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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章 学園1年目
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第116話

第116話 


 遠征学習まで、あと数日。


 Sクラスの生徒たちはそれぞれ準備を進めていた。


 訓練場では、いつもよりも実戦を意識した動きが増えている。装備の確認、連携の確認、魔法の調整。空気はどこか引き締まっていた。


 レオンとガイウスが打ち合っている。


 盾と剣のぶつかる音が響く。


 レオンが踏み込む。


 だが、やや大きい動きだった。


 ガイウスが盾で受ける。


「……少し踏み込みが大きいな」


 ガイウスが言う。


「分かってる」


 レオンが答える。


 だが動きはまだ荒い。


 少し離れた場所で、ルシアンが静かに見ていた。


 そして、何気なく口を開く。


「……盾役がいる場合、無理に踏み込む必要はありません」


 自然な声だった。


 レオンが少し考える。


「……確かに」


 次の動き。


 レオンが踏み込みを抑える。


 ガイウスが頷く。


「今の方がいいな」


 ルシアンはそれ以上言わない。


 ただ静かに剣を振り始める。


 その近くでテオドールが魔法の調整をしていた。


「移動用の補助魔法を試している」


 短く言う。


「長距離移動では消耗が問題になる」


 理論的だった。


 ルシアンは軽く頷く。


「持続時間はどの程度ですか」


「約三時間」


 テオドールが答える。


 ルシアンは少し考える。


「交代で使用すれば効率が良さそうですね」


 テオドールがわずかに目を細める。


「……そうだな」


 自然なやり取りだった。


 フィアナは光の魔法の調整をしていた。防御の展開。精度を上げている。


 ルシアンが静かに言う。


「移動中の奇襲を想定するなら、展開速度も重要ですね」


 フィアナが静かに頷く。


「……そうですね」


 再び魔法を展開する。


 速度が少し上がる。


 ノエルは高い場所に立ち、周囲を見ていた。索敵の練習だろう。


 ルシアンが何気なく言う。


「……遠征では地形の確認も重要になります」


 ノエルがわずかに視線を向ける。


「……分かってる」


 短い言葉。


 だが、その後の視線の動きが変わる。


 より広く観察するようになった。


 レオンが小さく笑う。


「……自然にアドバイスしてるな」


 ルシアンは首を振る。


「気づいたことを言っただけです」


 それだけだった。


 だが――


 全員の動きが少しずつ良くなっていた。


(……悪くない)


 ルシアンは静かに剣を振る。


 遠征まで、あと数日。


 六人は静かに準備を進めていた。


 まだ完全なパーティではない。


 だが――


 少しずつ、まとまり始めていた。


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