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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章 学園1年目
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第128話

第128話


 祝福の光がレオンを包み込む。


 身体の奥から力が湧き上がる。疲労が軽くなり、鈍っていた感覚が研ぎ澄まされる。先ほどまで重く感じていた剣が、まるで羽のように軽い。視界も広がり、黒皮のオーガの動きがはっきりと見える。


 勇者の身体強化に加え、聖女の祝福。二つの力が重なり、レオンの魔力は一気に膨れ上がった。


 黒皮のオーガが唸り声を上げる。再び踏み込む。拳が振り下ろされる。


 レオンが動いた。


 速い。


 拳を紙一重で回避する。そのまま踏み込み、剣を振るう。斬撃が腕を深く切り裂く。黒皮のオーガが初めて明確に苦悶の声を上げた。


 しかし、傷がゆっくりと閉じていく。再生能力。だが、先ほどよりも再生が遅い。


「再生が……遅くなってる……!」


 テオドールが気づく。


 レオンが踏み込む。


「押し切るぞ!」


 連撃。黒皮のオーガが後退する。そこへノエルが飛び込む。死角から短剣を突き立てる。脇腹に深く刺さる。


 黒皮のオーガが腕を振るう。ノエルがすぐに離脱する。


 ガイウスが前に出る。盾で押し込む。黒皮のオーガの体勢が崩れる。


「今だ!」


 テオドールが雷撃を放つ。雷が黒皮のオーガを包む。動きが鈍る。


 レオンが踏み込む。


 剣が閃く。


 さらに深く斬り裂く。


 黒皮のオーガが後退する。


 連携が噛み合い始めていた。レオンの覚醒により、全員の動きが一段階引き上げられている。


 一方――


 フィアナはルシアンの元へ駆け寄っていた。


「ルシアン……!」


 膝をつき、回復魔法を展開する。光がルシアンの傷を包み込む。裂けた傷口がゆっくりと塞がっていく。


 フィアナの呼吸は荒い。祝福を発動し、さらに回復魔法を使っている。魔力の消耗は激しい。


「私たちが……不甲斐ないあまりに……」


 フィアナの声が震える。


「ごめんなさい……」


 ルシアンが小さく息を吐く。


「……大丈夫ですよ」


 弱々しいが、穏やかな声だった。


「私はこうして生きていますし……問題ありません」


 フィアナが顔を上げる。


 ルシアンは小さく微笑んだ。


「それに……祝福も使えたじゃないですか」


 フィアナの目が揺れる。


「よかったです」


 ルシアンが静かに言う。


「あとちょっとです。がんばりましょう」


 フィアナが強く頷く。


「……はい」


 回復魔法をさらに重ねる。ルシアンの呼吸が少し落ち着く。完全ではないが、戦える程度には回復していた。


 その間も、レオンたちは押し込んでいた。


 黒皮のオーガが拳を振るう。レオンが回避する。ガイウスが盾で押し返す。ノエルが斬る。テオドールが雷撃。


 再生が追いつかない。


 レオンが踏み込む。


 剣が閃く。


 黒皮のオーガがよろめく。


「いける!」


 ガイウスが叫ぶ。


 ノエルが飛び込む。短剣が喉元に突き刺さる。黒皮のオーガが苦悶の声を上げる。


 テオドールが雷撃を重ねる。


 動きが止まる。


 レオンが最後に踏み込む。


「終わりだ!」


 一閃。


 深く斬り裂く。


 黒皮のオーガが崩れ落ちた。


 地面が震える。


 撃破。


 レオンが息を吐く。身体強化の光がまだ残っている。


 だが――まだ終わっていない。


 フリードの戦闘音が響いている。


 残る二体。


 だが――


 レオンの目には、もう迷いはなかった。


「行こう」


 レオンが言う。


 全員が頷く。


 戦いは、まだ続く。


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