第二部 後編【EPISODE6~10】通し 編集中
▶︎♂️べリオ/N/NOAHZ兵士A/VAILSIDE作業員B
▶︎♂️ディール/NOAHZ兵士B
▶︎♂️ムーンライト/VAILSIDE作業員A
▶︎♂️クルス/ラプラス/A.F.S男性作業員A/アークエンジェル戦闘員A
▶︎♂️パウロ/A.F.S男性作業員B/アークエンジェル戦闘員B
▶︎♂️ズング
▶︎♀️フラワ/ヒメ
▶︎♀️ワカミネ/A.F.S男性作業員C
▶︎♀️カリオストロ/アークエンジェル戦闘員C
▶︎♀️トロイ/女性医療班
▶︎♀️ネリル/カナ/女性アナウンサー
兼枠
●▶︎♀️ワカミネ/カリオストロ/A.F.S男性作業員C/アークエンジェル戦闘員C
○▶︎♀️トロイ/ネリル/カナ/女性アナウンサー/女性医療班
【EPISODE6 BUT I WILL(バット アイ ウィル)】
<セイヴァージーク内。集中治療室で目を覚ますべリオ>
べリオ:――――っ…………またここかよ。
ワカミネ:――目が覚めたか。
べリオ:………………ワカミネ。
ワカミネ:
フッ、済まないな。色気のある女子の出迎え、とはいかないが。
おはよう、べリオ。
べリオ:オレの事、何だと……。
ワカミネ:
責めてはいない。
……すまない。笑顔も冗談も苦手な部類でな、気に障ったのなら謝る。
兎にも角にも……見直したぞ。
べリオ:……何が。
ワカミネ:
子供を助けたそうじゃないか。
ランドスタッドに乗れることよりも、よほど立派だ。
べリオ:
…………そうか。あのガキ……。無事、だったのか。――……でも。
ワカミネ:……。気に病むな。貴君は持てる力を出し切った。
べリオ:分かってる……。分か゛ってるよ……。
ワカミネ:
……腹に大穴を開けてまで、他人の心配か?
傷に響くぞ。…………泣くな。
べリオ:泣゛いて……ね゛え……ッ。
―――
――
―
<場面転換。フェザーポータル周辺宙域。
フェザーポータル代表、ズング・ソーイ専用、居住用特殊光学迷彩装備ステルスコロニー「LOST STELLA」内>
ズング:――――どうすれば……。私はどうすれば……――。
<頭を抱えて呻くように声を出すソーイ。そんな彼にしなだれかかる女性>
カナ・ゴトウ:
大丈夫よぉ。ソーイ様わぁ。何ぁんにも間違ってないんだからぁ……。
ズング:
……でも……でも!夢に出てきたんだ……!!
取るに足らない、小汚い孤児共が……!!顔も見たことのない薄汚い孤児共が……!!
真っ黒な泥人形となって、私の足を引っ張るんだぁぁ……!!
カナ:
……怖かったねえ?
でも、ソーイ様の抱える重みを考えれば当然の悩みだよぉ……。
ズング:ぶっふう……ぶふうう……。カナぁ、君は僕だけの光……。
カナ:大丈夫……大丈夫ぅ……。
<カナによってズボンの小さな膨らみを撫で擦られるソーイ。男性としての機能も劣っている彼は、それだけで体を小さく震わせる>
ズング:うっ………………――ふぅ……。
カナ:……それじゃ、お仕事の時間ですよ、ソーイ様。
ズング:
うん。……うん。私が成し遂げるんだ。
お父様や、人当たりのみで出世した兄たちとは違うって事を証明してやるんだ……!!
やらなきゃいけないんだ……!!!
私は……私は……!!
こんな所で燻る様な器じゃないんだァ…………!!!!
―――
――
―
<場面転換。セイヴァージーク内>
ムーンライト:
――――換装の整備は突貫でかまへん!!
ぜ~~~んぶサイドホーンとCTになんも考えんと、とにかく積み込め!
その代わり、スラスターの出力調整と通信回線の補強に細心の注意を払え!猶予は有らへんぞ!!
ディール:
ディテクターのラストホルスの調整には、電磁遮断ヘルメットを必ず装備して行ってください!
ヘルメット無しでの作業は非常に危険です!
ムーンライト:
…………向こうさんの提示した猶予は、残り二日。
あと半日で整備を終えて、ワカミネとフラワに補給整備手に入れてもうて速攻でゲッチュ。
爆速でチャージして発艦……ったく、言うてるだけで眩暈のする作戦や――――ッッ!?
<ムーンライトが呟いた刹那、ゴゴゴゴゴォンと轟音が響き、セイヴァージークが大きく揺れる>
ムーンライト:――なッ……何や!?
A.F.S男性作業員A:
未登録機体、複数確認!
しかし――すべての機体の左肩部アーマーに“AA”のペイントを確認!!
ムーンライト:アークエンジェルやとッ……!!!!
<場面転換。B・R HDコックピット内のズング>
ズング:
――私が――間違っているわけなどないんだ……!!
このフェザーポータルに!!
私の楽園に!箱庭に!私を高みに連れて行くこの塔に!!
弱り切った賊が巣食う余地など無いんだあああああああああッッ!!!!
<背部に懸架されている巨大な斧を抜いて構えてセイヴァージークに向かって突進をしてくるB・R HD。それを援護するようにライフルを構えて突進をしてくるアークエンジェル私設量産型ランドスタッド“D-z”>
<場面転換。セイヴァージーク内>
A.F.S男性作業員A:敵機の熱源反応多数!こちらに迫っていますッ!!
ムーンライト:
クッッそォォォォ!!フラワはまだ帰ってねえんか!!
A.F.S男性作業員A:フラワさんの通信端末へのコール、応答ありません!
ムーンライト:
セイヴァージークの対ランドスタッド武装をオンラインに切り替えろぉ!!
A.F.S男性作業員B:しかしッまだ弾薬の補充どころか、装填も不十分で……――。
ムーンライト:
アホダラァ!!!!
威嚇射撃でも何でもええ!派手にタマぁバラまいて近づかせるな!!
A.F.S男性作業員A:りょっ、了解!
A.F.S男性作業員B:対ランドスタッド・30ミリ/ファランクスを起動!
<バラララララとドラムロールのような音が響いて、セイヴァージークからマシンガンが掃射される。時折ガスンと弾切れを起こし、またバルカンのリボルバーが赤く変色して接合部が溶けても弾丸は発射され、アークエンジェルのランドスタッド部隊に向かって吸い込まれていく>
ズング:
ひっ……やっ、やっぱり怖い!怖いよお!!
助けてェ、カナぁぁぁ!!
<そう叫んで、隣のアークエンジェル戦闘員の機体の腕をつかみ、無理やり自分の盾にするように背後に隠れる>
アークエンジェル戦闘員A:
ソッ――ソーイ様!?!?そんないやだっ、やだぁぁぁぁ――――。
<戦闘員の機体に弾丸が吸い込まれ、大爆発を起こす。ソーイの機体B・R HDは爆風でゴロゴロと転がる>
アークエンジェル戦闘員B:『お……おい……なんだよあれ……』
アークエンジェル戦闘員C:『こんな……こんな死に方……』
ズング:
わたっ…………私の勇猛なるアークエンジェルの者は怯えない!!
仮に命を優先し、私に恥をかかせてみろ……!ここで死ぬよりも地獄を味わう事になる!
その地獄は、お前たちの“家族”も味わうんだよ!!!!
いいのか!!いいのかぁぁぁ!!!!
アークエンジェル戦闘員B:『う……うううううううううう……』
アークエンジェル戦闘員C:『こ……このおおおおおおおおおおおおおッ!!!!』
<セイヴァージーク内、ランドアームズ発艦口。
フラワ不在の為、単騎での発艦を命じられたワカミネ>
A.F.S男性作業員A:……ワカミネさん!聞こえますか!
ワカミネ:――『聞こえている。帯域を固定』
A.F.S男性作業員A:
今回の戦闘では、撃退を主とした行動を強く意識してください!
敵機のこの数では、まともに撃ち合う事はほぼ不可能です!
調整段階ではありますが、エンジンの出力をドミナントの制御装置を流用する事で2.21倍に引き上げてあります。数値上では十分に回避を行える……と計算されています。
……然し。
依然、フラワさんとの連絡も取れません。ランドスタッド戦闘としては、ワカミネさんのみの出撃となります。
ワカミネ:『……了解だ』
ワカミネN:
(フラワ……いや。この胸騒ぎは視界を鈍らせる。帰投まで蓋をするべきだ)
A.F.S男性作業員A:……ご武運を。出撃まで10秒!10――9――。
ワカミネN:
(――戦争のない世界を。重火器の必要ない世界を。
そう願えば願うほど、弾丸の飛び交う世界に変わっていく……)
A.F.S男性作業員A:――6――5――。
ワカミネN:(…………私達で、終わらせなくては)
A.F.S男性作業員A:――3――2――。
ワカミネ:
……ランドアームズ、サイドホーン。
――――A.F.S、ワカミネ・スギウラ。
A.F.S男性作業員A:――ゼロ!!
ワカミネ:発進――!
<ガギン、とロックの外れる音がワカミネの骨に響くように鳴る。その次の瞬間、座席に巨大な手で押し付けられているかのような衝撃がワカミネを襲う>
ワカミネ:ッぐ…………!!!!これほどのGだとは……!!
―――
――
―
<場面転換。ソーイコックピット内>
ズング:なんだ……あの戦闘機……?
アークエンジェル戦闘員B:ソーイ様!!機体を低く!!
ズング:何?私に向かって指図を――うわぁぁっ!!!!
<戦闘員がソーイの機体にとびかかって地面に抑え込む。次の瞬間、ソーイの機体が居た空間に弾丸が通過していく。ソーイのすぐ後ろの地面が弾丸でめくれ上がる>
ズング:
……なんて精度……っぐ!!かッ、かまうな!!!!
撃てぇ!!撃て撃て撃てぇ!!!!
<アークエンジェルの部隊が機銃を空に向かって掃射する。それらを交わしていくサイドホーン>
ワカミネ:
……遅い。弾丸も集まりが悪い。偏差を意識せず、私の後を追うだけの弾幕……訓練されていない兵士だな。
フラワの言っていたことが本当だったとは……。
ソーイの見た目を整えるだけの、若者による肉の盾…………!!
<ドガガガガガガ、とアークエンジェル部隊の足元に土煙が上がる様に弾丸を打ち込むサイドホーン>
アークエンジェル戦闘員B:うわぁあああああっ!!
アークエンジェル戦闘員C:何も見えない……ッ!!
ズング:慌てるな!慌てるな!!ひぃぃぃぃぃ!!
ワカミネ:まだ引かないか。ならば脚部を打ち抜いて………ッ!
<サイドホーンが急加速をしてアークエンジェル戦闘員Bの機体に急接近する。
然し、次の瞬間>
ズング:<どす黒い笑み>――エサに引っかかったなァ!!!!
アークエンジェル戦闘員B:ひっ……!?!?な、何だこの音はぁ!!
ズング:
こんなこともあろうかと――すべてのアークエンジェル機体にリモートマインをくっつけておいたんだよォォ!!
アークエンジェル戦闘員B:
やだ!!いやだいやだぁ!!死にたくない!!子供に会いたいいい!!
ズング:
どぅしゅしゅ、ちゅしゅしゅしゅ!!
私の作戦勝ちだァァァァッ!!!!
アークエンジェル戦闘員B:うわぁぁぁぁぁぁぁ――――。
<ガチン、とソーイが操縦桿のスイッチを押す。
次の瞬間、アークエンジェル戦闘員Bの機体"D-IZ"の動きが一瞬止まる。
ワカミネのサイドホーンとD-IZの距離が最も狭まったその瞬間、D-IZが大爆発した>
ワカミネ:何ィッ――味方だぞ!!!!ぐぅゥゥゥッッ!?!?
<爆風で地面に激突するサイドホーン。
ワカミネをエアバッグが守るが、全身を走る鈍い痛み、頭部に感じるぬるりとした熱に意識を朦朧とさせるワカミネ>
ワカミネ:ぐ……ッうぅ…………。
ズング:
しゅしゅ、ちゅしゅしゅしゅ!!お……お、脅かしやがって!!
わた、わたた、私を脅かした奴は皆!皆!賢い私に抜かされるのが怖いんだ!
私という存在に怯えているんだ!
私が……、私が賢すぎるから!
このっ……愚かな!バカな癖に私を脅かす加害者め!
成敗してやるゥゥゥゥ!!!!
<地に伏したサイドホーンに、B・R HDが斧を振りかぶる>
ワカミネN:
(あぁ…………。ゆっくりと、見える……。
……済まない、皆。
……済まない、ペオ、エボル。
お姉ちゃんは、何も、残せなかっ…………)
べリオ:――――ワカミネ。
ワカミネN:(あぁ…………。最期の幻聴が、べリオとはな……)
べリオ:――もう、大丈夫だ。
<ドミナントJBがズズゥン、と上空から着地して、B・R HDを蹴り飛ばす>
ズング:のぴゃぴゃゃゃっ!?!?
<B・R HDは吹き飛び、顔面から地面に激突する>
ワカミネ:じ…………ろ…………?
