【EPISODE12 IF I AM ANGEL(イフ アイ アム エンジェル)】
べリオ♂
ディール♂
ムーンライト♂
パウロ♂
トロイ♀
フラワ♀
カリオストロ♀
N♂♀
セイヴァージーク救助隊A♂♀
部屋に響く謎の男性アナウンスの声/モニターからの声♂
<場面転換 地表 アオオニを吹き飛ばしたCT・ARGCとネペンテス。アオオニはゆっくりと起き上がり、周囲のNOAHZ射撃部隊に囲まれている。>
パウロ:『煮え湯に次ぐ煮え湯......!この身に塗られた泥...──ッ!!!
最早拭えるものではないッッッ!貴様ら二匹の血を以て塗りつぶす以外に贖う事など叶いはせぬッッッ!
者ども狼狽えるな!!!一匹増えたとて数の利は我らに有りッ!
二匹のうちの一匹は足をもがれ、もう一匹のみで守り切れるものかッッッ!!!
総員!現陣形を維持し、集中砲火ァッ!
絶対に近づかず、優位を崩す隙をくれてやるなよォォッ!!』
カリオストロ:『ッまずい!ヤツら、総射撃を行うつもりだ!!!』
トロイ:『なら...ッ!』
<トロイのCT・ARGCがカリオストロのネペンテスと時期の前に羽を集め、二機がギリギリ隠れるビームの球状の盾を形成する。
その盾に向かって周囲から射撃が行われる。>
パウロ:『油断などせん...ッ!このわが身を蝕むような怒りと憎悪...ッ!それに敬意を払うのだッ!
貴様らのその反吐が出るような”青さ”を叩き潰す為───!
手を緩めるなァッ!マガジンのリロードを行う場合は副兵装を必ずオートで使用しながらにせい!
弾丸の一発も無駄にするなッ!この二機は妖!
気を抜かば己の命、無き物と知れッ!!!
”髭”を寄越せ...ッ!──────”髭”をををッッッ!渡せぇぇぇえええええッ!』
<場面転換 シールド内で射撃を防ぎつつも立ち往生をしているネペンテスとCT・ARGC。
最早シールド残量が尽きるのは秒読みといった段階。>
カリオストロ:『巫山戯るなァ天使擬きィッ!
何を考えて降りてきたんだァッ!』
トロイ:『アナタこそッッ!死を恐れない事を恥じなさい!』
カリオストロ:『死ぬことなど僕の勘定に入れるものかァッ!
そのようなノイズに目を曇らせる愚民が!この世を変える仕組みに手が届くものかァッ!』
トロイ:『死んで世界が変えられるものですか!!!死んで銃の引き金が止まるものですか!
生きて!生きて!生きるから初めて貴女の声が届く!蛮勇で世界が変わる事などありえないのですよ!』
カリオストロ:『知った口を....ッ!これはプランだ!僕はプランを遂行しているんだ!
それを分かって賢者を気取って...ッ...この僕に茶々を入れるか!』
トロイ:『黙りなさい!帰る足を捨てて銃に囲まれるのがプランな訳が無いでしょう!
貴女が自分の命を諦めたとしても!彼らは歩みを止めない!貴女の命を拾えなかった事実を踏みしめて歩き続ける....、それがどれ程に残酷か!
それがどれ程に彼らの心を殺すか!想像できない事を恥じなさいと言っているのです!』
カリオストロ:『───...ッ....!だったら!だったら貴様はどうなんだ天使擬きィッ!
何か策があるのか!?僕を救いたいだけで!命の大切さを説く為に飛び込んだのか!?
今の貴様と僕に何の違いがある!?僕達を守るこの盾も無限ではないのだろう!?
僕が死ぬ時間を延命しただけだ!貴様も同じだ!怒りに身を焼き、銃をその手に取り、戦場に飛び込んでいるのだから!』
トロイ:『違う!!!頭上の貴女の船を御覧なさい!』
カリオストロ:『セイヴァージーク....!?何が....
───ッ!!!』
トロイ:『CT・ARGCの羽根で船を覆っている故、敏感に船の動きが分かるのです!明らかに地表に向かって移動を開始している...ッ!
何らかの方法で地表に接近、私達を回収するのは明らかッ!』
カリオストロN:あの速度から見て剛推進段階飛行エンジンによる飛行なのは明らか....!
然し、どう回収するんだ....!?あの速度が出ている以上、僕たちの位置で止まるには簡易演算を見ても距離が足りなすぎる──接近しすぎてしまっているんだ!
であるのなら...───!?
