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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章
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第109話

第109話 


 実戦訓練場。


 広い空間に、Sクラスの生徒たちが集まっていた。


 地面にはいくつかの区画が作られている。結界が張られ、模擬戦用に整備された場所だった。


 レオニードが前に立つ。


「これから実戦形式で戦ってもらう」


 淡々とした声。


「目的は実力の確認だ」


 周囲の空気が引き締まる。


「順に組ませる」


 視線が生徒たちをなぞる。


 名前が呼ばれていく。


 何組かの模擬戦が始まる。


 Sクラスらしく、どれも高い水準だった。


 ルシアンは静かにそれを見ていた。


(……悪くない)


 まだ全力ではない。


 だが、基礎はしっかりしている。


 その時だった。


「次、レオン」


 レオンが前に出る。


「……はい」


「相手は――フィアナ」


 一人の少女が前に出る。


 長い髪。静かな表情。感情の起伏がほとんど見えない。


 フィアナだった。


 フィアナは軽く頭を下げる。


「よろしくお願いします」


 静かな声だった。


 レオンも頷く。


「……よろしく」


 二人が距離を取る。


「始め」


 レオニードの合図。


 レオンが踏み込む。


 速い。


 だがフィアナは落ち着いている。


 光の魔力が展開された。


 光の障壁。


 レオンの一撃が受け止められる。


 ルシアンは静かに見ていた。


 レオンが連撃を仕掛ける。


 だがフィアナは崩れない。


 無駄のない防御。


 光の魔法で攻撃を逸らし、距離が詰まれば杖で対応する。


 フィアナの手には細身の杖があった。


 レオンの剣を受け流す。


 だが――


(近接はそこまでではない)


 ルシアンは判断する。


 杖術は正確だが、攻めには向かない。


 だが守りは硬い。


 光の魔法と杖術。


 防御に徹した戦い方だった。


 戦いは続く。


 レオンが踏み込む。


 フィアナが迎撃する。


 攻めきれない。


 その横から声がした。


「なるほどな」


 メガネの少年が立っていた。


 テオドールだった。


「レオンの攻めは悪くない。だがフィアナの防御が効率的すぎる」


「無駄がない」


 ルシアンは視線を向ける。


 テオドールが軽く視線を返す。


「テオドールだ」


「ルシアンです」


 短いやり取り。


 テオドールは再び戦いへ視線を戻す。


「フィアナは単体の攻撃力は高くない。だが守りは優秀だ」


「パーティ戦ならかなり厄介になる」


 その時だった。


「……よく喋るのね」


 低い声。


 振り向くと、一人の少女が立っていた。


 長い耳。


 エルフだった。


 ノエル。


 腕を組み、静かに戦いを見ている。


「……初対面なのに、ずいぶん分析してる」


 どこか皮肉めいた声。


 テオドールは眉をわずかに動かす。


「見れば分かるだろう」


 淡々と答える。


 ノエルは小さく息を吐く。


「そういうの、好きじゃない」


 短い言葉。


 テオドールがわずかに眉を寄せる。


「……非効率だな」


 静かな声だったが、はっきりしていた。


 ノエルの目が細くなる。


「何が?」


「感覚だけで判断することだ」


 淡々とした口調。


「戦闘は分析と判断の積み重ねだ」


 ノエルはわずかに笑った。


 だが、その笑みは冷たい。


「……そう」


「じゃあ全部計算して戦えばいい」


「そうできるならね」


 一瞬、空気が張る。


 ルシアンは静かに二人を見る。


(……相性が悪そうだな)


 理論型と直感型。


 さらにノエルの性格もある。


 自然にぶつかる組み合わせだった。


 ノエルはルシアンに視線を向ける。


「あなたも、そういうタイプ?」


 ルシアンは静かに答える。


「観察しているだけです」


 ノエルは小さく笑う。


「……そう」


 それ以上は言わない。


 だが、その目はルシアンを見ていた。


 どこか警戒するような視線だった。


 その時、模擬戦が動く。


 レオンが一気に踏み込む。


 フィアナが光の魔法で迎撃する。


 そして――


 勝負が決まろうとしていた。


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