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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章
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第114話

第114話


 入学から二ヶ月が経った。


 Sクラスの空気は、すでに落ち着いていた。最初の緊張感は消え、それぞれの立ち位置も少しずつ見えてきていた。


 戦闘授業、魔法理論、実技訓練。Sクラスの授業は厳しく、密度も高い。だが、生徒たちは着実に成長していた。


 ルシアンは窓際の席から教室を見渡す。


 レオンがガイウスと話している。何か戦闘の話のようだった。身振りを交えながら説明している。


 フィアナは静かに本を読んでいる。魔法書だった。相変わらず表情は変わらない。


 テオドールはノートに何かを書き込んでいる。魔法理論の整理でもしているのだろう。


 ノエルは窓際に立ち、外を見ていた。誰とも話さないが、以前よりも教室に馴染んでいた。


 ルシアンは静かにその様子を見ていた。


(……悪くない)


 関係は悪くない。むしろ良好だった。


 レオンがルシアンに気づく。


「ルシアン」


 声をかける。


「今度の遠征、もうすぐだな」


 ルシアンは頷く。


「そうですね」


 ガイウスが笑う。


「楽しみだな」


 テオドールが顔を上げる。


「実地での戦闘は貴重だ」


 ノエルが小さく言う。


「……面倒」


 だが、否定はしていない。


 フィアナが静かに言う。


「一週間でしたね」


「パーティ単位で行動と聞いています」


 レオンが頷く。


「そうらしいな」


 少し間が空く。


 ガイウスが言う。


「どんな課題になるんだろうな」


 テオドールが答える。


「恐らく討伐や調査だろう」


 理論的な推測だった。


 ルシアンは静かに聞いていた。


(……実地訓練)


 学園の外。


 危険もある。


 だが――


 ちょうどいい。


 実力を見るには。


 その時、教室の扉が開く。


 レオニードが入ってくる。


 教室の空気が引き締まる。


「席に着け」


 短い声。


 全員が動く。


 レオニードが周囲を見渡す。


「遠征学習について説明する」


 その言葉に、教室の空気が変わる。


 いよいよ――


 遠征学習が、始まろうとしていた。


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