べリオ:おう。オレだ。
ズング:
っっっこの……!!この……!!私の見せ場だぞ!私の見せ場なんだぞ!
私に殺されるべき存在を!!誰の許可を得て庇っているんだ!!
べリオ:
テメェ~~~こそよォ。
誰の許可得て、オレの船にケンカ吹っ掛けてんだよ。
ズング:
私が!!!!このコロニーの王なんだ!!
私に逆らう事がそもそも狂っているんだ!この下等人民が!!
べリオ:
おう、下等人民結構結構。
工場生まれ、工場育ち。実は一瞬金持ち育ち。
気に入らん奴はおもくそバキバキ!!
ドミナント・ジェイルブレイク!!
イーストダーウィン出身!!苗字と彼女無し!!!!べリオだ!!!!
ワカミネ:……フ…………。相も変わらず、だな……。
A.F.S男性作業員B:
べリオさん!
ジェイルブレイクのエンジンはサイドホーンに積んでいるため、今のそのジェイルブレイクのエンジンはCTの予備エンジンになっています!
稼働限界は、3分30秒……!
敵機に可能な限りダメージを与え、撤退させてください!
べリオ:
了~~~~~解ィ~~~~~~……――――
<ぐぐぐ、と両腕を昔の特撮ヒーローの様に上で交差させ>
だぜッッ!!
<ビシッ、とエセ空手ポーズを決めて>
ズング:
ぐっ……!!うぐぐぐぐ……!!
――突撃!!全兵!!突撃ィイ!!!!
―――
――
―
<ジェイルブレイクに襲い掛かるアークエンジェル部隊。それらを滅茶苦茶な徒手空拳で半壊させていくジェイルブレイク。だが、さすがに手が回らなくなってきたようで>
べリオ:オラァ!!ふんッ!!うぉぉぉっ――らぁッ!!!!
べリオ:っぐ……さすがに数がッ……!!
ムーンライト:『気張れや!!恐らく敵の残存兵力は60パーセント!』
べリオ:結構残ってん……じゃねぇかッ!!
<迫りくるアークエンジェル部隊を再び蹴り上げながら答えるべリオ>
べリオ:ディテクターの出撃はあとどれくらいだ!!
ムーンライト:
『ムチャ言うなアホ!!あら左右の腕と足の繋ぎ目メタクソにされてんぞ!
治すにゃ人もカネも物資も時間も足りてへん!
このうちの二つでも揃ってればなァ~~!!』
べリオ:クソッ……!
ディール:『べリオさん!後ろです!!』
アークエンジェル戦闘員C:もっ、貰いィィィ~~~~!!!!
<地面に墜落したままのサイドホーンにビームランスを突き立てようと飛び掛かるD-z>
べリオ:ッッ何!?間に合わねえ…………!!!!
<その瞬間、インカムに響く聞き覚えのある声。
直後、サイドホーンに斧を突き立てようとしたD-zの腕と足が上空から飛来したライフルの弾丸ではじけ飛び、地面にゴロンと転がる>
アークエンジェル戦闘員C:あっ、アガペッ!!!!
クルス:『あーあー。そ~んな青春丸出しのバトり方しちゃって~……』
パウロ:『無駄な口を利くでない。……行くぞ』
<ドンッ。ドドンッ。二つの巨大な地響き。
地面に降り立ったのは青い鬼のような機体。
巨大な盾と槍を構えた騎士のような機体>
パウロ:『……目標。アークエンジェルを“自称するNOAH未承認の自警団”』
クルス:『了解ですよ』
パウロ:『……アオオニ』
クルス:『ナイトスペリオル』
パウロ:『始めるぞ』
クルス:『行くぜ』
アオオニ:『――OGRE』
ナイトスペリオル『――GO』
アオオニ:『――BLUE TYPE』
ナイトスペリオル:『――STRAIGHT』
<ギュビン。不吉な弦を弾くような音が響いたかと思うと、二体の機体の目に光が灯り>
ムーンライト:
だぁぁぁぁぁぁぁこのクソ面倒な時にィ!!
アークエンジェルとケンカしよる時にな~~んでNOAHZまで割り込んできよんじゃい!!!!
ええい、火器管制はもうグッチャグチャで構わん!
高濃度 荷電粒子キャノンチャージ開始や!!
AFS男性作業員A:
ッしかし!銃身の耐熱限界が近いです!
下手をするとチャージ中に爆発……セイヴァージークごと吹き飛びます!!
仮に撃てたとしても、セイヴァージークの電力は3パーセントにまで減少!
セイヴァージーク内の発電機構すら動くかどうか……!
ムーンライト:
おおおおーしゃ!
ほな目の前のNOAHZとアークエンジェルのバカ共にむざむざ吹き飛ばされるかァ!?やるだけやって死んだら死んだや!!
ええからチャージせえ!!!!
AFS男性作業員A:め、メチャクチャだ……!
AFS男性作業員B:こ、高濃度 荷電粒子キャノン、チャージ開始!!
<その瞬間、セイヴァージーク内にべリオからの通信が響く>
べリオ:『その必要はねぇ。……と思う。多分』
AFS男性作業員A:ムーンライトさん!……これを!
<モニターに映ったナイトスペリオルとアオオニを拡大する男性作業員A>
ムーンライト:これは……“アークエンジェルを攻撃している”……?
<場面転換。べリオのコックピット内>
べリオ:アンタ等……。
クルス:『おう、熱血少年。童貞は捨てたか?』
べリオ:どどどど童貞ちゃうわ!!
クルス:『ハッハッハ。元気が有ってよろしい。……ッ合わせろ!』
べリオ:……ッ!お、おお!!
<バギン、と巨大な槍でD-zを打ち上げるナイトスペリオル>
べリオ:
イーストダーウィン流ぅ……――
キャプテンウイングオーバーヘッドキーーーーーック!!!!
<びょん、とジャンプして打ち上げられたD-zに頭を下にする形で接近したのち、スラスターを吹かして宙返りの要領でD-zを地面に叩きつけるような蹴りを繰り出す>
パウロ:『……見苦しい』
べリオ:んだと!とっさに合わせたにしちゃ上出来だろうが!
パウロ:
『勘違いをするな。吾らはうぬと共闘しに来たわけではない。
戦艦や機体を押収するうえで、“不必要なダメージは極力避けよ”との命が下された上での行動だ。
先のような、狙い撃たれる事を考慮せぬ動きは二度とするな。
クルス。わざわざ小僧に向かって敵機を打ち上げるのも要らぬ行為だ。吾が空中で撃ち落とせるのを知っておろうが』
クルス:
『おー怖。別にうまく行ったからイイじゃんねぇ……。
ま~とにかく。今だけは、俺らはアンタらA.F.Sの敵じゃねえ。傷付けさせねぇようにガンバっちゃうからよ。
――あ?』
<バキュィン、とナイトスペリオルの背中に衝撃が走る。B・R HDのライフルが命中したのだ。ゆらり、とB・R HDに向き直るナイトスペリオル>
クルス:『人が――――』
パウロ:『……やり過ぎるなよ』
クルス:『喋ってんだろうがァ!!!!』
<ぐお、と急加速するナイトスペリオル>
ズング:
『ひい!ひぃぃぃ!!当てるつもりはなかったんだぁ!!
誰か!!誰か私を庇え!!誰かぁぁ!!』
アークエンジェル戦闘員C:うっ……おぉぉぉぉぉ!!!!
<ソーイを庇うべく現れたD-zに向かって槍を構え、重心を低くし突進するナイトスペリオル。バキュ、という嫌な音と共にナイトスペリオルの構える巨大な槍がD-zを貫く。そして貫かれたD-zをぶんと吹き飛ばし>
クルス:『……命拾いしたな、ズング・ソーイ。いや、拾えてねェけどなァ!』
パウロ:『直情だな……』
<ゴゴォ、とスラスターから音を響かせて再びB・R HDに接近するナイトスペリオル。背後のアオオニは長銃を構えてナイトスペリオルに群がるD-zの腕や足を打ち抜き、爆発を起こさず無力化している。そして、その光景を呆然と眺めるべリオ、セイヴァージークメインデッキのA.F.Sメンバー>
ムーンライト:『…………たった、二機やぞ……』
べリオ:
しかも、誰も……殺してねェ。
槍でブチ抜いたやつも、多分エンジンを僅かに逸らしてんだ。
急に目の前に現れた機体のエンジンを予測して、槍をズラしたって事だ。
……“急に目の前に現れた”機体に、だぞ……。
パウロ:
『――この帯域でなら聞こえるか……?そこの戦艦。
当方はNOAHZ所属パウロ・グランツ中尉、及びクルス・シストランジェ准尉である。
吾ら二機のよるうぬらの防衛。ほぼ九割の完遂が見られた。
残る機体による被害は、墜落したランドアームズには及ばぬものと計算が出ている。至急パイロットが生存している可能性を考慮し、墜落したランドアームズの救護に当たれ。
忘れるな。うぬらに残された時間は少ない。
……通信を終了する』
<場面転換。スラスターを全噴射し、ついに無防備なB・R HDに接近したナイトスペリオル。そのままスラスターの勢いを活かした前蹴りを食らわせる>
ズング:
『にゅ、にゅわぁぁぁぁぁぁっ!!!!
痛いッッッ!!痛いよぉぉぉぉ!!
わ、わたたッッ、私は被害者なのにぃぃぃィィィィイイイ――――ッ!!』
クルス:
『あー良い良い。喋んなくてよォ。
“こうしろ”って……――言われてるもんでなァ!!!!』
<地面に倒れたB・R HDに槍を突き立てようとするナイトスペリオル。ガギュイイン、と火花が散る>
―――
――
―
<────――そこには、D-zの残骸から盾を奪ったのか、ナイトスペリオルの槍を盾で防ぎ。然しなおも貫通した槍がジェイルブレイクの脇腹を貫通し、B・R HDにあわやという距離で槍を止めたジェイルブレイクが居た>
クルス:『……………………。笑えないぜ、少年』
べリオ:
ふーーーっ……ふーーー……!!
……殺゛……すな……!!
<BEEEEE――BEEEEE――と騒然ましくなる警告音と赤いランプが明滅し、まるで血に染まったようなコックピットの中でそう呻くように言うべリオ>
クルス:
『少年。いや……べリオ、だったか。
退いてくれ。今の君は……“こいつの腐敗に加担している”のと同じだぞ』
べリオ:
違うッ……!!!!
こいつを殺して……ッ、第二のこいつが出てきたらまた殺すのか!
コイツを殺せば、死んだ人たちは帰ってくんのかよ!
コロニーの民が納得する形で釈明させるんだ!!
その為の権力だろ……!その為のNOAHZじゃねえのかよ!!!!
クルス:
『……平和な世界に居たんだね。
だが。コイツが殺した人間の数を見ただろう?』
べリオ:
だからこそだ……!!
強者が復讐を肯定するな……ッ!
世界を復讐で塗りつぶしたいのか!!
クルス:
『主語が大きいな。
世界ではなく、“このコロニー”において必要な措置だ』
べリオ:“このコロニー”だって世界の一部だろうがッ!!
クルス:
『埒があかないね。今はディベートの授業をしている場合ではない…………ッ』
<次の瞬間、B・R HDのコックピットがバシュッ、と射出される>
ズング:
『ひゃっ……――ひゃひゃひゃひゃぁ!!!!
生き残った……!私は生き残ったぞお!!
見ろ!見ろォォ!!ザマーーーーー見ろォォ!!
これでもうデカい顔できねぇなあNOAHZゥゥゥ!!!!』
パウロ:『――……フン。帰投だ、クルス』
クルス:
『…………了解。
……べリオ。君の選択を、オレは否定し続けるだろう』
ジェイルブレイク:『OVER――――』
<バゴン、と鈍い音を立てながらジェイルブレイクから槍が引き抜かれる。キュゥゥン、とシステムの音が響いてジェイルブレイクの瞳から光が消える>
べリオ:『セイヴァージーク……応答してくれ…………』
<インカムからはザザ……ザ……とノイズしか聞こえない。時折焦ったような男の声が聞こえるが、何を言っているか判別が出来ない>
べリオ:
『ズング・ソーイは離脱……。オレは、一応無事……。
ワカミネ…………を……頼……――』
<意識を失うべリオ>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【EPISODE7 OPERATION】
<フェザーポータル内に着陸しているNOAHZ簡易移動式ランドスタッド収容ランドアームズ『TERMITE』内。パウロに食って掛かる様にしているクルス>
クルス:
パウロ中尉!
何故ズングの機体の破壊に手を貸さなかったんですか!!
パウロ:
……分かっているだろう。
吾の銃弾を使えば、NOAHZによる銃撃であることが弾薬から解析されるやもしれん。
ビーム兵器であれば、うぬに当たらぬようには撃てるが。
吾の角度からでは、うぬの槍にも当ててしまう。
クルス:...“上”からの命令ですよ!!
オレの機体の装備を気にしている場合ですか!
角度なんて....ッ、移動して撃てばいいでしょう!
パウロ:...視野が狭くなっておるな。
吾らの背後には敵戦艦がおったのだぞ。
戦艦からは超高熱源反応も検知されていた。
恐らくは...荷電粒子の武器の類であろう。
...そのような中、敵戦艦...A.F.Sだったかの。
その組織所有の機体には槍が刺さっている。
そんな状態で吾が下手な動きをすれば....