トロイ:『耐える....!耐えられる....ッ!耐えてみせる...ッ!フラワちゃんは!私に出来た初めての友達だから!』
N:”友達”。
トロイの年齢なら、口にするのも恥ずかしいであろう、そんな関係。
それは、トロイには過ぎたものであった。
この星で”友人”を望むのは、ただの道楽であった。
手に出来るのは、取引先。共犯者。依存関係。
──────だから、トロイのパイロットスーツに滲む血。
セントロロフス・ラボにおいて施された靭帯遠隔起動振動波放射板(じんたいえんかくきどうしんどうはほうしゃばん)管制手術の手術痕から滲む血。
その血が自らの服を染めるのが、どこか誇らしかった。
<場面転換 教会にズングソーイの弾が着弾した”あの事件”の夜。教会をセイヴァージークの救助隊と調査していた折に、CT・ARGCを発見したあの夜まで遡る。>
トロイ:.....天使様.......。
フラワ:危ないわ!こんなところに何で......
N:何でCTが、の声を飲み込む。
機体の名前を口にすれば、トロイを、最早引き返せないところまで巻き込んでしまうと本能で感じたから。
そして。
”自分のCTとは似ても似つかぬほど”。
そして、目の前の機体が、あまりに美しく、そして哀しく佇むから──────。
フラワ:.......起動や自爆は、しないみたいね。
セイヴァージーク救助隊A:ご無事ですか!おふた方ァ!!!
<崩れた床の前で腰を抜かしている二人に声をかける救助隊員。天使の機体に気付いている様子はない。>
フラワN:告げるべきか.......いえ。そうするべきではない。
無駄な混乱は避けるべき。信じたくはないけれど...万が一、トロイによって仕組まれた罠の可能性もある。
慎重に動くのがベター...よね。
フラワ:何でもないわ、少し床が抜けただけ。作業に戻って頂戴、私もすぐに戻るわ。
セイヴァージーク救助隊A:左様ですか。お気をつけて。
<そう言って離れていく救助隊>
トロイ:あれは......。
フラワ:あれは?
トロイ:...うん、この。
<そう言ってトロイは自分の胸にあまりに暴力的に挟まれたネックレスを取り出す。
ネックレスにはロケットがついており、開閉出来るような仕組みがついていた。
そのロケットを開けると、西洋画を切り取ったような一枚の小さな絵が入っていた。
其処には、目の前の天使のような機体の顔とあまりに瓜二つに見える顔の絵が描かれていた。>
フラワN:なんちうサイズ.....ぐ......
フラワ:...で?
トロイ:.....うん、私がこの教会に来た時に、渡されたの。
私が仕えるのは、天使様なんだよ...って。
きっと、天使様が皆を守ってくれるから、そのお礼に私はこの教会を代表して天使様に仕えなきゃいけないって...。
フラワ:...無関係じゃないわね。この機体。
トロイ:...うん。
フラワ:...よく見るとこの床、梯子あるじゃない。
フラワN:まるで”入って来い”と言わんばかり。
トロイ:.................フラワちゃんは、帰って。
フラワ:はあ?
トロイ:私、知りたいの。
そこに居られるのが”天使様”なら。一体何が本当なのか。
嘘だらけのこのコロニーで、もうこれ以上真実から目を背けたくないの。
...でも、危ないし。これ以上私の我儘に付き合わせられないよ。....フラワちゃん、友達になってくれてありがとう。
──────...、バイバイ。
フラワ:待ちなさいよ。
トロイ:......え。
フラワ:そういう気の使い方は友達じゃなくて他人にするもんよ。
友達にはね、「お願い、ついてきて」って言うもんなの。
トロイ:───...、フラワちゃん....!
フラワ:それに現実的な話、トロイはこういう機体について詳しくないでしょ?
私が居れば何かできるかもしれないし。
何故ここにあるのか、何処を触って”しまったら”起動”してしまう”のか、とかある程度予想できるし。
トロイ:.....えへ。ありがと....。
フラワ:いいの。お礼言われるためにやってるわけじゃないんだから。
さ、梯子。古くなってるから慎重にね。
トロイ:うん...っ、けほっ、けほっ、埃が,,,,
フラワ:本当....、どのくらい放置されていたのかしら....。
<梯子を使い下まで降りた二人。目の前には巨大な天使のような機体(CT・ARGC)が二人を見下ろすように鎮座している。>
フラワN:...にしても、目の前にすると──────
圧巻の一言ね。
背中の羽根が飾りでないとすれば....恐らく飾りでは無いでしょうけど....相当に高い技術力で組み上げられている..。
こんなコロニーにこの機体を組み上げられる余力が残っているようには見られないし...
