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真・土俵の鬼達〜師匠に捧げる白星(ホワイトスター)〜  作者: 佐久間五十六


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第126話 令和19年名古屋場所②

怪我の功名なのか、コシの調子はすこぶる良かった。自分の理想とする馬力あるぶちかましからの強烈な突き押しで白星を重ねていった。とは言え、元々は別格の実力のある横綱だが病み上がり。そこまで爆発はしないだろうと言う大方の予想を上回るコシの強さには光るものがあった。早々と13日目に復活優勝を決めそれを全勝で決めた。4場所ぶり52回目の優勝であった。だがコシ自身には完全復活の手応えはなく、納得してはいなかった。とは言え、進退について世間を黙らせるには充分過ぎる成績であった。優勝パレードには次点の横綱時天山(中村)が隣に座った。


「コシ関良かったですね?」

「何もよかねーよ。」

「優勝したのにうかない顔してどこか不調でも?」

「俺がそんなやわな奴に見えるか?」

「気のせいだったら全然大丈夫なんすけど。」

「中村に心配されている様じゃ俺もまだまだだな。」

「これ(パレード)終わりで俺東京戻るから後は頼むは。」

「え!?ちょ、マジすか?」

「NHKの番組は出演断わっておいたから。」

「良いんすか?そんな勝手に?」

「親方からは了承を得ている。ヒカリ?ちゃんと荷物用意してあるんだろうな?」

「出来てます。」

「貴重品以外は速達で部屋に送っておいてくれ。」

「了解しました。」

「じゃあお先!」

「あぁ…。行っちゃったよ。」

「好きにさせとけ。」

「自分ら独身貴族には分からない事があるんでしょうか?」

「優勝の副賞見てみろ!部屋1年分の食料を一場所で稼ぎ出すんだぞ?」

「それは凄いですね。」

「懸賞金だって、コシの奴テメェの懐には一切 入れてないんだぜ?」

「おかげで時津川部屋は角界最大クラスの部屋に成長したんだ。」


「あなた!?もう帰って来たの?」

「おう!帰ったぞ。皆寝てるよな?」

「そりゃあこんな時間だもの。新幹線で帰って来たの?」

「あぁ。東海道新幹線で直ぐだ。」

「お腹なってるみたいだけど、お腹空いてるの?」

「あぁ…。帰路を急いでドタバタしてたからな。夕食はまだなんだ。」

「まだお米が少し余ってるからチャーハンにでも良い?」

「ありがとう。風呂入る。」

チャーハンの匂いを嗅ぎつけた竜一が起きてきた。

「竜一?駄目よ。ご飯4杯も食べたじゃない。」

「パパ?もう帰って来たの?」

「TVみたろ?」

「あぁ。見たよ。凄かった。」

「懸賞金も半端なかったね?」

「あのくらいパパにとっては普通だよ?」

「ママ!僕もチャーハン食べる!」

「パパの分少し分けてやるよ。」

「もう?あなたったら…。甘やかすとろくな大人にならないわよ?」

「竜一は横綱になるんだもんな?」

「うん。パパの記録を塗り替える!」

「今は何を磨いているんだ?」

「寄つも突き押しも磨いているよ?」

「おぉ、それは心強い。」

「それよりあなた?怪我の治りはどうなの?」

「今の所は問題ない。ただ、一応サポーターやテーピングはつけてるよ。」

「もう。また怪我したら困っちゃうのは貴方だけじゃないのよ?」

「あぁ。気をつけるよ。」


こうして2037年名古屋場所を全勝優勝し復活を遂げた横綱越乃海は、何よりも早く東京に行き自宅に戻ったが、時津川親方からは特に何の文句も言われなかった。

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