撃たれていたであろうな。
吾ら二機での作戦であることを忘れたか?
戦闘においての不確定要素を見落とすでない。
クルス:....っ....!!!
パウロ:クルスよ。“時”ではないだけよ。
ズングの機体の撃墜。...あのように逼迫した状態で遂行するには無理がある。
時を見極め、止まるは良し。
だが....視野を狭めるは...悪し(あし)。
遂行という到達点への道筋は無数にあると常に思考を巡らせるのが寛容。
青きを恥じるは分かる。....が、
....己が青きを呑み込めぬのなら....宇宙へ先に戻っておれ。
......眠る。
頭を冷やしておく事だの。
クルス:...............。
........いい年こいて説教されちったな。....恥ず。
<場面転換 セイヴァージーク内メインデッキ。>
ムーンライト:ヒヒ ヒヒヒヒヒ
ディール:む....、ムーンライトさん、大丈夫ですか?
ムーンライト:大丈夫に見えんかい^^
弾薬も装備もさらに消費した挙句^^
ジェイルブレイクはハラに穴開けて帰って来とんじゃ^^
ランドスタッドはスッと治せるとでも思うてんかなあのバカは^^
ディール:しっ...然し今回はべリオさんも健闘していました!
ムーンライト:敵さんがなぜかズングぶっ殺すのなぜか勝手に止めてハラに穴開けんのが“健闘”かいな^^
放っときゃよかったもんをあんんんのバカタレが^^
ディール:.....それは.....確かに.........
べリオ:....悪かったな。
<包帯で右腕を固定してヨロヨロと歩いてメインデッキに入ってくるべリオ。>
ムーンライト:おお~~~^^ よう生きとるわホンマ^^
ディール:ムーンライトさん!縁起でもないこと言わないでください!
...べリオさん、無事でしたか?
べリオ:まぁ...、ぶつけただけだ。
ムーンライト:....ホンマか?^^
<べリオの背後の女性医療班メンバーに聞くムーンライト。>
女性医療班メンバー:その.....左腕の粉砕骨折....と....あの.....
たくさんの打撲....、そして内出血による発熱が....
ムーンライト:ど~~~~~~~~こがぶつけただけや!!!!!!
バッチリ重傷者やろがァ!!!!!!!!!!!!
べリオ:デッケェ声出すなよ.....別に、悪かったって。
でも、作戦に支障はねェだろ?
そもそも動かねえ前提のモンでワカミネも助けられたしよ。
ムーンライト:ホーオ^^ 支障は無い言うたなあ^^
羨ましわぁ^^
オレの仕事させたろか?^^
ワカミネ:その辺にしておけ。
....事態は、更に変化を続けているんだぞ。
ディール:ワカミネ....さん....!!
<頭に包帯を巻いて、頬には止血用のガーゼが貼られているワカミネが現れる。>
ムーンライト:変化....っちゅうのは?
ワカミネ:...これを見ろ。
<セイヴァージークメインデッキのTVモニターを起動させるワカミネ。
するとこのコロニーの公共放送が映し出される。
気難しい表情の女性アナウンサーが現れる。>
女性アナウンサー:本日正午。
我等が美しきコロニーを汚さんとする賊が市街地の付近で大規模の戦闘を繰り広げた。
ディール:..............これは....................。
<女性アナウンサーの横に映像が現れる。
その映像はバスケットラースHDと戦うべリオ達の機体の映像で。>
女性アナウンサー:しかしこの賊に対し、我らフェザーポータルの守護神アークエンジェル部隊、そして彼らと共に武器を手に取った勇猛果敢にして唯一無二。哀愁を兼ね備えた甘いマスクを鼻にもかけない態度ながら荘厳さと威厳を併せ持つソーイ様の活躍によって賊は撃退された。
ディール:.......なんて卑怯な...ッ!!
この映像は加工されている!僕達を最初に襲ったのはアークエンジェル部隊なのに!
この映像だと僕たちがまるで襲ったみたいじゃないか!!!
べリオ:え、そう?
ムーンライト:アホ。
明らかに悪意のある加工をされとるわい。
見てみ。ジェイルブレイクとセイヴァージークが射撃しているシーン...。
んで、映像はカットされて、アーククソエンジェルの機体が爆発するシーンにつながる。
べリオ:ッ...あれはズングが味方をエサにしたんだ!!!
ワカミネ:そうだ。
だが...国民は私たちの声を聴く手段は無い。....そして、聴く気も無いだろうな。
彼らにとっての“真実”は....目の前の操作された情報しかない。
ディール:.....権力を敵に回すというのは、本当に.....!!!
ムーンライト:....シケたツラすな。
とにかく、ワカミネの回復を急ぎつつ、サイドホーンの修理と改修を急がなアカン。
やる事は変わってへん。
どーせ離れるコロニーの奴らに嫌われてようが気にすな。
べリオ:.....。そーだな。
ムーンライト:さ!やる事は山積みや!山積み中の山積みや。山二個分。
ホレ、ケガ人オスとケガ人メスはベッドで寝とれ。
邪魔や邪魔。
あ、ディールは残っててや。
ワカミネとフラワの任務にラストホルスだけでも使えるかもしれん。
ディテクターの整備に付き合ってもらうで。
ディール:あ...っ、了解です。
<ムーンライトはしっしっと他の人員を手で払いながらまた再び作業に戻る。>
ムーンライト:ちゅーか.....フラワは何やっとんや。
...メールで“どうしても外せない用事 直前には戻る”...ッて...。
はぁぁぁ.....。
前途多難やで....。
オルァ!!今夜には決行や!NOAHZにバレへんようにムチャクソ準備すんで!!!
<そしてその後は改修と修理作業に費やされ。
二日目の夜になり。べリオは度重なる骨折への治療投薬により高熱を出しながら無理やり睡眠薬で眠っている。 その医療室に訪れるワカミネ。>
ワカミネ:.....寝ているか?
べリオ:グー
<べリオの寝ているベッドの隣に腰掛けるワカミネ。>
ワカミネ:...寝息で返事か。らしいじゃないか、べリオ。
ワカミネ:....君の年で見るべきではない地獄。
君の年で味わうべきでは無い悲しみ。
君の年で味わうべきではない喪失。
....全て、私達大人が争った結果の膿だ。
....言い訳などするはずもない。
<べリオの頬を優しく撫でる。>
ワカミネ:..今回の作戦では、ゆっくり休んでいてくれ。
必ず宇宙から荷を受け取り、持って帰ってくる。そして、再び...。
共に。宇宙へ飛ぼう。
.......おやすみ。
<部屋から出ていくワカミネ。>
<二日目の深夜。
セイヴァージーク内のメインデッキ、ランドスタッド及びランドアームズ発艦口は慌ただしく準備をしていた。
その中で作戦状況ボードの前に集められたワカミネ、帰還したフラワ、ムーンライト、ディール。>
ディール:この後25:00(トゥーファイブ・ゼロゼロ)より。
MANT搭載サイドホーンと同じくMANT搭載CTで宇宙の補給船『BRAWNSISTER』(ブラウンシスター)から
補給物資を積載限界量ギリギリまで積んで戻ってきてもらいます。
セイヴァージークのレーダーに加えて、ディテクターのラストホルスシステムのみを起動し僕も作戦を援護します。
...ここまで、何か不明な点はありますか?
ムーンライト:大有りじゃ。
...フラワ。何をしよったんや。
フラワ:....別に。
教会の遺品整理と片付けが忙しかったのよ。
ムーンライト:端末の電源まで切ってか?
熱心やな。
フラワ:.....何が言いたいわけ?
ムーンライト:...気の毒やが、あのシスターちゃんの教会には...セイヴァージーク内の残りのベーゼを渡す。
それが責任の取り方や。それで........。終い(しまい)や。
.....作戦開始ギリになるまで帰ってこないっちゅうのは...入れ込み過ぎや。
俺らがやる事はこのコロニーのヒーローになる事ちゃうぞ。
フラワ:....教会にはグレネードが直撃していた。
慎重な捜査になるのは当然でしょ。
それとも、崩れた教会で足でも滑らせてべリオみたいに怪我すれば良かったかしら?
ディール:..........はぁぁ....。
ワカミネ:私情を持ち込むのは後にしろ。
...続けてくれ、ディール。
ディール:...はい。
今回の作戦ではMANT.....、multiple analyze negative system(マルチプル アナライズ ネガティブ システム)による光学迷彩装備を
機体の全面に施した状態での行動が求められます。
....よって、一定での速度を維持した状態でないと...、MANT装備の効果は薄れてしまいます。
ワカミネ:要するに....少しでも速度を出せば補足される。
フラワ:然しノロノロもしていられない....ってトコね。
ディール:その通りです。
MANTは探知の障害となる粒子を機体の周囲に留まらせる形で散布する構造になっているため....
時間制限が有ります。
ワカミネ:....どの程度持つ?
ディール:........補給がままならない為、正規のMANTのパーツは入手できませんでした...。
その為、先の戦闘におけるD-IZの簡易MANT機構を無理やりCTとサイドホーンに搭載した結果....
....40分しか、持ちません。
ムーンライト:打ち上げに10分、荷物の積み込みに10分。往復に20分。....ってなモンやな。
ま、なんちゅうか....
フラワ:...ま、可能。ね。
ワカミネ:“理論上は”と言いたげだが。
ムーンライト:寸分違わぬ機体操作。....に、秒単位の時間管理でやっとこ達成できるミッション。
...ベテラン揃いの軍なら.....あるいはってハナシやで。
フラワ:....これ以外に道は無い。NOAHZが強硬姿勢に出る前に振り切り、姿を晦ませる(くらませる)しか。
ワカミネ:...その後のビジョンはあるのか?
ムーンライト:IOPLANETに並んだ軍事産業コロニー。
『NIER HARLEY』(ニア ハーレー)。
補給が十分に行われれば....セイヴァージークの剛推進段階飛行エンジンで飛んでいける。
そこでランドスタッドの本格的な補強...、改修、修繕を行う。
電力の自己発電によるベーゼ改修もしなければいけないから....やや足止めを食う形にはなるが...な。
...さ、そろそろワカミネにフラワ。
コックピットまで移動せえ。
<サイドホーン、CTのコックピット内に場面転換。>
フラワ:『...ね。聞こえる?』
ワカミネ:『何だ、フラワ。 個別回線を使わずとも普通にA.F.Sの専用回線で話せば...』
フラワ:『...私ね。...もし。もし....失敗しちゃったら。
べリオとディールに、謝っておいてほしいの。
いつも、ツンケンしちゃってごめんね、って。』
ワカミネ:『....自分で伝えるべきだ、と言っておく。』
フラワ:『うん。....うん....。 ...でもね、やっぱり。さっきのお願い。...もしもの事が有れば、べリオ達に伝えておいてほしいの。
....初めて、分かった。べリオやディール。ワカミネが、前線に向かう時の気持ち。
....敵機を前にしてもいないのに。
こんなにも、苦しいんだ。こんなにも....』
ワカミネ:『...その気持ちを大切にしろ。死を恐れないという感情は....フラワ。
お前にはまだ早い。そして,,,これからの世界には。これからの世界を生きるお前たちには...必要のない感情だ。
死を恐れろ。そして...必ず前を見ろ。目を背けず、自分の足で世界に立つと自分に言い聞かせろ。
そして....“生きる”を忘れるな。“生きる”事をすべての始まりと終わりに設定するんだ。
....大丈夫だ。 戦闘ではない。必ず成功させよう。』
フラワ:『...ッ...ひっく.....うん....!!』
ワカミネ:『二人で,,,、だ。フラワ。』
フラワ:『....うん...!二人で....!』
A.F.S男性作業員A:『CT及びサイドホーン両機のパイロット、ワカミネさんとフラワさん!
聞こえますか!』
フラワ:『えっ,,,,えぇ!』
ワカミネ:『聞こえている。』
A.F.S男性作業員B:今回の作戦ではCT及びサイドホーンのエンジンは応急処置を施してあるのみです。
急激な加速を起こすと,,,,,、エンジンは熱暴走を起こします。
また...、弾薬不足により両機の武装は大型EMPミサイル二基ずつのみです。
高いレベルでの電磁障害を引き起こし、レーダーを一時的に攪乱できますが.,....
弾速も遅く、機体に乗せるには誘爆を引き起こす危険性を孕んだ不安定な武装です。
.....もし、戦闘が起きた場合には....、セイヴァージークの残った火力で支援を行います。
落ち着いて帰投を主とした行動を厳に心掛けてください。
フラワ:『............。』
ワカミネ:『フラワ。』
フラワ:『...大丈夫。』
ワカミネ:『大丈夫でなくともいい。...落ち着いて、達成の事のみを考えろ。』
A.F.S男性作業員A:それではこれより発進シークエンスを開始します!
ワカミネ:『了解。...サイドホーン。』
フラワ:『CT!』
A.F.S男性作業員B:発進してください!
ワカミネ:『発進。』
フラワ:『..ッは、発進!』
<排出される煙が最小限に抑えられた発艦。
あまりにあっけ無く発艦された二機はそのままフェザーポータルの宙域発艦出口に滑り込み。>
フラワ:『ふうっ...、ふう....!!!』
フラワN:全身の毛が逆立つ....!
見えているのか、いないのか....!