何よりこんなものを建造すればズング・ソーイが勘付いて押収なりする筈だけど...
トロイ:.........綺麗。
<疲れが出ているのだろうか、ふらふらとCT・ARGCに歩み寄って見上げて呟くトロイ。
すると、二人とCT・ARGCの居る床下の空間に古ぼけたスピーカーのような音質で声が響く。>
部屋に響く謎の男性アナウンスの声:この音声が聞こえたという事は...此処を見つけたという事か。
フラワ:...ッ!?誰ッ!?
トロイ:やだっ...、フラワちゃん!
フラワ:大丈夫!べリオよりは射撃訓練の成績はいいのよ..ッ、こんな閉鎖空間ならよっぽどの手練れじゃない限り当てられるわ!
それに...
フラワN:私達を殺すつもりなら梯子を降りている好きに殺している筈...。
フラワ:狙いは何!?此方は武装しているの!
出てきなさい!
<バッと周囲を警戒して、腰から携帯テーザーガンを取り出すフラワ、フラワに駆け寄ってフラワの身に体を隠すトロイ>
部屋に響く謎の男性アナウンスの声:願わくば...今この機体を見ているのが”シスター”であらんことを。
<そう言うと、アナウンスの音声はブツッと途切れる。数舜の後、全く同じセリフの音声が流れ始める。
そして地面が電子的な音を発し、小さく割れる。すると地面の下からモニターと女性の腕がギリギリ入るほどの穴がついている長方形の立方体がせりあがってくる。>
フラワ:──────アナウンス......。
それに..、何,これ......
トロイ:.....でも、何か──────....在る。
直感だけど....なんだか、そう思うの。
この教会が隠してきた何かが。
それに...アナウンスでも言ってたよね。
フラワ:────────────”この機体を見ていることがシスターであらんことを”。
トロイ:とにかく、このモニターを調べないと...。
<ゆっくりとモニターに歩み寄る二人>
フラワN:.....ますますおかしい...。
恐らく何かしらの承認かを司るこのモニターと穴...。
それが人間を感知して下から現れるなんて...。
──────....IOPLANET並の技術到達度...。
<フラワとトロイがモニターに近づくと、モニターから低い振動音が聞こえ始める。
そして次の瞬間、モニターに文字が表示される。>
トロイ:これは....。
フラワ:『Only qualified personnel should put their arms through this hole』(オンリー クアリファイド パーソナル シュドゥ プット デア アームズ ツルー ディス ホール)....?
資格を持つ人間のみがこの穴に腕を通せ...。
トロイ:下のこの文章は...何でしょう。
『PROTOCOL.GOSPEL』(プロトコル ゴスペル)....。
フラワ:何かの計画の名前...と考えるのが正しいわね。
フラワN:”天使様”と”福音”と名付けられた計画....。
トロイ:....ねえ、フラワちゃん。
きっと、この資格を持つ人間って...。
フラワ:”シスター”。
可能性は高いわね。
トロイ:....この穴に....腕を...。
ううん、やる!私、絶対やるんだから!!
────......て、手だけ握ってもらっててもいい....?
フラワ:....くすっ。
フラワN:なんだか、ちょっとだけべリオに似てるかも。
<ホワンホワンホワワンとべリオの事を少しだけ懐かしく思い返すフラワ>
べリオN:おい!ディールがモテてムカつくから、あいつが脚遅いってデマ長すの協力しろ!
べリオN:鼻毛をさ 抜くと涙出んじゃん? これを利用して俳優なろっかな
べリオN:これマジで真剣な話なんだけど。ヨーグルトの汁、毒だと思ってた
<思い出し終了>
フラワ:ロクな思い出が無いわね。アホくっさ。どこが似てんのよあんな原始人と。
トロイ:ふわあああぁっ!?
<トロイの慌てたような声で我に返るフラワ>
フラワ:とっ、トロイ!?大丈夫なの!?
トロイ:う...ッ、うん.....
......なんだか、腕がキュッと締め付けられて....
...........................変な感じ.....。
<妙に蠱惑的な声色に若干ジト目になるフラワ>
フラワN:う~む....確かに男どもの気持ちが一瞬分かったような.......
部屋に響く謎の男性アナウンスの声/モニターからの声:....この映像が流れているという事は。
<フラワのとぼけた思考は低い40代ほどの男性の声にかき消される。>
部屋に響く謎の男性アナウンスの声/モニターからの声:ようこそ。よく、此処を見つけてくれたね。
セントロロフス教会のシスターよ。
....いや。
──────我等セントロロフス・ラボの残したPROTOCOL/GOSPELによる機体、
CT・ARGCの適合パイロットよ。




