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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章 学園1年目
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第127話

第127話


 黒皮のオーガ二体と対峙するフリードは、わずかに眉をひそめていた。

 剣を振るう。黒皮のオーガの腕を斬り裂く。だが深くは入らない。分厚い皮膚と筋肉が斬撃を鈍らせる。


 ミレイがすぐに支援魔法を重ねる。フリードの身体能力が底上げされる。フリードが踏み込む。一体を押し込む。だが、もう一体が横から拳を振るう。フリードが受け流すが体勢が崩れる。


 攻め切れない。


(……二体は厄介だな)


 一体なら押し込める。ミレイの支援があれば、時間はかかるが倒すことも可能だろう。だが二体同時となると違う。どうしても守勢に回るしかない。


 フリードが再び斬りつける。黒皮のオーガの肩が裂ける。血が流れる。だが、その傷がゆっくりと閉じていく。


 フリードの目がわずかに細まる。


(再生……か)


 微量だが確実に再生している。ただでさえ硬い個体に再生能力まである。削っても削っても倒しきれない。


 黒皮のオーガが同時に踏み込む。拳が振るわれる。フリードが回避し、反撃する。だが決定打にならない。ミレイが支援魔法を維持し続けているが、それでも押し切れない。


 フリードが小さく息を吐いた。


(……悔しいが)


 自分とミレイだけでは、この二体を倒すのは難しい。持ち堪えることはできる。だが勝てない。


 フリードが一瞬だけレオンたちへ視線を向ける。


「……頼むぞ、一年ども」


 小さく呟く。

 そして再び、二体の黒皮のオーガへ向き直った。


 一方――残る一体の黒皮のオーガがレオン班へ迫る。巨体が踏み込み、地面が揺れる。拳が振り下ろされる。


「来るぞ!」


 ガイウスが前に出る。盾を構える。轟音。衝撃がガイウスを襲う。


「っ……!」


 足元が沈む。圧倒的な膂力だった。

 レオンが横から斬り込む。剣が腕を捉える。だが浅い。


「硬い……!」


 ノエルが死角から飛び込む。短剣を突き立てる。だが深く入らない。黒皮のオーガが腕を振るう。


「……っ!」


 ノエルが吹き飛ばされ、地面を転がる。フィアナがすぐに回復魔法を送る。ノエルが立ち上がるが、動きが鈍い。


 テオドールが雷撃を放つ。だが動きが止まったのは一瞬だった。黒皮のオーガが踏み込む。


 ガイウスが受ける。衝撃。盾ごと弾き飛ばされ、ガイウスが転がる。


 黒皮のオーガの視線がレオンへ向く。踏み込む。速い。レオンが剣を構えるが遅れる。


 拳が振り下ろされる。ルシアンが風魔法を撃つ。だが完全には逸れない。レオンが受ける。衝撃。さらに追撃。横から拳が振り抜かれる。


 避けきれない。


 その瞬間――


 ルシアンが踏み込んだ。


 レオンの前に出る。


 拳が直撃する。


 鈍い音。


「……っ!」


 ルシアンの身体が弾き飛ばされる。木に叩きつけられ、地面に崩れ落ちる。血が飛び散る。


「ルシアン!」


 レオンの声が響く。


 ルシアンの肩から胸にかけて深い傷が走る。呼吸が荒い。立ち上がれない。


 レオンの胸の奥で怒りが爆発する。


 守られた。


 まただ。


 自分が弱いから。


「……っ!」


 魔力が溢れる。空気が震える。光がレオンの身体を包む。


 勇者の身体強化。


 レオンが踏み込む。速い。黒皮のオーガが拳を振るう。回避。斬撃。深く斬り裂く。黒皮のオーガが後退する。


 さらに連撃。黒皮のオーガが押される。


 フィアナがルシアンを見る。血が流れている。守れなかった悔しさが溢れる。


 光がフィアナを包む。


 祝福。


「レオン!」


 光がレオンを包む。身体強化がさらに強まる。疲労が軽減される。微量回復。耐性上昇。


 レオンの魔力がさらに増す。


 レオンが踏み込む。剣が閃く。黒皮のオーガが大きくよろめく。


 戦況が――変わった。


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