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真・土俵の鬼達〜師匠に捧げる白星(ホワイトスター)〜  作者: 佐久間五十六


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第124話 令和19年夏場所②

「裏方に回るってのもそれはそれで歯がゆいものだな。」

「コシ?お前も少しはこの俺の気持ちが分かっただろう?」

「親方?いたんすか?」

「そう遠くない将来お前もそうなるかもな。」

「いやいや、そこはもう5年は頑張ろうって言ってやるのが良い師匠でしょ?」

「悪かったな凡人師匠で。」

「今場所はまた中村や山中が頑張ってくれますかね?」

「最大の脅威は武蔵山だな。」

「そうだな。調子も上がって来ているし、最終盤までもつれ込むかもな。」

と、コシが予想した通り横綱三人による優勝決定巴戦になった。13勝2敗で三人の横綱が並んだのである。14日目を終えるまで全勝だった武蔵山を中村と山中が引きずり下ろしたのである。

「山中?どっちが勝っても恨みっこなしだな。」

「もちろんすよ。」

結果的に優勝を達成したのは山中であった。山中が4回目の優勝を達成して、夏場所は幕をおろした。

「裏方も悪くなかったけど、来場所の主役はこの越乃海だ。」

と、心に誓いぶつかり稽古を本格させたコシであった。怪我から5ヶ月。既に手術したアキレス腱は完全にくっつき、強度の高い稽古もこなせる様になっていた。一応サポーターやテーピングはしているが、それは再発防止の為のものであった。6月には29歳になるコシは7月場所の復活に向け稽古に余念が無かった。


「ただいま…ん?」

「お帰りパパ。」

「竜一?ママは?」

「竜二と竜三を連れて夕飯の買物。」

「じゃあ竜一は1人でお留守番か?」

「うん。」

「偉いな。つーか竜一も行けば良かったのに。」

「今日はパパが早く帰ってくるってママが言ってたから。」

「竜一、嬉しいこと言ってくれるじゃないか?」

「あ!ママ達も帰ってきたみたい。」

「あ!パパ!」

「お帰り。」

「あなた今日は早いのね?」

「まだ無理はできないからな。」

「そうなの?来場所はどうするの?」

「出るよ。ほぼ完治したから。」

「あなた食事は?」

「部屋でちゃんこ食べて来た。エンゲル係数は下げない からな。」

「それでもたまには家で食事しようよ?」

「そうしたいのは山々なんだがな。」

「パパとご飯食べたいよ。」

「僕も僕も!」

「明日の朝一緒に食べよましょう。」

「それでも駄々をこねるのなら、ママが許しませんよ?」

「ママ怖っ!」

「良いの貴方?普段朝ご飯食べないのに。」

「稽古はあるけど問題ないよ。」

「家は朝パンだけど?」

「あぁ、そうだったな。久し振りに家で食事するから忘れてた。出されたものをありがたくいただくよ。」


こうしてコシは7月場所入りするまで自宅と時津川部屋を行き来した。そして西の張出横綱として、進退をかけて4場所ぶりの優勝を狙いに行くコシであった。東の正横綱には、初めて山中がついた。西の正横綱には武蔵山が。東の張出横綱には中村がつく事になった。

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