“自分は透明だ”だなんて思いこめるほど自分に甘くなんてなれない...!
見つかれば....、死ぬ...!!!
抵抗も出来ずに、死ぬ....ッ....!!
成功させなきゃ...ッ、生きなきゃ...ッ!
でも...、でも....!!!
<場面転換 セイヴァージーク内。 セイヴァージーク発艦口から上半身だけを出し、ラストホルスを起動させているディテクター。>
ディール:...いけない!
ムーンライト:『何が起こったんや!』
ディール:フラワさんの機体の空中制御が乱れています!このままでは...
ムーンライト:『何や!!力み(りきみ)よったか!
しゃぁない、こーなりゃ不自然やがセイヴァージークでEMPミサイルを撃って....』
ディール:逆です!
過度な減速で落下するギリギリのスピードになってしまっているんです!
ムーンライト:『んにゃにぃぃぃ!?!?!?
...ックソ、神経と直結っちゅうのはこうもムラが出るもんなんか....ッ!!』
<場面転換 フラワコックピット内>
フラワ:はぁっ...、はぁっ.....!!
こっ、呼吸、がッ....!!
<次の瞬間、ふわり、と身体にかかるGが軽くなるような感触。>
ディール:ッッ、これは....!!!
ワカミネ:『言っただろう、フラワ。最初と最後は“生きる”で繋げ、と。』
フラワ:....ワカミネ....!!!
ディール:サイドホーンが、ボディでCTを押し上げている....!!!
ワカミネ:『機体の装甲の整備が不十分ゆえ..、あまり長いことフラワを乗せてはおけないがな。
...私が隣にいる。 私もお前も、きちんと科学の力で守られている。
セイヴァージークも、ディールの目を借りて...機体のサビが見える程に目を凝らして私達を見守ってくれている。
...独りではない。...さぁ。もう、飛べるな。』
<CTがスラスターを吹かし、安定した姿勢と出力と速度で飛ぶ。>
フラワ:『....うん......。....ッあ、りょ、了解....!』
ワカミネ:『...ッフ。(小さく笑う)
さぁ....行くぞ。(表情をすぐに引き締める)』
<音もなくフェザーポータルから宇宙に出た二機。>
A.F.S男性作業員A:CTフラワ機、速度正常値に回復!
姿勢制御も適正角度に修正されました!
サイドホーンワカミネ機の装甲への負荷も許容範囲内...、作戦続行問題ありません!
A.F.S男性作業員B:両機ともに宙域発艦出口に到達。
続いて補給船との接触を確認!!
補給物資の積載作業中!
ディール:『....特におかしな影や反応はラストホルスでも確認できませんね。
....良かった。』
ムーンライト:『敵さんのところのMANTを拾って使ってる割には上出来やな。
ま、なんとかなりそうで何よりやでホンマ....。』
<補給作業が行われている宙域より120km後方、戦艦“VAILSIDE”内。>
ヒメ:テ~~ンペスト大佐ぁ☆
なぁんかぁ~、アヤシ~動きしてる民間補給船を見つけましたぁ~っ☆
ラプラス:.....ほう。
ヒメ:え~~っとぉ。
ん~~~...?なんでかなぁ~...。補給船がぁ、急にピタッと止まって....アレは....貨物...?
金属コンテナが出ては....あれぇ?“どっかに行っちゃってます”~...☆
ラプラス:映像を共有してくれ。
ヒメ:了ぉ~解☆
<ヴン、と音が響いてヴェイルサイドの艦内モニターに補給船が映る。>
ラプラス:ふむ....。
...どう思う。
ネリル:では、僭越ながら私見を。
.....動き事態は積載物の確認の様に見えます。
ですが、やはり...金属コンテナが急激に消失しているように見えます。
...非科学的な表現ですが、異空間にコンテナが呑み込まれているようにも...。
....これは.....。
“光学迷彩されている何かに荷物が搭載されている”...?
ラプラス:ヤクト軍曹。
ヒメ:あぁ~~い☆
ラプラス:スナイパーライフルの安全装置を外し、射撃偏差システムに周辺環境値を打ち込め。
ヒメ:オッケェ~☆射撃待機しときまぁ~す...☆
ラプラス:“オッケー”では無く了解と返事をし給え。
そして,,,待機ではない。......“4秒後に ”補給船に直撃させるつもりで” “撃墜に足る威力で” “撃て”。
ヒメ:ッッ....。....了解~....☆
<ビュウウウウウウゥン。直後、不気味に落ち着き払った然し悪意を音として現したかのような一筋の低音が補給船に向かって放たれた。>
<しかし、補給船に直撃する瞬間、不自然に空間が曲がり、ビームが逸れる。>
ヒメ:ッッ何ィ...ッ!? 有り得ねェ!!! ヒメの照準は完ッッッ壁だった!!!
レティクルのエラーでも無い...ッ、大佐!違うんです、これは....
ラプラス:分かっている。ヤクト軍曹の射撃は正確であり...、確かに補給船の機関部に向けて放たれていた。
....ネリル。君の見立ては当たっている。
...あの補給船を見ろ。
<補給船は慌てたように針路を変えて逃げていく。そしてビームが歪んだ空間は不自然にバチバチと電流が走り、黒い煙が上がっている。>
ネリル:.....あれは.....!!!
ラプラス:“MANT”(マント)だ。
光学迷彩として知られている。
光の屈折率を極度に曲げ、レーダーを欺く。
ある程度の接近をしなければ確認はできない。
.....補給船を宇宙で待機させ、ステルス状態で補給物資を受け取り。
フェザーポータルで待機している戦艦に補給させ逃げる....といった算段か。
ネリル:...大佐。ご指示を。
ラプラス:..ヤクト軍曹。
今度は“撃墜させぬ様に” “フェザーポータルに帰投せざるを得ない軌道を取る様に”撃ってくれ。
ヒメ:了ッッ解ァァ~~~い☆ ....ッッッオラァ!!
<びゅいぃん、びゅぃいんと音が宇宙空間に響く。>
<場面転換 フラワコックピット内>
フラワ:きゃぁぁぁぁっ.....!!!!!
ワカミネ:『落ち着け!掠った(かすった)だけだ!』
<一瞬早くビームの接近に気付いたワカミネのサイドホーンがCTを突き飛ばすようにして庇う。
サイドホーンの翼にビームが掠めるが
フラワ:はぁっ、はぁっ....!!!
おち、落ち着く...!!落ち着く!!!
ワカミネ:『フェザーポータル内のセイヴァージークに火力支援の準備をさせる!
幸い積載自体は終えている、エンジンが焼け付く寸前の速度でセイヴァージークまで帰還するぞ!!』
フラワ:....ッ.....!!!了解!!!!
ヒメ:『アッハハハハハァ!!!!逃げろ逃げろォ!』
ラプラス:.....クルス准尉とパウロ中尉に臨戦態勢の打電。
ネリル:は。....詳細の内容については。
ラプラス:....ふむ..........。
<椅子に一瞬深く腰を掛けた直後に息を吐いて>
ラプラス:目標。“A.F.Sと呼称される集団の敵戦艦。” “確保を目的として鎮圧行動に出ろ”。
.....が。
ネリル:......““が””....?
ラプラス:“抵抗をするようであれば撃墜しろ”。
ネリル:..........ッ....承知致しました。
ラプラス:ヤクト軍曹。どうだね。
ヒメ:『完ァァ~ン璧です☆ 送られた軌道データ通りのルートでフェザーポータルまで逃げ込んでまぁ~す☆』
ラプラス:...そうか。
ネリル:大佐。 打電完了いたしました。
ラプラス:.....フン。
...........................期待しているぞ。
<場面転換 警報の鳴り響くセイヴァージーク内メインデッキ。>
<そんな中、作戦に参加しないから、そして脳震盪の影響でと自室待機を命じられていたカリオストロがゆっくりとベッドで目を開ける。>
カリオストロ:.....。
カリオストロ:........やっぱり。......か。
<場面転換 セイヴァージーク内メインデッキ>
ディール:『サイドホーンとCTに高密度の粒子ビームによる射撃行為を確認!
サイドホーンの右ウイングを掠め、それ以上のダメージはない模様!』
フラワ:なんですって...!? いったいどこから....!!
ムーンライト:....ックソ....ッ!宇宙海賊か!?
っちゅうか...どないしてMANTの光学迷彩を見破ったんや!
A.F.S男性作業員B:CT、サイドホーン共にセイヴァージークまで帰投行動を開始しています!
両機への正体不明勢力による射撃は依然継続中!然し直撃に至らない様に両機とも全速で帰投しております!
セイヴァージークへの帰還までの時間...、残り4分!!!
<次の瞬間、セイヴァージーク内に響く新しい警報。>
A.F.S男性作業員A:当艦正面、NOAHZのランドスタッド部隊を確認!!
名称不明の主力級ランドスタッド二体...、量産型ランドスタッド、スペリオル複数確認!
<セイヴァージークのメインデッキのモニターに映し出されるのは、二体のランドスタッド。
騎士の様ないで立ちのナイトスペリオル、そして鬼のような姿に青いカラーリングが禍々しく映えるアオオニが写っていた。>
ディール:...あの時の.....鬼.........!!!!!
ムーンライト:クッッッッ...そォォォ!!!!
気取られた(けどられた)!!!
セイヴァージークの現在使用可能武装は!!!
A.F.S男性作業員A:は...ッ、対地ミサイル用チャフと高濃度荷電粒子キャノン...のみ.....ッ。
ディール:『目くらましとキャノンだけなんて....ッ。
こんな急な戦闘にチャージなんて、間に合う訳が....!!』
女性医療班:っちょ...ちょっと待ってください!
べリオさん!まだ熱が下がっただけです!体組織だって回復は四割も進んでいません!少し力むだけで激痛が走っているでしょう!?
<医療班の女性メンバーが誰かを制しているような声が急激に響く。>
ムーンライト:...今度はなんやオイィ!!!
べリオ:........ムーンライト。
オレが出る。
<べリオが足を引きずるようにして現れる。>
ムーンライト:....アァ?
べリオ:聞いてたぜ。
チャフとキャノンしかねぇんだってな。
...どうせ今襲ってきてるNOAHZの奴らには俺らの武装がほぼ無ェってバレちまってる筈だ。
時間を稼げる機体は、オレのジェイルブレイクだけだ。
女性医療班:許容できません!今までどれだけ無理してきたと思ってるんですか!
血圧だって私の目を盗んで無理やり強心剤を打って上げているだけでしょう!
べリオ:んじゃ、どうすんだ?今の状況じゃあ誰が死んでもおかしくねぇ。
ジェイルブレイクのパイロットはオレだ。
この船に籠って何もせずに機体だけ取られるのを待てってのかよ!!!
女性医療班:ジェイルブレイクに搭乗したら今度こそ死ぬって言ってるんです!
...どうしてわかってくれないの!
ムーンライト:まぁまぁ。メディカルのおねえちゃん、ありがとうな。
...でもな。ここでNOAHに向かうアシを失ったら。オレらは何処にも帰れん。
NOAHにあるとされるモノを分捕り(ぶんどり)に俺らはここまで来た。
現に、ワカミネとフラワが補給物資を積んで今帰ってきよる。
一応....高濃度粒子キャノンもある。
...おい、ディール。
ジェイルブレイクの状態はどないや。
ディール:.....腹部の損傷については内部の形成のみ突貫の補修整備が何とか終わったところです。
...然し...燃料不足、加えてCTの予備エンジンとの適合率の低さを加味すると....
..”普通なら”、とても戦える状態とは...。
ムーンライト:...”普通じゃない”運用であれば動くんか?
ディール:...この事態を乗り切る為、であれば、約15分間程動かせるかもしれません。
..しかし、CTの予備エンジンの回転数の上限を取り払って、ジェイルブレイクの駆動部の爆発の危険性を考慮しなければ、です。
...非常に危険なプランです。
べリオ:ワカミネとフラワが返ってきて、着艦。補給物資の充填にかかる時間ぐらい、稼いでやる。
...セイヴァージークの高濃度粒子キャノンのチャージはどれくらいかかる?
A.F.S男性作業員A:剛推進段階飛行エンジンをフルアウトで回せば、10分程度なら...!!
べリオ:...決まりだ。
ムーンライト:...........。
べリオが時間稼いでる間にキャノン発射準備、返ってきたワカミネとフラワの持ってきた物資を補給してキャノン発射、そのまんまダッシュで逃げる。
..............。
..........ッ.........................!
セイヴァージークランドスタッド整備人員!聞いとったな!!
二分でジェイルブレイクに搭載されているCTのエンジンの回転数のリミッターを解除せえ!
べリオ:...ありがとな。ムーンライト。
ムーンライト:...お前の為やあれへん。
NOAHへ向かうためや。
....ま、アレや。
死ぬな。
ディール:NOAHZランドスタッド二機、回線にての通信を開始!
繋ぎます!
クルス:『ハイハイど~も皆さん。
なんか俺たちにダマでトンズラしちゃおうとしてるらしいじゃん~?
