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真・土俵の鬼達〜師匠に捧げる白星(ホワイトスター)〜  作者: 佐久間五十六


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第127話 令和19年秋場所①

横綱70場所目のコシは先場所後からガッツリ稽古を重ね体を絞って来た。155kgまで絞って来たが夏バテもする事はなかった。

「コシ?お前少し痩せたか?」

「はい。筋肉を落とさないギリギリまで痩せました。」

「足への負担を考えてか?」

「それもありますがスピードや判断を早くしたくて。」

「ちゃんとちゃんこは食べろよ?」

「はい。」

なんだかすったもんだしている内に場所入りした。29歳になったコシは最早若手ではない。ベテランに近い風格が出て来ていた。初日、サポーターを外しテーピングだけで挑んだ小結東岩あずまいわ戦。ここは格の違いを見せつけて完勝。突き押しに加えて足がよくついて行った形となった。その後も場所前の猛稽古が功を奏したのか体がよく動いていて右足アキレス腱以外は絶好調であった。中日給金直しで破竹の8連勝。今のコシに死角はほぼ無かった。追うのは中村、山中、武蔵山の3横綱と、他5人が7勝1敗で中日を折り返した。と、コシには追い風が吹いていた。


「パパおかえり!」

「今日の相撲見てくれたか?」

「見た見た。パパ珍しく寄り切りだったね。」

「え?そうなの?」

「自分の取り組みの決まり手でしょ?」

「勝つ時はアドレナリン全開だからな。頭は真っ白なんだ。」

「とにかく勝てて良かったね?」

「あぁ。ママ?そう言えば最近しのぶさん見ないけどどうしたの?」

「もう辞めて1年経つじゃない?何よ今さら?」

「挨拶とか全然出来なくて。」

「相撲馬鹿で年から年中相撲ばかり考えて何言ってんのよ?」

「しのぶさんには大金はたいてお世話になったけど、もう三つ子も大きくなったし、私の手も余るようになって来たからお手伝いさんは要らなくなったの。」

「そうなんだ。でも辞めてもらうなら前もって言って欲しかったよ。」

「ごめんなさい。私も気付けなくて。」

「まぁ、現役の横綱なんだし仕方無いか…。」

「場所が終わったら、家族で飯でも行くか?」

「はぁ?余計なお金使わないようにって約束したばかりじゃん?」

「どうせ俺の稼ぎなんだし良いじゃん?家族サービスだよ。」

「ママ?僕外食よりパパが食べてるちゃんこ食べたい。」

「竜二!この年から将来を見据えるなんて感心だな。」

「僕も!」

「俺も!」

「竜二だけなんてズルいよ!」

「そうだよ。」

「いいか?まだ誰も良いとは言ってないからな。まぁ親方に相談してみるが。」

「親方に無理強いはさせないでね?」

「あぁ…。だが俺は親方から信頼感が在るから大丈夫!断られた試しはない。安心しろ。」

「それマジ?じゃあもう勝確じゃん?」

「まぁとりあえず優勝してからな。」

「パパ頼むよ!」

「あぁ、それがパパの仕事だ。」


と、まぁ親方の懐が緩むのは優勝後の2〜3日だ。お願いするならそこがリミッターであった。まぁ、小学生3人の食う飯の量など力士1人分くらいだろう。相撲の伝統を継承して行く意味でも未来ある少年3人に部屋のちゃんこ を振る舞う事に意味のあるものであろう。ちゃんこ長にお願いしておけば、それで済む話なのだが、一応親方の許可はマストであった。

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