第147話
第147話
魔族との戦闘を終えた後、一行はその場で状況の確認を行っていた。
倒れた魔族の遺体を調べる。だが、特に目立った手がかりは見つからなかった。身につけている装備も簡素なものが多く、所属を特定できるようなものはない。
それでも今回の調査結果としては十分だった。
アルベインが静かに口を開く。
「今回の件ですが……」
全員の視線が集まる。
「魔物の分布が変化していること」
「そして、魔物の強さが以前よりも上がっていること」
剣士の男が頷く。
「ああ、間違いないな」
弓使いの女性も続ける。
「この森で見たことのねぇ魔物もいたしな」
レオンも頷く。
「そうですね。確かに少し強くなっているように感じました」
アルベインが続ける。
「さらに……魔族の出現」
その場の空気が引き締まる。
上位の魔族が三体。
しかも森の中で調査をしていた。
偶然とは考えにくい。
剣士の男が腕を組む。
「魔族もこの森を調べてたってことだろ」
「なら……」
大柄な男が続ける。
「今回の異常は、魔族が関わってる可能性が高いな」
ルシアンも静かに頷いた。
断定はできない。
だが状況証拠としては十分だった。
アルベインがまとめる。
「報告としては、魔物の活性化と分布の変化を確認」
「さらに、森の中で複数の魔族と遭遇し戦闘になった」
「以上の点から、今回の異変は魔族が関与している可能性が高い」
全員が頷いた。
報告内容は決まった。
「では……帰還しましょう」
アルベインが言う。
一行は帰路についた。
帰り道は行きよりも慎重だったが、大きな戦闘は起きなかった。魔物との小規模な戦闘はあったものの、全員の動きは明らかに洗練されていた。
特にレオンの動きは、出発時よりも良くなっていた。
魔物が飛びかかる。
レオンが踏み込む。
一閃。
短時間で討伐。
弓使いの女性が小さく口笛を吹く。
「……動き、良くなってるな」
レオンが少し照れたように笑う。
「ありがとうございます。まだまだですが」
「さっきの戦いで何か掴んだんじゃねぇの」
「……そうかもしれません」
ルシアンが静かに見ていた。
確実に成長している。
踏み込みが安定している。
無駄な動きも減っている。
戦いの経験が、確実にレオンを押し上げていた。
休憩中――
レオンが腰を下ろしながら息を吐く。
「……さっきの魔族、強かったな」
「ええ」
ルシアンが答える。
「でも、何とか勝てたな」
「よく対応できていました」
レオンが苦笑する。
「かなり助けられたけどな」
「補助は最低限です」
ルシアンが静かに言う。
「最後に押し切ったのは、あなたの力です」
レオンが少し黙る。
「……でも、まだ余裕はなかった」
「それでいいんです」
ルシアンが答える。
「余裕のある戦いは成長しません」
レオンが頷く。
「……なるほどな」
少し考える。
「でも、前より戦いやすかった気がする」
「何か……動きが見える感じがした」
ルシアンは静かに聞く。
「それが成長です」
レオンが笑う。
「まだまだだけどな」
「ええ」
ルシアンも頷く。
「ですが、確実に強くなっています」
レオンが立ち上がる。
「よし……次も頑張るか」
その後も帰路は続いた。
途中で魔物と数度戦闘になったが、大きな問題は起きなかった。
そして――
アーカディアの城壁が見えてくる。
任務は終了に近づいていた。
今回の調査で得た情報は大きい。
魔物の活性化。
分布の変化。
そして――魔族の存在。
世界の情勢が、少しずつ動き始めていた。
そして同時に――
レオンもまた、確実に成長していた。