そりゃ~そんなことされたらオレ達だってハイそうですかって見逃せないワケ。』
パウロ:『...譲歩はせぬ。
命が惜しければ、投降し”髭”を始めとした機体を渡せ。』
ムーンライト:こらまたゴキゲンな譲歩もあったもんやで。
...悪いが、忘れてへんか?オレらはアンタらに故郷を吹き飛ばされとる。
...そしてオレらには、その真実を公表し、この世界の仕組みを変えるという強い意志がある。
パウロ:『...命を天秤にかけた時。人は二つに分かれる。
”選ばれた”と思い込む者。怯え逃げる者。
...聡き(さとき)は後者。そしてうぬらは前者だ。
意志などという甘露に響く幻に惑わされる事は無いぞ、若者よ。』
クルス:『....ラストだ。
俺たちには撃墜命令が出されている。
アオオニと対峙したパイロット、その船に君もいるんだろう?
君は頭が回る筈だ。
馬鹿には出来ないあの状況判断を見れば分かる。
今回も、理論的に考えれば分かるだろう?
...どの返事が、最適なのか。』
ムーンライト:...聞かれとんで、ディール。
ディール:...................。
────────”””理る”””!!!!!!!!!!!!!
クルス:『残念だ。』
パウロ:『撃墜する。』
<じゃき、と長銃と槍を構えたナイトスペリオルとアオオニ。>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【EPISODE8 EVILL INSIDE US(イビル インサイド アス)】
べリオ:『させねーーーーーーーーーーーーーーーーよ。』
<ジークセイヴァーのランドスタッド発艦口から巨大なカプセルが射出され。
ナイトスペリオルとアオオニに向かって射出されたそれは二体が避けた後にばかん、と割れ。
その中からジェイルブレイクが現れ。>
ムーンライト:『高濃度荷電粒子キャノン充填開始!レーダー関連に回す電力も切れ!探知はディールのディテクターに一任!
一秒でも早く荷電粒子キャノンを撃てるようにせぇ!!!』
<ぎゅぅぅぅん、とジークセイヴァー内が暗くなる。>
ムーンライト:...いよいよ正念場やでぇ.....!!!!!!!
<場面転換 ナイトスペリオル(以下NS)とアオオニ(以下AO)がジェイルブレイク(以下JB)と対峙する。>
パウロ:『...状況を見ろ。二と一。自殺がうぬの選択か?』
クルス:『ヤダねぇ。いつになっても、追い詰める側ってのも心が痛くなるもんなんだよ?』
べリオ:『ガチャガチャガチャガチャうっせェな。』
────────『ビビってんのか?』
クルス:『イイね。』
パウロ:『よかろう。そして..さらばだ。』
<ギュオッ、とスラスターを吹かして襲い来るNSとAO。>
べリオ:『うッ.....おおおおッ、ギリ....!!!』
<その二体の攻撃を紙一重でかわすべリオ。>
べリオ:『ぐ...っ、おらっ! ほっ....、まだまだ...!!!』
パウロ:『...妙だ。』
クルス:『”避けられ過ぎている”。
オレ達の攻撃も、そんなにヌルくないつもりなんですがね。』
パウロ:『...反射ではない。...文字通りの紙一重の回避、機体に攻撃が当たらぬ事も無し。
......目の前の機体のパイロットの小僧の目で避けてはおらぬ。』
クルス:『...というと.....?』
パウロ:『...”鷹”がおるな。』
クルス:『イヤ分かんねぇっすよ!
どういう事っすか!?』
パウロ:『...”鷹”の目を借りておる。
.....あの小僧....か。』
クルスN:あの小僧...? 狙撃がクソ上手えあのパイロットか...!!!
パウロ:『...そも、吾らを倒しに来ているのではない。
...時間稼ぎをしていると見た。』
クルス:『....なるほど。
...ま、狙いさえ分かれば...ッ!!!』
<JBを無視し、JBの背後のジークセイヴァーに向かって突進するAOとNS>
べリオ:『っぐ....まっ、待てッ....!!!!』
<すると次の瞬間、ひゅるるるる.....と不自然な角度から手りゅう弾の様なものが飛んでくる。>
パウロ:『クルス!!!!九時の方向に0.4秒スラスターを強制噴射!!!』
クルス:『....ッ、了解!』
<NSが飛びのいたそこに手りゅう弾が着弾、地面はしゅうしゅうと焼けたようにドロドロに溶けており。>
クルス:『....これは.....。』
パウロ:『禁止指定重化学兵器。....非道の上にランドスタッド戦において非効率とされた趣味の悪い兵器だが...。
....民の住まう土地で使うか。
.................ズング・ソーイ...........!!!!』
ズング:『私の治めるこのコロニー!
...賊と卑劣な権力主義の象徴、NOAHの兵士よ!
....この私が退けてくれる!....行くぞ!!!!』
<わらわらと現れたアークエンジェル部隊を率いるように先頭に立つズング・ソーイの機体”バスケットラースHD”。>
べリオ:『........ッッッッだよこのクソ立て込んでる時にィィ!!!』
ディール:『いえ!これはチャンスです。
このような混戦であればジークセイヴァーのみに目が向く可能性は低くなっています!それに...』
フラワ:『皆!!!!!!待たせたわね!!!』
ワカミネ:『補給物資を持ってきた。ジークセイヴァーはランドスタッド着艦口を開けて待機してくれ!』
ディール:『CT、およびサイドホーンの接近を確認!』
ズング:『あんなっ....ふぅ....!!!ふぅう........!!!!!
あんな...、あんなひこうきなんて怖くないんだ!!!
わたっ.....!!!私は!!!ズング・ソーイ!!!!!
ズング家の!!!ズング・ソーイだ!!!!!!!!』
<CTに向かって手りゅう弾を振りかぶるバスケットラースHD。>
べリオ:ッッッッさせねェ!!!!!!
<構えたバスケットラースHDの手首を蹴り上げるJB。>
べリオ:お前は何なんだ!!!
なんでそうやって外の世界を拒むんだ!
このコロニーを見ろ!
皆が飢えている!!
お前のその部隊のランドスタッドは何処から来るカネで作ってんだ!
...っ、なんで、部下を簡単に!!!爆弾みてぇな使い方出来るんだ!!!!!
<バスケットラースHDの肩を掴み、そのまま後ろへと突き飛ばすような態勢で背中のスラスターを吹かす。>
べリオ:誰も!死にたくねぇんだ!!
誰かの為に命を使われてもいい人間なんていねぇんだ!
俺たちは通りすがりの人間かもしんねぇ!
お前にしかわからねぇ苦しみがあったのかも知んねぇ!!
でも!!!
それでも!!!!死にたくねぇってのは皆思ってんだ!
それを無視する権利なんてのは...カネでも!コネでも!!
手に入らねぇし....手に入れちゃいけねぇモンなんだぞ!!!!!
ズング:ひいいいいいいいッッッッ..........!!
黙れ!黙れ!黙れ!!!私を!!私を認めない世界が悪いんだ!
私に見下されているべき存在が蔓延るこの世界を!
私が変えるんだ!私は被害者だ!その私が立ち上がって何が悪い!
お前ら加害者に報いを与えて何が悪い!
...ッ、勇猛なる我がアークエンジェル部隊!!!!
気圧されるな!!!!
かかれええええええええええええッ!!!!
<ドォン...、と巨大なビルに激突して動きが止まるJBとバスケットラースHD。
然し、それに構わず挙げられたズングの声に呼応するようにアークエンジェルの部隊がNOAHZとジークセイヴァーに襲い掛かる。>
べリオ:...ッ救えねぇ奴...ッ!
ジークセイヴァー!
チャフをバラまいてミサイルからのロックオンを避けろ!
アークエンジェル部隊はミサイル兵器をマウントしてやがる!
ッッッどけェ!!!!
オラァ!!!
<バスケットラースHDを蹴り飛ばしては踵を返しNOAHZとアークエンジェルの入り乱れる混戦へ飛び込んでいくべリオ。>
べリオ:補給物資の積み込みはまだか!!!
つーかそろそろ粒子キャノンも撃てんじゃねぇか!?!?!?
ムーンライト:もうちょい保たせろや!!
ワカミネのサイドホーンのウイング部分の損傷が延焼しとってな、搬出にも一苦労なんじゃ!
ちゅーーーーかお前こそジークセイヴァーのキャノン使ったときにすぐ帰投できる距離で戦わんかい!!!
ディール:べリオさん!!!右!!!!!!!!!!
べリオ:うッッッお...ッ!
<ガギィン、と唐突にべリオの機体の右の死角から槍が迫る。
それを探知してべリオに伝えるディール。
べリオは反応し、機体の手の甲で槍を弾く。>
クルス:『あっちゃ~.....。今の反応するかァ~.....。困るんだよなぁ....。』
クルス:『....これでお前らはNOAHZ全体からの要警戒対象に格上げだ。
ンで....』
パウロN:些か(いささか)、早いが...。
機、か。
クルス:『オレもこの状況だと...本気を出さざるを得ねェ。
.....”脱ぐ”ぜ。』
NS『MORE GO STRAIGHT』
クルス:『ファングネガティブ!!』
NS:『EVEN I DIE.』
<ばぎん、ばぎんとNSのアーマーが分解されて地面にずしんと音を立てて脱着されていく。
そして脚部の関節はめきめきめきめき...ッ,ゴギン。 耳を塞ぎたくなるような生々しい音と共に逆関節に脚部が変形し。>
クルス:『この変形状態はマジしんどいんだよ....。
足の形が妙ちくりんだろ?加速の感じもなんか人間っぽく無くてなァ。
.....さて。掃除だ。』
べリオ:『ジークセイヴァー!!!!衝撃に備えろォ!!!!!!』
ディール:『ジークセイヴァー!!耐衝撃看板を前面に集中!』
<ぎゅぼっ、と空気を泳ぐかのような音。
異常な速度で飛び出したその機体 ナイトスペリオル・ファングネガティヴ(NSFN)。
その機体がジークセイヴァーに接近する。
そして一瞬遅れジークセイヴァーの船体の前面に船体を覆う防御板が集中する。
それに構わずNSFNが右腕部のエネルギービームクローでジークセイヴァーを殴りつける。>
<場面転換 NSFNに殴られ、衝撃に揺れるジークセイヴァー内。>
ワカミネ:ぐぅぅっ......!!!!
搬出作業を止めるな!!
搬出が終了次第私も戦闘に参加する!
ムーンライト:無茶言いなや!!!
サイドホーンは被弾しとる!
出撃は到底無理や!
爆発すんど!
ワカミネ:何と.....歯痒い....ッ....!!!
フラワの搬入作業はまだか!
フラワ:『大丈夫...ッ、大丈夫ッ!!
ぐっ!! 冷静に...!!!』
(そう言いながら腰部にマウントされているビームハンドガンでアークエンジェル部隊やNOAHZの部隊をけん制しているCT)
べリオ:『フラワ!!絶対ぇそこから前に出るな...よッ!
そこに居る限り、オレが守ッ....数が多いんだよクソッタレがァ!』
フラワN:あちこちから、アラーム音....!!
落ち着いて、落ち着いて....!!
ロックオンをして、撃つ...ロックオンをして、撃つ...!
べリオ:『ディール!!!フラワの周囲の敵をマルチロックオンしろ!!!
オレのジェイルブレイクのミサイルを全部使う!』
ディール:『っそ、そんなことをしたらジェイルブレイクのバッテリーが...!!』
べリオ:『早くしろォ!!!!!!!!!!』
ディール:『...了解!! マルチロックオン...完了!!』
べリオ:『オオオオオオオオオオおおおおお吹き飛べコラァァァァァァツ!!!』
クルス:『おおっと。それ食らうのはちょいマズいな。』
<JBの肩がガパッ、と開き。小さなミサイルが大量に射出され、フラワの周囲のアークエンジェル部隊のD-IZとNOAHZ部隊のスペリオルがミサイルによって破壊されていく。唯一NSFNのみが一瞬早く飛びのいてミサイル群を回避し。>
フラワ:『ハァッ...、ハァッ、べリオ!!有難う...ッ!』
べリオ:『礼は要らねぇ!!いや強いて言うならあとでおっぱいとか見せてくれ!
ッッ今は死なねぇ事だけ考えろ!』
フラワ:『分かってんのよ...ッ、こんな時までキモイのよ!
スケベ男!』
<がっしゃん、とJBの機体と背中を合わせてビームハンドガンを構えなおすCT。>
ズング:『ぐうううっ...たった二機!!たった二機の賊!!!
なのに...ッ、なのにいいっ!!何故私達は煮え湯を飲まなければいけないんだぁ!
それもこれもNOAHZの邪魔のせいだ...っ!』
クルス:『あ~~あ、また吠えてますよォ。どうしますか、中尉。』
パウロ:『..面倒じゃの。
...。討つか。..いや、待てい!!!クルス!!!』
ズング:『変ッッッ!!形ぇぇぇぇ~!!』
<NSFNが跳躍戦と身をかがめ、AOが長銃をゆらりと構えた瞬間。
ズングが叫ぶとバスケットラースHDの機体がピーナッツ状に包まれる様に変形していく。
変形がガチャコン、と完了したその姿はゆで卵に手足が生えたような格好だった。>
クルス:『何だ...こりゃ.....』
パウロ:『まこと....異形....。』
ズング:『これは...ッ、これは最後の手段だ....!!!私が悪いんじゃない...!!!お前らが悪いんだ...!
この私を追い詰めるからだ....!!クックック...私は追いつめられると何をするか分からないんだ!
私はサイコパスなんだ!異常者なんだ!!あ~~~っはっはっはァ!
