第129話
第129話
黒皮のオーガを倒した直後、レオンはすぐに顔を上げた。
まだ終わっていない。
遠くで重い衝撃音が響いている。フリードと残る二体の黒皮のオーガの戦闘音だった。
「行こう」
短い言葉だったが、全員がすぐに動いた。ガイウスが剣を握り直し、ノエルはすでに前へと走り出す。テオドールは魔法陣を準備し、フィアナはルシアンの様子を確認する。
「……動けますか?」
フィアナが小さく聞く。
ルシアンは息を整えながら頷いた。
「はい。問題ありません」
まだ痛みはある。だが、戦闘に支障はない。フィアナの回復が間に合っていた。
レオン班はすぐにフリードの元へ向かった。
数十秒ほどで戦闘の様子が見える位置に出る。フリードが二体の黒皮のオーガと対峙していた。ミレイの支援が入っているが、それでも押し切れない。フリードが剣を振るい、肩を斬る。しかし、黒皮のオーガの傷はゆっくりと塞がっていく。もう一体が横から拳を振るう。フリードが回避し、距離を取る。
消耗が見える。
レオンが踏み込む。
「フリード先輩!」
フリードが一瞬だけ視線を向けた。
「……一体倒したか」
「はい!」
フリードが小さく頷く。
「なら――」
剣を構える。
「ちょっと耐えてくれればいい」
その瞬間、フリードの魔力が膨れ上がる。踏み込む速度が一気に上がる。黒皮のオーガの懐へと入り込み、剣を振るう。深い斬撃が入る。黒皮のオーガが唸る。
さらに踏み込む。
連撃。
黒皮のオーガが押し込まれる。
「レオン!」
フリードが叫ぶ。
「もう一体を頼む!」
「分かりました!」
レオンたちは残る黒皮のオーガへ向かう。
黒皮のオーガが踏み込む。拳が振り下ろされる。レオンが回避する。そのまま踏み込み、斬撃。黒皮のオーガが腕で受けるが、深く斬れる。
ガイウスが前に出る。盾で押し込む。黒皮のオーガの体勢が崩れる。ノエルが死角から刺す。脇腹に深く入る。
テオドールが雷撃を放つ。雷が黒皮のオーガを包む。
だが――倒れない。
黒皮のオーガが唸り、拳を振るう。ガイウスが盾で受ける。衝撃で後退する。
「重い……!」
レオンが踏み込む。連撃。黒皮のオーガが後退する。だが傷が再生していく。
「再生が……」
テオドールが眉を寄せる。
レオンがさらに踏み込む。剣を振るう。黒皮のオーガが腕を振るう。レオンが受けるが、衝撃で後退する。
その時――
祝福の光が弱まる。
レオンの動きがわずかに鈍る。
「……っ」
さらに身体強化も弱まり始める。呼吸が荒くなる。疲労が一気に戻ってくる。
黒皮のオーガが踏み込む。拳が振るわれる。レオンが受けるが、弾き飛ばされる。
「レオン!」
ガイウスが前に出る。盾で受ける。だが押し込まれる。ノエルが飛び込む。だが反撃で吹き飛ばされる。
テオドールが雷撃を放つ。動きが止まるが、すぐに再生する。
押され始める。
その時――
ルシアンが前に出た。
風魔法。
拳の軌道を逸らす。
地魔法。
足元を崩す。
黒皮のオーガの動きが鈍る。
ルシアンが中衛として動く。前衛のカバー、後衛の防御、魔法での攻撃。戦線が立て直される。
レオンが呼吸を整える。
再び踏み込む。
斬撃。
ノエルが追撃。
ガイウスが押し込む。
テオドールが雷撃。
削れる。
だが、まだ倒れない。
その時――
別の轟音が響く。
フリードが一体を斬り伏せていた。
巨体が崩れ落ちる。
フリードが振り返る。
「待たせた」
踏み込む。
黒皮のオーガへ一直線に向かう。
レオンが道を開ける。
フリードが斬り込む。
深い斬撃。
黒皮のオーガがよろめく。
レオンが踏み込む。
ガイウスが押し込む。
ノエルが刺す。
テオドールが雷撃。
総攻撃。
フリードが最後に剣を振り下ろす。
深い斬撃。
黒皮のオーガが崩れ落ちた。
静寂が訪れる。
三体のSランク。
すべて撃破。
長い戦いが、ようやく終わった。




