第143話
第143話
調査三日目。
朝の空気はやや重かった。
これまでの調査で、魔物の分布や数に変化があることはすでに確認されていた。だが、それがどの程度の異変なのかはまだ判断できていない。
アルベインが静かに言う。
「本日は実際に戦闘も行い、魔物の強さの変化も確認しましょう」
全員が頷く。
慎重に森を進む。
しばらく進んだところで――
複数の気配。
弓使いの女性が小さく言う。
「……来るぞ」
次の瞬間――
魔物が飛び出す。
ウルフ系の魔物。
三体。
通常ならBランク程度の魔物だった。
レオンが前に出る。
剣を構える。
魔物が突進。
レオンが迎え撃つ。
剣が交差する。
「……!」
レオンがわずかに驚く。
重い。
以前よりも力が強い。
しかも――
もう一体が側面から回り込む。
「レオン!」
剣士の男性が声を上げる。
レオンが体を捻る。
ぎりぎりで回避。
すぐに踏み込み。
一体を斬る。
だが――
残り二体の動きも速い。
以前よりも連携が取れているような動きだった。
剣士の男性が前に出る。
二人で連携。
ようやく討伐。
戦闘終了。
弓使いの女性が矢を番えたまま呟く。
「……ちょっと強くなってねぇか?」
剣士の男性も頷く。
「ああ……動きも速い」
アルベインが静かに言う。
「通常よりも反応が鋭いですね」
ルシアンは無言で観察していた。
(単純な力だけではありませんね……)
(動きも洗練されています)
その後も数度戦闘が発生。
いずれも通常よりやや強い個体だった。
昼。
休憩を取る。
レオンが息を吐く。
「……確かに、ちょっと強いな」
ルシアンが静かに言う。
「レオン」
「ん?」
「剣の振りが少し大きいです」
レオンが少し考える。
「そうか?」
「ええ」
「振りが大きいと隙が生まれます」
「もう少し最小限で」
レオンが頷く。
「分かった。意識してみる」
ルシアンが続ける。
「あと、踏み込みが甘い」
「距離を詰める時は一気に」
「迷いがあると反撃を受けます」
レオンが笑う。
「なるほどな」
「やってみる」
午後の調査。
再び戦闘。
今度は四体。
レオンが前に出る。
踏み込み、一気に距離を詰める。
剣を振るう。
一体。
すぐに次へ。
以前よりも動きが鋭い。
魔物の攻撃を最小限の動きで回避。
反撃。
二体目。
ルシアンが静かに見る。
(……成長が早いですね)
戦闘終了。
弓使いの女性が言う。
「さっきより動き良くなったな」
レオンが笑う。
「ならよかった」
四日目。
さらに奥へ進む。
今度はAランクの魔物。
大型のベア系魔物だった。
レオンが前に出る。
魔物が咆哮。
突進。
レオンが受ける。
「……っ!」
押される。
通常よりも力が強い。
剣士の男性がすぐに援護。
弓使いの女性の矢が飛ぶ。
少し苦戦するが――
討伐成功。
レオンが息を吐く。
「……やっぱり強くなってるな」
アルベインが静かに言う。
「ええ」
「間違いなさそうです」
全員が同意する。
異変は――確実に起きていた。