後悔しろ!後悔しろォォ!総員!準備ィィ!』
アークエンジェル戦闘員A:『ハッ!』
アークエンジェル戦闘員B:『然し...ッ、この兵器はあまりにも...』
ズング:『いいから撃てェ!!!!お前たちの親も娘も殺すぞォォ!』
アークエンジェル部隊戦闘員A:『ひっ....、は、発射ァ!!!』
フラワN:アークエンジェルの部隊の兵士が打ち上げた一つの砲弾。
”何処に打ち込んでいるんだ” ”焦ったのか”?
...そんな風に、きっとすぐ意識の外に追いやって、目の前の敵に集中するべきだったのかもしれない。
...だから、何故...、どうして、見当違いの上空に飛んで行った一発の砲弾に目を奪われたかは分からない。
ただ、もし....悪意というものが有るのなら。
上空に打ち上げられた一発の砲弾。
NOAHZもA.F.Sも、皆が上空に...その砲弾に一瞬を気を取られて、次の瞬間。
ディール:『ジークセイヴァー!!!!キャノンのチャージを中断し後方へ即の回避行動!!!』
べリオ:『フラワァ!! 来い!!!』
<べリオとディール、それぞれの機体がモニターに警告を出す直前に二人は回避行動をとっていた。
JBはCTを抱え敵に背を向け後方へと走る。ジークセイヴァーも同様に重たい船体を引きずるように後退する。大量に土煙が巻き起こり船体に傷が付くのにも構わず意も介さず高速で移動をしている。>
フラワ:『ッちょっと!乱暴にしないで!物資が壊れちゃうじゃない!誘爆する資材だって積んでんのよ!!』
べリオ:『分かってる!分かってっけど....違うと信じてェが....!!!ありゃ一発でも....いや、”一滴でも食らうとマズ”い!』
<場面転換 クルスとパウロ>
パウロ:『クルス。追うな。』
クルス:『...分かってますよ。...何だ、あの砲弾は。』
パウロ:『ただの若兵による精度を欠きし射撃....ではないのう。
....あれは...』
パウロ:『避けい!!クルス!スペリオルも各機上空の射出物に対し回避行動!!』
クルス:『クソッ...何だってんですか....ッ!』
A.F.S男性作業員B:広範囲散布兵器検知!!!
内部構造をレーザーにて簡易探知します....!
....これは...ッッッ....
ズング:『あは、あははははははァ!!!我がアークエンジェル特製CC・BULLETォ!!! ”降り注げェ”!!!!!』
<砲弾が空中で炸裂した瞬間、黄緑色の雨の様なものが戦場に降り注ぐ。
次の瞬間、黄緑色の雨に降れたアークエンジェルのD-IZの機体が次々とどろぉ、ぐしゃぐしゃと溶解し崩れ落ちていく。>
ムーンライト:『野郎ォ....ッ!!』
アークエンジェル戦闘員A:『あれを...ッ、アレを使うなんて....。』
パウロ:『....本意にせよ不本意にせよ。この地は己が(おのが)治むる(おさむる)土地であろう。
...最早正気には戻らぬか。』
クルス:『この数値は!...中尉!』
パウロ:『うむ。....堕ちたのう、ズング。”撒き散らしおった”。』
クルス:『これは...ッ...!!』
<場面転換 ジークセイヴァーランドアームズ着艦口>
ワカミネ:『....そんな.....、イヤ、しかしこの現状....ッ! ズング・ソーイ...ッ!......無関係の人間までも...ッ!』
<場面転換 ジークセイヴァーメインデッキにべリオからの通信が響き渡る>
フラワ:『ディール!!ジークセイヴァー!!!
逃げ遅れた機体が全てドロドロに溶けて...ッ、変な色の煙も上がって、地面もボロボロ!!!
いったい何が降ってきたのよ!』
ムーンライト:『落ち着いて聞けや、べリオ。
ソーイの坊ちゃん、気ィでもやったんか....
ありゃぁ...』
べリオ:『....アレは....。
宇宙法禁止指定及び所持制限兵器。
弾薬を作る人間が最初に頭に叩き込まれる”作っちゃいけねぇ弾薬”の一つで...
使用は疎か(おろか)、研究も所持も禁止や制限が敷かれているシロモンだ。
正式名称はCFENW・COATING・BOMB。通称CCBOMB。
弾薬つってるが、サイズは完全に戦場で使えない程の巨大な爆弾みたいなモンだ。
運用は非現実的とされててな。....まさかナマで拝むたぁ思わなかったが...
なんつうこった....ッ!完全に小型化に成功している...ッ!!!』
ムーンライト:『....っぐ...!!!
ボサッとするなァ!管制官!検知した内容物は何や!
べリオ!CTを後ろに下がらせろ!
ほんでアークエンジェル部隊の射撃行動の前兆のある機体を片っ端からブッ壊せ!』
A.F.S男性作業員A:内容物....
核廃棄物と固形電磁通信障害発生原料を混ぜたものです...ッ!!!
ムーンライト:『イヤ分かるかァ!分かりやすく説明せぇ!』
べリオ:『核廃棄物の有害さは分かるよな、ムーンライト。
それに電磁発生ビーズとかの原料の液体を混ぜて...”異常な温度で熱した直後に固めた”モンだ。
ガキでも分かる...毒の王様だ。
機械と人間を両方殺す。
助けの声を上げようにも電磁障害のせいで通信もできない。
”旅立ちへの痛み”で密かに生み出され、使用寸前まで行ったが資金と研究にかかる時間の問題で使用こそされなかった悪魔の武器。』
ムーンライト:『..........バカな......。』
べリオ:『この武器はな。その場にいた人間を遅かれ早かれとにかく”必ず殺す”事に特化した武器だ。
ジークセイヴァーのデッキ、ポッド、発艦口も今すぐに全部閉めろ。
艦内に少しでもCCBの成分を含んだ空気や水分が入り込んだら半数以上が死ぬ。
そうでなくても多分ずっとここに居りゃダブルシーボムの直撃を食らってなくても電磁障害で連携取れずに死ぬ。
...分かったら、サッサとワカミネのサイドホーンが爆発しねぇ様に物資を収容してくれ。
オレが作り出せる時間だってあともう10分と無ェ......んだから....よッ!』
<そう言うとCCBが爆発した後の範囲に飛び込み。
呆然としているDI-Zとスペリオルの部隊を徒手空拳で殴り飛ばし>
ディール:『べリオさん!左後方50度に敵機!』
べリオ:『どっから来るか分かってりゃ怖くも何も無ェ....ってなァ!!
吹っ飛べバカタレがァ!』
<バギン、と迫りくるスペリオルを裏拳で吹き飛ばし>
<然し、ズルり、と機体が滑るような感触に襲われるべリオ。>
べリオN:ッチィ....ッ!!
地面が溶けてやがんのか....!!!
ディール:『べリオさん!』
べリオ:『分かってらディール!
多少足場が悪くったってこんぐれぇ...ッ!』
ディール:『違うんですべリオさん!
ジェイルブレイクの足が...ッ、僅かですが融解しています!』
べリオ:『んなっ....何ィィィィィ!!?!?!?』
べリオ:『直撃はしてねェ筈だ!!!何で.....ッ、まさか....!!!
残留物質だけで....!!!!』
ディール:『ジェイルブレイクの右足のスラスター噴射機構のエラーを検知!
べリオさん...ッ、今すぐ離脱してください!』
ムーンライト:『クッソッ....ジロォ!!!!!!
アカン、ジークセイヴァー!!!
キャノンの出力を下げてすぐ撃てるようにせぇ!!
ジェイルブレイクに道を作る!!』
べリオ:『構うな!!!!
フラワの収容を急げェ!!
オレの左足とバックパックのスラスターで離脱は出来る!!
っぐ.....』
<メキメキメキ、と軋む音が大きくなっていく。JBの右足が徐々に有らぬ方向へと曲がっていく。>
フラワ:『べリオッッッ!!!!!!』
ムーンライト:『っく........ぅ.................!!!!!
整備班!!!!サイドホーンからの積み込みは終わったかァ!』
A.F.S男性作業員B:『物資の搬入終了!
CTの搬入作業に向けて整備員の退避も完了!
いつでも受け入れが可能です!』
<作業員のインカムが流れるとヘルメットを抱えてワカミネがメインデッキに走ってくる。
そのままつかつかつかとムーンライトを通り過ぎ、メインデッキの作戦用デスクにダァン!!!と拳を叩きつける。>
ワカミネ:......ッあれは....ッ....!!!
あの!!!私よりも若い!!!兵士たちの居る戦場に降り注いだのは!!!!ダブルシーボムだ!!!!!!!!!!!!!!
クソッ.....!!!!クッソおおおおおおおッ!!!!
何て情けない....ッ!!!何て歯痒いんだッ!!
すぐそこで!!すぐそこで戦っているのにッ!!!
私だけ...ッ...!!!
....ッふ....ふう......ふう................。
...済まない。取り乱した。
メインデッキの射撃補佐官の数はまだ空きが有るだろう?
...私にやらせてくれ。
ムーンライトN:.....流石やなァ。
....恐らく、無力な自分を許せはしてへんのやろう。
とはいえ、...ってな塩梅で頭を冷やした。
.....親父を思い出すわ。
軍人っちゅう生きモンは....怖ェなァ、おい。
ムーンライト:助かるわ、ワカミネ。べリオの周囲の敵のロックオン、地形変動の予測演算をしてジェイルブレイクに10秒毎に送ってくれや。
オラァ!!CT着艦準備!
A.F.S男性作業員A:『了解!ランドスタッド着艦口開け!
着艦口開ける際は大気成分モニターを常に高レベルで稼働!異変が起こった場合即整備員は即時退避をしてください!着艦口が閉じられます!
この行動においては整備員の安全確認は行われません!繰り返します!整備員の安全確認は行われません!』
ムーンライト:『焦んなよォフラワ。
お前が積んどるもんはこのデカい船浮かす燃料やらなんやら詰まっとるんや。
そ~っと、そ~っとや。いつもの着艦よりだ~~~いぶ慎重にな。....イヤでも急いでくれ!
べリオかて稼げる時間は無限にあらへん!』
フラワ:『ちょっと!いっぺんに言われたって出来ないもんは出来ないんだから!
分かってんのよ、そんなことあたしが一番!
...ふー...ッ.....。』
<ゆっくりとCTが前傾姿勢になり、着艦口に入っていく。>
ワカミネ:『....成程な。ランドアームズと違いCTは人型。』
ムーンライト:『ランドアームズの着艦とランドスタッドの着艦はワケがちょいと違う(ちゃう)からな。
戦闘機型が慎重に着艦するのはまだええ。CTやジェイルブレイク、ディテクターやネペンテスを始めとしたランドスタッドは人型や。
”詰んだ物資を刺激せずに着艦する”なんちゅう芸当は..神経連結されたCTでも、だ~~いぶシンドいやろうな。』
ワカミネ:『.....フラワ...。』
<表情を変えずにモニターを見つめるワカミネ。
然しワカミネの膝には右手が置かれ、その右手はワカミネの膝に爪を立てるように強く握られていた。>
フラワ:『あとちょっと...、あとちょっとで着艦口にCTが入る....ッ!』
<しかし次の瞬間、ズングの機体から通信が入る。>
ズング:『くふっ.....くっくっくっく.....
勝ったつもりかよォ!? 乗り切ったつもりかよォ!?
この私に偉そうに説教をしておいて、ただで済むとでも思っているのかァ!?
あははははははァ!!!!
射撃兵装を構えた機体だけがダブルシーボムを撃てるとでも思っていたら、大間違いだァ!!!
私の箱舟にもダブルシーボムは積んであるんだよねええええええ!!!
”LOST STELLA”ァァ!!!! 発射しろォ!』
<場面転換 ズング・ソーイ 専用居住用特殊光学迷彩装備ステルスコロニー “LOST STELLA”。
宇宙に揺蕩うその個人用コロニーの一部がバカン、と開いて一発の砲弾が射出される。>
<場面転換NOAH戦艦”VAILSIDE”内>
ネリル:大佐。
ラプラス:...分かっている。
ズング家の恥...ついに一線を越えた。
ヒメ:『撃ち落としますかァ~~ッ?☆』
ラプラス:いや....”良い”。 ”寧ろ” ”非常に” ”好都合”だ。
ネリル:.........ッ...。承知いたしました。
ラプラス:パウロ中尉とクルス准尉に伝えろ。
ネリル:は。内容を。
ラプラス:...『”フルアウト”での作戦行動を開始せよ。』
ネリルN:....想定よりも早い...。
ネリル:承知いたしました。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【EPISODE9 BRING ME DOWN(ブリング ミー ダウン)】
<場面転換 パウロとクルスの居る戦場>
パウロ:『む.....。クルス。』
クルス:『分かってますよ。”上”からの伝令。
...作戦コードフルアウト。
思ったよりも早いですね。』
パウロ:『吾らが思案する事ではない。
構えろ。』
パウロ:『アオオニ及びナイトスペリオル直属後方及び近接支援部隊に告ぐ。
作戦コードワンサイドが発令された。
火器管制システムのリミッティングを解除しろ。
ライフルのシステムはフルオートにロック、加えて徹甲榴弾、ホローポイント弾のカートリッジの使用を許可。
”NOAHZ未認可の前方ランドスタッド群の全機排除を目的に行動せよ。”』
クルス:『さ......ラスト。いこーか。』
<場面転換 ジェイルブレイクコックピット>
ディール:『べリオさん!NOAHZランドスタッドの排熱量が急激に増加!
