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真・土俵の鬼達〜師匠に捧げる白星(ホワイトスター)〜  作者: 佐久間五十六


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第128話 令和19年秋場所②

持ち前の立ち合いの馬力の強さでコシは連勝を重ねた。優勝レースを引っ張り怪我の不安もほぼ消えて行った。優勝する事は横綱の責務であると常々言ってそれを体現して来た越乃海であったが、近年は黒星や休場も徐々に増えて来ていた。それだけに優勝する事でそれを払拭する事を目指していた。かつてのライバル力士達はもう引退し、年寄株を得て後進の指導に当たっている。そう遠くない将来自分もそうなる事を感じていた。既に今場所の優勝は決まっていたが、千秋楽結びの一番で横綱武蔵山と対戦した。もろはずからの激しい突っ張りの武蔵山に対して、ぶちかましからの激しい突っ張りで攻めるコシ。何とか右回しを掴み右寄つになると一気に寄り切った。二場所連続53回目の優勝を全勝で決めた。


「越乃海はやっぱつえーな。」

「まだまだやれるじゃん。」

「は、はい。」

「パパ!」

「ご家族の前で優勝出来てひとしおですね?」

「はい。」

「足の怪我は完治して完全復活って感じですか?」

「はい。まぁ力士には怪我はつきものですから。」

「最近はいつもこれが最後の優勝だと思って優勝しています。」

「コシ関おめでとうございます!」

「ありがとうございました。」

さて、帰るかと思った越乃海にファンから粋な計らいがあった。

「通算1200勝おめでとうございます。」

「あ、え?ありがとうございます。」

「自分はそんな事考えてもみなかったよ。」

「大記録には違いないな。」

「これで名実ともに史上最強の力士ですね?」

「は、はい。まだ実感はわいていませんが。」

「これからも良い相撲を見せて下さいね。」

「はい。本日はありがとうございました。」

「って感じでパパ、ファンの人から花束を貰ってめっちゃ驚いていたのがウケた。」

「見てたのかよ竜一?」

「竜二と竜三はママと売店でショッピング。」

「へぇそう。何買ったの?」

「そりゃ越乃海グッズでしょ?」

「もう山程あるじゃん。」

「パパは分かっていないな。場所毎にいろんな新しいグッズが生まれているんだよ。」

「そっか。」

「地方場所だと行けないからさ。買い込むの。」

「そのうち買えなくなるからな。」

「え?それどう言う意味?」

「また怪我したら長期離脱で進退がかかる場所になるじゃん?」

「パパは強いからもう5年はやれるよ。」

「5年?」

「あ、ごめん。もっと長かった?」

「いや大意はない。」

「あの元横綱白鵬を上回るなんて、パパ本当に凄いよ!」

「まぁ、その時代にいたらどうなってたかは分からないけどな。」

「そんな事無いよ。パパの方が絶対に強い。」

「さ、話の続きは家でな。」


「ただいま!」

「あら、おかえり。竜一?パパとどこで油売ってたの?さ、サッサとお風呂入ってしまいなさい。」

「はーい。」

「あなた夕食は?」

「あぁ。でもこれから部屋で優勝記念の立食会があってな。」

「いらないってことね?」

「帰ったら食べる。だって今日はカレーライスでしょ?」

「何で分かったの?」

「匂い凄いよ。笑」


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