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真・土俵の鬼達〜師匠に捧げる白星(ホワイトスター)〜  作者: 佐久間五十六


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第118話 令和18年九州場所①

横綱65場所目のコシは体調もしっかり回復しいつもの80%程の稽古に留めたものの、調子を上げて福岡入りしていた。福岡入りしてからは稽古の量を140%まで上げバキバキの体に仕上げた。中村や山中ら横綱との申し合いも精力的に行い場所に臨めそうだった。

「中村!」

「どうしましたコシ関?」

「俺の圧力は戻っているか?」

「100%に近いんじゃないんですか?」

「そっか。サンキュ!」

「山中はどう思う?」

「いつものコシ関の強く鋭い立ち合いが戻ってますよ!」

「親方はどう思いますか?」

「うーん。まぁ80%ってとこだな。」

「そりゃあそうすよね。80%程の稽古しかしてませんから。」

「まぁ、コシは場所入りしてから尻上がりに調子を上げるタイプだからな。」

「序盤に気を付けろって事ですよね。」

「分かっているなら聞くな。」

「師匠そんな事言わないでくださいよ。」

「コシ?お前そういうキャラだったっけ?」

「いえ。しっかりやります。」

と、何か親方に言いたそうだったが飲み込んで場所入りした。初日から途中休場明けとは思えない力強い相撲を展開。立ち合いで厳しくぶちかまして、その勢いのまま激しい突き押しが繰り出せるようなり、調子の良い横綱越乃海が戻って来ていた。新鋭が増えて来たとは言え、まだまだ越乃海の力には及ばずコシは中日給金直しで前半を折り返した。中村は6勝2敗。山中は5勝3敗とふるわない前半戦であった。

「どうしたもんか。」

「場所前は調子悪くなかったんだがな…。」

「お前ら横綱だろ?格下相手に2敗も3敗もするなよ。みっともない。」

「すみません。」

「まぁまぁ親方。そう責めなくてもいいですよ。」

「3人いたら一人位優勝争いしてるってか?」

「負けた事を悔やむより明日の一番に集中しろ。そうすれば簡単には負けない。それが横綱だ。」

「コシ関…。」

「やっと一皮むけたな。」

「親方…。」

「コシ?今場所は優勝狙えるな。」

「はい。任せてください!」

「自分もう少し四股踏んで寝ます。」

「山中!?」

「自分もう少し鉄砲してから寝ます。」

「中村!?」

「普段からこのような姿勢でいたらちょっとは良い成績を残せるのにな。

「親方…。」」

「まぁ相撲の場合努力や運よりも勝ったという結果だけが大事ですからね。」

「並の力士は分かっていても出来ない。それが出来るから横綱や大関や三役で活躍する看板力士になれるんだ。」

「それよりコシ?体調はどうだ?」

「はい。おかげさまでたいしたことないです。」

「心配したぞ先場所は。我慢強いお前が途中休場を申し出たからなおのことだ。」

「あの時は本当にしんどかったんすよ。あのまま無理に相撲をとっていたらもっとケガが悪化していたと思います。」

「その判断は親方である自分にも見て分かったし理解出来た。」

「勝ってる時はそう言うの見えたとしても我慢させるんだがな。でも一つでも星を落とすとガタガタ崩れ落ちる。」

「相撲って面白いですね。」

「いやいやめっちゃおっかない国技やで?」

「国技…。ですか。」

越乃海と時津川親方は親方と弟子である前に人として信頼し尊敬しあっていた。コシは今は自分の為ではなく時津川親方の為に白星を捧げていた。

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