それに...ッ、”何らかの接続音”!射撃武器のアタッチメントの変更が予想されます!
敵機の変則的な動きに十分に注意をしてください!』
べリオ:『思うんだけどよォ....”注意して下さい”っつーこっちのポテンシャルに頼りっきりのアドバイス風投げやりエール個人的に全然好きくねぇんだよなッッッ......とォォ!?』
<間一髪で身を捻り轟音で風を切り裂きながら高速で迫る弾丸を避け>
ディール:『ホローポイント弾です!一発でも当たると機体内部に弾丸が食い込んでズタズタに機構が破壊されます!
絶対に避けてください!』
べリオ:『分かってら!!!あんなヤベェ音出すモンに当たったら死ぬってことぐれぇよォ!』
ディール:『べリオさん!前!!!』
べリオ:『あ?ッッうぐォッッッ.....!!!!!!!!!!!!』
<跳躍して急接近してきたNSにヒザを顔面に入れられ仰け反るJB>
ディール:『べリオさん!』
フラワ:『べリオ!』
クルス:『遊びはここまでだ。..イヤ、最初から。遊びが通じる世界じゃなかったんだ。
...悪ィな。味方同士に生まれてたら、酒の一杯でも交わしたかったぜ。』
ムーンライト:『っぐ.....ワカミネ!べリオの右脚部損傷状況とマルチロックオンミサイルの消費エネルギーの分を合わせて稼働限界時間をもう一度出してくれや!』
ワカミネ:『もう行っている!.......く....ッ、残り3分に満たない....!!』
ムーンライト:『ぐうううううう....ッ...!!もう限界や!!!充填を中止!CTの搬入を急がせつつジェイルブレイクへの火力支援を開始せえ!』
フラワ:『....ッ辞めて!!』
ムーンライト:『言うとる場合か!!! べリオは勿論ジェイルブレイクもぶっ壊される!ジェイルブレイクがぶっ壊れたらもう俺たちの船の迎撃性能はカス同然や!仮に宇宙に飛べたとして宇宙海賊に襲われただけで死ぬんやぞ!』
ワカミネ:『電力に頼らない火器をセッティング中...!!!然し....チャフ以外には誘爆の危険性が67パーセントの武装しか残されてない,,,,,ッ!
ミサイルに97mmマシンガン....、どれも誘爆すれば連鎖爆発で...ッ...』
べリオ:『何ッッッッッッッッ回も言わすなァァァァァァァァッ!!!!』
ムーンライト:『なん.....』
フラワ:『み..............耳が..................』
べリオ:『オレが死んでねェんだからゴタゴタ言うなァ!!!!
ディールの目と耳!ワカミネの送ってくれる地形情報もある!
稼働限界は....3分!
青いのとケモノ....、ほんであのゆで卵みたいなのを三分以内に潰す!
行くぜ!!!!』
ムーンライト:『待てアホッ.........』
べリオ:『だらァ!!!』
<膝蹴りを食らわせた後に背後から忍び寄ったNSに回し蹴りを入れ>
べリオ:『ほら見ろやァ!!!むしろ右足が滑って良~いかんじに回し蹴りが出来るようになってちょうどいいぜオラァ!』
<よろけたNSに飛び掛かってマウント体制を取るJB>
ムーンライト:『.....なんか』
フラワ:『....案外』
ワカミネ:『押しているな。』
べリオ:『このまま両手足ブッ潰してやらァ!ディールの敵討ちっつう事で.............あ?』
<すかっ、と両こぶしを握り合わせ振り下ろそうとした腕が空振るJB。>
べリオ:『...なんだ?空振り....』
ディール:『べリオさん!伏せて!!!』
<めきゅっ。VIIIIIN。そんな異音がべリオの頭に響く。次の瞬間、べリオの目や鼻、口からどばっと血があふれ出る。>
べリオ:『ッッごぶ......ッんだ....こりゃ......』
<全く外傷もないJB。然しバチバチと関節部から火花が立っている。ぐらり、と態勢を崩す。
その隙を逃さずNSが右腕でJBを吹き飛ばす>
べリオ:『ぐああああああああああああッッ!!!!』
<フラフラと立ち上がるJB>
クルス:『野郎が........次は決めてやるぜ.....!!』
パウロN:『..............? 理由は分からんが.........生きておるのか..............。
確かに致死量のEMPビーズ弾を機体の隙間に打ち込んだ。
コックピットを致死量の電磁波が襲っている筈だが.....。
辞めだ。不可解を解くは吾の任で非ず。
獲物が死ぬまで引き金を引くが吾の命。』
クルス:『パウロ中尉ッ!』
パウロ:『応。』
<ドンッ、と地面を蹴るNS。そのNSを追うように長銃のスコープを覗くアオオニ。>
べリオ:『か....ッ、かかって来いや!!あと2分ッッッ!!!!!』
<がしゅん...とファイティングポーズを取るJB。>
ディール:『べリオさん!ジェイルブレイクの両手が切断されています!!!!!!!』
べリオ:『.............なんっ............』
べリオN:いつの間にッッ....!!!いや、そんな事より、なんで,,,,ッ!
<手首から先のない腕を思わず確認するJB>
クルス:『おいおい。 今見るのは自分の腕でイイのか?
オレなら目の前の敵から目ェ離さねェけど.....なッッッ!』
<急接近したNSがJBを蹴り飛ばす。>
べリオ:『うっ....ッ、ごぉぉッ....!!!』
ディール:『べリオさん!!!機体をフラつかせては....ッ!!!
その方向に足を踏み出すと射撃されます!!!』
パウロ:『遅い。戦場での千鳥足は的にすらならぬ。
吾の熱発生断裂圧縮弾の狙撃で両手を失い、然し脚も満足には動かせず。
EMP弾で死にこそせぬものの機体の動きはより緩慢に....。
まこと、哀れとしか表現できぬのう。...支援部隊。
ズング・ソーイの施設部隊への火力制圧の4割を”髭”に向けい。』
<JBの全身に射撃が向かう。
全身が砕けそうになるJB>
べリオN:っごっほ......ダメだ.......目が............血が垂れてんのか?
振動でモニターがブレて見え....ね..........
ディール:べリオさん!!!べリオさん!!応答してください!べリオさん!
ワカミネ:超高濃度の電磁障害ミストが滞留!
通信可能帯域の電磁波が全て遮断されている!
ディール:....あの射撃の雨........ッ....。
全てべリオさんとジェイルブレイクに....。
ワカミネ:.........確保をする気は無くなったように見えるな。
ムーンライト:もうガチで限界の限界や。ジェイルブレイクもべリオも目の前で見殺しにできん。
火器管制システムを起動。ジェイルブレイクの収容の為にアームを強制起動や。
異論は認められへん。
火力支援を行いながらチャフをありったけバラ撒いてジェイルブレイクへの射撃の目を逸らす。
ジェイルブレイクとCTを収容したら補給物資のエネルギーで全力で目標の次のコロニーまで全力で逃げる。
ディール:あまりに危険な賭けです!成功確率の低さは貴方にだって分からないわけじゃないでしょう!
ムーンライト:この言い争っとる時間がすでにもう無駄っちゅうことに気付けェ!!!
危ない橋なのはハナから分かっとるんじゃ!!!!
それに...NOAHZもオレらを狩るには戦力が少なすぎるんや!
恐らくまだNOAH全体でこの情報は共有されとらん!
加えてこのフェザープラネットでのゴタつき.....NOAHはオレ達を意識する余裕なんざ無い筈や!
これだけ時間稼いだんや、エンジンブンまわしゃ戦艦の一隻や二隻振り切って目的地まで逃げられる!
ディール:....っぐ.......!!!
A.F.S男性作業員A:急報です!!ランドアームズ発艦口が起動!
ムーンライト:ッば......バカ何をしとるんや!!!
ダブルシーボムの毒が入ったらどないするんや!
A.F.S男性作業員A:不明です!発艦許可も出していませんし....全くの不明です!
ムーンライト:クッソ....ハッキングか!?
A.F.S男性作業員A:いえ!正常な認証を経ての発艦口のオープンです!
ムーンライト:ほんじゃいったい誰がッッ.........!?!?
A.F.S男性作業員B:むっ....ムーンライトさん!
サイドホーンのエンジンが点火!!
パイロットは.....
<バッ、と背後を振り返るムーンライト。
そこには、ワカミネが座っていたであろうデスクと椅子だけが残されていた。>
ムーンライト:アカン!!!止めさせろォ!
ワカミネ:『ムーンライト。』
ムーンライト:『ワカミネェ!!!これは作戦行動ちゃうやろがァ!!!!
降りて地形情報の演算を続けんかァ!』
ワカミネ:『済まない。
....でも、自分より若い命が消えようとしているのに、呑気に計算などしていられないんだ。
私は軍人だ。...命の順番など、とっくに分かっている。
...サイドホーンの装備で敵陣地に突っ込む。このサイドホーンのEMPミサイル装備ならば....爆発が起きれば電磁障害ミストの滞留を吹き飛ばし、爆風で戦況において優位に立てるだろう。』
ムーンライト:『アホな事言いなやァ!クソッ!!メカニック!サイドホーンのシステムをオーバーライドせえ!!
勘違いすなやワカミネ!アンタもサイドホーンも大事な戦力なんや!みすみす失えるかァ!』
ワカミネ:『.....フ。君は、嘘が下手だな。爆発寸前のランドアームズなど、物資を積み終わってからは時限爆弾と同じ。
この極限状態でそんな荷物を抱えていられないだろう?
私はセイヴァージークの操舵も火器管制の射撃も出来ない。
火器管制の管理や地形情報など、誰でもできる仕事などしていられない。
...止めるな。私にしか出来ない事をするだけだ。』
ムーンライト:『コラァ!!!どうして...!!!どうしてお前ら軍人は...ッ! 残された人間は感情がないとでも思とんかァ!!!!!!
行くな!!!止まれ!!!』
ワカミネ:『.....そう泣くな。決意が鈍るだろう?
...月並みな言葉しか出んな。だが...私らしい。
有難う、A.F.Sの皆。
私は漸く私として使命を全うできる。
軍に居たから、ではない。
大人だから、ではない。
私が私だから。それを胸にサイドホーンで翔ぶだけで、君達の行く道を切り開ける。
...だから....こんな時に言う言葉ではないとは分かっているが....。今は、嬉しくて仕方ないのだ。』
A.F.S男性作業員B:サイドホーン、エンジン臨界点到達!
このままでは本当に発進します!
ムーンライト:『ワカミネ゛ぇ!!!アカン!!!!行くな゛!!!!!』
ワカミネ:『...もう、べリオを叱れなくなるな。
..........ペオ。エボル。きっと。きっと、このA.F.Sがもっと。もっともっと。明るく、すべての人が上を向くような。
そんな世界を作ってくれる。だから....少し先に、私は宇宙で待っていよう。なに、大きくなったお前たちと、きっとまた会える。
寂しくはない。
A.F.S、ワカミネ スギウラ。サイドホーン。
出撃する。』
<GYUUUUUUUUUUUUUNと耳に突き刺さる様なエンジンの唸る音を響かせてサイドホーンが発進する。>
パウロ:この射撃の雨でも爆発せんか。
....最新鋭の衝撃吸収機構の賜物であるな。
......が。吾の目は誤魔化せぬ。
もう保たぬであろう。
...髭よ。己が身内の船を庇い幾千の矢をその身に受け立つ姿....弁慶の如し。
吾の胸に刻むに値する姿であった。
.............む........?
あれは.......
.....手負いのランドアームズなど......
クルス:『撃ち落としてくださいよ、パウロ中尉。』
パウロ:『無駄な抵抗よ。....落胆させてくれるな。...青き鳥よ。さらばだ。』
<がしゃんと長銃を構え、突っ込んでくるサイドホーンに向かって射撃するアオオニ。>
<然しサイドホーンは被弾をしても止まらずに突っ込む。>
パウロ:『...................ッ.............。これは.........!!!』
パウロ:『全隊!!!現在地からの離脱!!!
敵ランドアームズの突撃を確認!』
クルス:『....ク....ッソが.....!!! あの速度で突っ込まれたら、とても間に合いません!!!』
ワカミネN:『.........とても静かだ。
何も聞こえない。
...そうか。これが....
これが、”生きた”という事なのだろう。
怖くはない。私は、精一杯生きたのだ。
死を肯定する訳では無い。
だから....。A.F.Sのメンバーの皆。
こんな選択肢を取る様な我儘は.......私で最後にしてくれ。
嗚呼....。
聴こえる。
とても懐かしくて、とても暖かった....あの二人の歌が。
....満足だ。』
<瞳を閉じて、ワカミネの搭乗するサイドホーンが敵陣地に突撃。
強烈な爆発が起き、電磁障害ミストは大きく円を描いて吹き飛ばされる。>
A.F.S男性作業員A:......目視はされたと思いますが....ッ。
サイドホーンによる爆発と思われます!
......電磁障害ミストの滞留は解消!
同時に、CTの回収作業、終了!
