し強くなっているように感じました」


 アルベインが続ける。


「さらに……魔族の出現」


 その場の空気が引き締まる。


 上位の魔族が三体。


 しかも森の中で調査をしていた。


 偶然とは考えにくい。


 剣士の男が腕を組む。


「魔族もこの森を調べてたってことだろ」


「なら……」


 大柄な男が続ける。


「今回の異常は、魔族が関わってる可能性が高いな」


 ルシアンも静かに頷いた。


 断定はできない。


 だが状況証拠としては十分だった。


 アルベインがまとめる。


「報告としては、魔物の活性化と分布の変化を確認」


「さらに、森の中で複数の魔族と遭遇し戦闘になった」


「以上の点から、今回の異変は魔族が関与している可能性が高い」


 全員が頷いた。


 報告内容は決まった。


「では……帰還しましょう」


 アルベインが言う。


 一行は帰路についた。


 帰り道は行きよりも慎重だったが、大きな戦闘は起きなかった。魔物との小規模な戦闘はあったものの、全員の動きは明らかに洗練されていた。


 特にレオンの動きは、出発時よりも良くなっていた。


 魔物が飛びかかる。


 レオンが踏み込む。


 一閃。


 短時間で討伐。


 弓使いの女性が小さく口笛を吹く。


「……動き、良くなってるな」


 レオンが少し照れたように笑う。


「ありがとうございます。まだまだですが」


「さっきの戦いで何か掴んだんじゃねぇの」


「……そうかもしれません」


 ルシアンが静かに見ていた。


 確実に成長している。


 踏み込みが安定している。


 無駄な動きも減っている。


 戦いの経験が、確実にレオンを押し上げていた。


 休憩中――


 レオンが腰を下ろしながら息を吐く。


「……さっきの魔族、強かったな」


「ええ」


 ルシアンが答える。


「でも、何とか勝てたな」


「よく対応できていました」


 レオンが苦笑する。


「かなり助けられたけどな」


「補助は最低限です」


 ルシアンが静かに言う。


「最後に押し切ったのは、あなたの力です」


 レオンが少し黙る。


「……でも、まだ余裕はなかった」


「それでいいんです」


 ルシアンが答える。


「余裕のある戦いは成長しません」


 レオンが頷く。


「……なるほどな」


 少し考える。


「でも、前より戦いやすかった気がする」


「何か……動きが見える感じがした」


 ルシアンは静かに聞く。


「それが成長です」


 レオンが笑う。


「まだまだだけどな」


「ええ」


 ルシアンも頷く。


「ですが、確実に強くなっています」


 レオンが立ち上がる。


「よし……次も頑張るか」


 その後も帰路は続いた。


 途中で魔物と数度戦闘になったが、大きな問題は起きなかった。


 そして――


 アーカディアの城壁が見えてくる。


 任務は終了に近づいていた。


 今回の調査で得た情報は大きい。


 魔物の活性化。


 分布の変化。


 そして――魔族の存在。


 世界の情勢が、少しずつ動き始めていた。


 そして同時に――


 レオンもまた、確実に成長していた。


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