第139話
第139話
三日間の休養が終わった。
久しぶりの授業日。Sクラスの教室には、再び全員が集まっていた。遠征前と比べると、どこか空気が変わっている。静かな緊張感のようなものが漂っていた。
やがて――
教室の扉が開く。
レオニードが入ってくる。
いつも通りの無駄のない動きだった。
全員の視線が自然と集まる。
レオニードが教卓の前に立つ。
「……全員揃っているな」
短く確認する。
静かな空気が教室を包む。
「まずは遠征、ご苦労だった」
それだけの言葉。
だが――
それはレオニードなりの労いだった。
「今回の遠征で得た経験は大きい」
「特に戦闘経験は今後に大きく影響する」
短く言う。
そして――
「だが」
空気が引き締まる。
「遠征が終わったばかりだが――」
「ひと月後、武闘大会がある」
ざわめきは起きない。
だが、全員が意識を向ける。
武闘大会。
Sクラスにとって、極めて重要な行事だった。
「武闘大会は個人戦」
「そして――」
少し間を置く。
「成績はランキングに大きく影響する」
その言葉の意味は重い。
Sクラスの順位。
それは実力の証明でもある。
そして――将来にも関わる。
「遠征で成長した者もいるだろう」
「だが、他の者も同じだ」
「油断するな」
静かな声だった。
だが、強い言葉だった。
「各自、しっかり準備して臨め」
「以上だ」
短い言葉。
だが、それだけで十分だった。
教室の空気が変わる。
武闘大会。
残り一ヶ月。
全員の意識がそこへ向かう。
ルシアンは静かに考える。
武闘大会。
順位。
実力の確認。
そして――
周囲の実力を把握する良い機会でもある。
「……ちょうどいいですね」
小さく呟く。
この一ヶ月。
確実に動きが変わる。
鍛錬。
対戦。
実力の向上。
Sクラス全体の実力が上がる。
そして――
武闘大会。
その舞台で、全員の実力が明らかになる。
ルシアンは静かに目を細める。
準備期間は――
すでに始まっていた。




