表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章 学園1年目
111/180

第110話

第110話


 レオンが一気に踏み込む。


 速い。


 地面を蹴る音が鋭く響く。


 一直線にフィアナへと迫る。


 だがフィアナは動じない。静かなまま、光の魔力を展開する。瞬時に形成された光の障壁が、レオンの一撃を受け止めた。


 鈍い衝突音。


 レオンはそのまま押し込む。力任せの一撃だった。障壁がわずかに揺れる。


 だがフィアナの表情は変わらない。


 杖を構え、剣の軌道をわずかに逸らす。


 レオンはすぐに体勢を立て直し、連撃を仕掛ける。速い。反応もいい。だが――


(荒い)


 ルシアンは静かに見ていた。


 踏み込みが強い。攻撃も鋭い。だが無駄が多い。重心の移動が大きく、次の動作にわずかな遅れが出る。


 フィアナはその隙を逃さない。


 光の魔法が足元に展開される。


 地面がわずかに光る。


 レオンの足が一瞬止まる。


 それでも無理に踏み込む。力で押し切ろうとする。


 フィアナは下がる。


 距離を取りながら、光の弾を放つ。


 レオンは剣で弾く。


 だがその瞬間、体勢が崩れる。


 フィアナが動いた。


 静かな踏み込み。


 杖が伸びる。


 喉元へと突きつけられる。


 止まる。


 レオンは動けない。


 ほんの一瞬。


 だが勝負は決していた。


「……そこまで」


 レオニードの声が響く。


 フィアナが杖を下ろす。


 レオンが息を吐く。


「……やられた」


「勝者、フィアナ」


 淡々とした宣言。


 周囲がわずかにざわつく。


 レオンは苦笑した。


「まだ荒いな、俺」


 フィアナは静かに首を振る。


「速いです」


 短い言葉。


 だが、それだけだった。


 レオンは少し笑う。


「ありがとう」


 フィアナはそれ以上言わない。静かに元の位置へ戻る。


 ルシアンはその様子を見ていた。


(……才能はある)


 動きは荒い。だが反応は速い。踏み込みの速度も悪くない。戦い慣れすれば、さらに強くなる。


(勇者らしいな)


 直線的で、迷いがない。未完成だが、伸びる。


 その横でテオドールが小さく呟く。


「攻めは悪くない。だが隙が多すぎる」


 冷静な評価だった。


 ノエルが小さく息を吐く。


「……でも嫌いじゃない」


 テオドールがわずかに視線を向ける。


 ノエルは戦いを見たまま続ける。


「雑だけど、前に出るのは強い」


「……ああいうのは、強くなる」


 珍しく肯定的だった。


 テオドールは何も言わない。


 だが否定はしなかった。


 レオンが戻ってくる。


 ガイウスが笑う。


「惜しかったな」


「いや、まだ差がある」


 素直な言葉だった。


 悔しさはある。


 だが落ち込んではいない。


 すでに次を見ている。


 レオニードが再び口を開く。


「次」


 名前が呼ばれる。


 次の戦闘が始まる。


 ルシアンは静かにそれを見ていた。


(……面白い)


 Sクラス。


 それぞれの実力が、少しずつ見え始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