A.F.S男性作業員B:ジェイルブレイクへの一斉射撃の中断を確認。
ジェイルブレイク、回収します。
<セイヴァージークの前面にアームが展開され、ジェイルブレイクを掴み引き寄せる。>
ディール:.......ムーンライトさん。
ムーンライト:.....気にすな、切り替えとる。
作業班!補給物資による剛推進段階飛行エンジン充填は終わっとろうなァ!
A.F.S男性作業員A:42パーセントの充填率です!
現在CTによる補給物資の充填作業中!
<フラワが息を切らせてセイヴァージークメインデッキに戻ってくる。>
フラワ:はぁっ、はぁっ、はぁっ........。
ムーンライト!今の発進は一体.......。
ムーンライト:....ワカミネが時間をくれた。今言えんのはそれだけや。
フラワ:.....。
ムーンライト:ボーッとすなフラワ!席変わってや。....ハッ、指揮官の席っちゅうのは硬ぁてかなわんわ。....頼むで。
総員!セイヴァージークの指揮権は現在より通常時のものとする!
フラワ!モニターから大体状況は分かるな!
フラワ:分かってるわよ!
充填作業維持!
同時に剛推進段階飛行エンジン点火!セイヴァージーク....緊急発艦!!!!!!!!!
<グォン.....と僅かにセイヴァージークの土煙を割いてアオオニとNSFNが現れる。>
パウロN:『ぐっっぬ......!!!!
吾らではちりとも過らぬ(よぎらぬ)謀....!!!
....これでは....ッッ!!
決意等と言うモノを.....ッ!!!
虫酸の走るッ!青臭いッ!!下らぬ童の歌の様なッ...!!!
そのような物をッ!!!まるで胸に秘めている様ではないか......ッ!』
NOAHZ兵士A:『中尉!爆風の衝撃が安全域にまで低下!即の突撃命令を!
このままでは敵艦に発進されます!』
クルス:『パウロ中尉!!!!!』
パウロN:『......図に乗りおって。
意志を....ッ!”目に見えぬ”を手にしたつもりかッ!』
パウロ:『近接部隊はファングネガティヴに続いてスラスターを吹かして接近しろ!
射撃部隊!!!! モニターに敵艦の熱源データを表示し熱源の高い数値の部分を重点的に攻撃せよ!
絶対にあの船を宇宙へ翔ばせるなッッッ!!!』
クルス:『総員ビームサーベルの出力を最大!
味方のアーマーへの被弾はこの際考慮するな!飛び掛かれェェェッ!!!!!』
<爆風で退いたNOAHZの軍勢が距離を詰める。NOAHZの射撃部隊は銃を構え、引き金をあわや引く、という瞬間>
パウロ:『ッッ!!!
総員対射撃体勢を取りつつ停止!
上空を警戒せよ!』
クルス:『アレは........。』
<場面転換 セイヴァージークメインデッキ内>
ムーンライト:NOAHZ軍の動きが......止まっ.........た....?
フラワ:ディール!不自然な物体や動きがないか検知!
ディール:『..........ッッ..........!!!
ほ...ッ、報告します!
ラストホルスを起動した結果.....!!!
アークエンジェル部隊のD-IZが戦闘を続けながらも急速に前線を下げています!
NOAHZ軍勢は静止!
それに加え....上空大気圏内に巨大な物体を検知!!!
....ッ......!? 物体は空中で分解!
複数の極微小飛翔物体として急速で接近中!
予測落下軌道の計算をたったいま終えましたが,,,,,,,っ.....っぐ...、セイヴァージークの宙域離脱上昇ルートを塞ぐ様に降り注ぎます!』
フラワ:内容物のスキャンをラストホルスからのデータ経由で行って!
ダメージ残存に関わらず耐衝撃パネルをエンジン周囲に展開!
とにかく羽根が折れる事だけは回避!
A.F.S男性作業員B:これは.....。フラワさん!データを送ります!
フラワ:........ッッッ........!!!!
<場面転換 NOAHZ部隊>
クルス:『パウロ...中尉、あれは......。』
パウロ:『馬鹿な........ッ....!!!』
<場面転換 NOAHZ戦艦”VAILSIDE”内>
ヒメ:『ね~え、大佐~☆ 今からでも、ヒメあれぜぇ~んぶ撃ち落とせちゃいますよォ~っ☆』
テンペスト:....いや。 あれが”降り注ぐ”から良いのだ。
ヒメ:『えぇ~~~?☆でもでもぉ、アレぜんぶ地表におっこちたらぁ、パウロおじさんとかチョーやばくないですかァ~っ?☆
どこがい~のか全然わかんなぁ~~い☆ ヒメにもわかりやすくぅ~、かわいく教えてぇ~ってカンジ~っ☆』
ネリル:作戦行動中です。軽率な私語を慎しみ、指令に対し、忠実な遂行のみに集中しなさい。
ヒメ:『アァ?オメェこそ大佐とヒメの”ミーティング”に割って入ってきてんじゃねぇよキツネ。
カメラ越しでもシワ見えてんぞォ?寝不足かァ?』
ネリル:大佐。やはり今からでも狙撃手の変更を検討(セリフに割り込まれる
テンペスト:ヤクト軍曹。スコープに高精度フィルターを適用。
必要であれば多角展開型超長距離射撃(たかくてんかいがたちょうちょうきょりしゃげき)サポートカメラビットの使用を4基まで許可する。
地表から目を離すな。
ネリルN:4基........?
戦艦の狙撃には些か(いささか)大仰な装備では......?
テンペスト:今から告げる”標的”には決して外すな。
ヒメ:.........了~解☆
<前線を下げたアークエンジェルの部隊の後ろから現れたズングソーイとピーナッツの様な形態で現れたソーイ専用搭乗機 バスケットラースHD。>
ズング:『っく.....くっくっくっく..........!!!我がアークエンジェルが急におとなしくなったのは偶然だとでも思ったかァ!?
違う違う、うん、うんんんんんん!!!!違うんだよねぇ!
空を見ろォ!
これが私の最終兵器.....ダブルシーミサイルッッッ!!!
逃げ場なんて無い!!!
味方もこの際必要ない....!!
この特殊合金で包まれた私だけが生き残る!!』
アークエンジェル戦闘員B:『ソーイ様ッ、あっ、あの降ってくるものは....!!』
アークエンジェル戦闘員C:『いやだっ!わたっ、私達は助かるんですよね!ねぇ!!!』
ズング:『うるさいうるさあああああああああああいっ!!私はサイコパスで他人の感覚など分からないんだ!
他の人間と比べて感情が欠落している特異な人間!選ばれた一族の人間なんだ!黙れ!
私の栄光への礎となって大人しく死ねぇ!死ねェェェェェ!!』
<場面転換 セイヴァージーク メインデッキ内>
A.F.S男性作業員B:『ラストホルスの観測データから飛翔物体の内部はダブルシーボムである可能性大!
あの複数の物体の一つ一つがダブルシーボムです!』
ディール:『エンジンの出力を少なくとももう25パーセント上げないと被弾予測エリアからの離脱は不可能です!』
フラワ:....ッッなんて奴,,,,ッ....!!!
機関部!剛推進段階飛行エンジンに上乗せできる出力の概算!急いで!
A.F.S男性作業員A:補給物資の搬入作業と並行しているので、通常よりもエンジンの出力増加に遅延が発生しています!
...現在では、17パーセントの出力追加しか見込めません!
ムーンライト:空域計算に加えて敵機からの弾道予測演算もラストホルスに一任しろ!
無駄な電力の一切を見逃すな!全てエンジンに回すんや!
A.F.S作業員B:然し,,,ッ!ディールさんの視神経と聴覚、三半規管が保ちません!
既に視力聴力共に失ってしまう可能性が62パーセントを超過しています!
ムーンライト:っぐ...
ディール:『構いません!』
フラワ:ディール....ッ...!!!
ディール:『僕は!!!!大丈夫です!!!絶対に!!!宇宙へ出るんだッッッ!!!
ラストホルス!!!弾道予測演算を開始ィッ!!!』
フラワ:お願いッ!!! 間に合ってッッッ!!!!
<場面転換 NOAHZ部隊。いったん静止していたものの、飛翔物体がダブルシーボムだと気付きそれぞれの部隊が行動を起こす。>
NOAHZ兵士A:『近接部隊、敵艦への接敵まで20秒!』
NOAHZ兵士B:『ビームサーベル展開完了!』
クルス:『近接部隊ッッ!!怯むなァッ!あの艦に張りつけェ!溶けたアーマーは関節部分に干渉しないのであればパージするな!
一機でも多く張りついて艦を落とすッッッ!!!! 必ずあの艦は回避行動をする!張り付いてりゃ必ずチャンスは来るッッッ!!
絶対に臆するな!!!』
パウロ:『弾薬を換装しろォ!
長距離射撃で近接部隊の援護ッッ!!!
ダブルシーミサイル着弾地点の外まで全力で下がりつつアークエンジェル部隊への制圧射撃を徹底せい!!!!』
ズング:『ア~~~~~ッハッハッハッハッハァ!!!
見ろ!!みろみろみろみろ!!!!!
私のこの人間離れした作戦が戦況をかき回している!
才能!血縁!勇気!財力!権力!全てを手にした私は勇敢にも戦場で指揮を執る......
父上!!!見てくださいこの姿をッッッ!!!
栄光をついに勝ち得たこの私の姿ををををををををッッ!!!
これで私もズングの血に恥じない武勲を................
あれえ..............................?』
<場面転換 セイヴァージーク上部 >
ディールN:『鼻血が止まらない....ッ、耳の刺すような痛みも....ッ!!!
揺れていないのに体が傾く......ッ、三半規管が痛んだか...ッ!!
........何だ、この反応........?』
<場面転換 セイヴァージークメインデッキ>
ムーンライト:エンジンへの追加出力!今はなんぼや!
A.F.S男性作業員A:22パーセントまで上昇!然しこのままでは...ッ!
ムーンライト:言うなァ!!!最後まで足掻くんや!!
フラワN:でも....ッ、もうこのままじゃ.....ッ!!!
こんなにたくさんの、あんな爆弾....ッ!!!
ディール:『メインデッキ!!!!応答してください!
...ッ、”亜音速での高熱源体の接近を確認!”』
フラワ:『....ッ!?セイヴァージークへ接近.....!?スラスターのパターンを分析!
加速度と熱反応に特に注視して!!簡易探査の結果急いで!....一体、何者....ッ!』
ディール:『.....不明です!!
どの勢力のスラスターパターンとも違う.....謎の軌道と加速です!!
強いて言うのならば................CT........................?』
フラワ:『.........................何...............ですって.............。
そんな.................................まさか...............。』
べリオ:ぅ........................。
べリオN:.....気絶.....していたのか...........。
ぐっ....こっの...........ダメだ。
レバーが動かね..........。
モニター一枚しか、動いてねェ.....。
.......前しか..........見えね...ぇ............。
....降ってきてるありゃ、何だ........?
....どうでもいいか。....俺たちは、よくやったよ。
こんなガキばっかりの集団で、勢いでこの世界のトップにケンカ売って....。
そこからお宝をくすねてやろうなんざ、思い立っても......マジでやろうとしたのはオレ達ぐれえだろ....。
......ダメだ、目がボヤける.....。
........へ.....言ってやりたかったぜ....、アイツらに、胸.....張ってよ..........もう......
トロイ:『もう大丈夫。助けに来たよ、皆。』
ディールN:────その瞬間。
轟音と共に、僕は天使を見た。
ディールN:爆風の衝撃。大気の衝撃により、航行が出来ず、空中で静止する自艦。
そして、くぐもったゴォン.....という音。遠くで鳴る教会の鐘の様な音。
それが、”大量に降り注ぐ強酸性有毒物質爆弾が何かに防がれ、爆発している音が自分たちに響いている”といち早く気付いたのは、僕と、もう一人。
べリオ:『ジーク....セイヴァー....メインデッキ......聴こえるか....。』
べリオ:『ジェイルブレイクのカメラがぶっ壊れてるのかもしんねェ...。血も失い過ぎて幻覚を見てるのかも知んねぇ.....けど.....
今見えてるモンを報告する....。
”背中に羽の生えたCTが羽根を飛ばして俺たちを守ってやがる”....。』
フラワ:べリオ!喋らないで!あなたのバイタルデータの予測演算値だともう内臓とその周辺の骨が粉砕骨折している可能性が高い!
変に動くと骨片が刺さって取り返しがつかなくなるわよ!
<セイヴァージーク上空に六角形を重ねたような形の金属板が目で見える電磁波で繋がり、光る壁となっている。
その壁はセイヴァージークに降り注ぐダブルシーボムの直撃を防ぐ盾となっていた。>
A.F.S男性作業員C:セイヴァージーク上空に所属不明のCTに酷似した機体の背部に接続されている超電磁発生ビットが複数飛翔!!!
そのビットを媒介に強固な電磁シールドが空中で展開されています!その電磁シールドによってダブルシーボムの直撃は回避されました!
ムーンライト:慌てるなァ!べリオは確保済みや!!
目の前の未確認の機体に近域通信波を打って何者か確かめろ!
フラワ:.......いえ。あの機体は...味方よ。
ムーンライト:アホォ!守ってもらえれば味方ってかァ!? この戦闘空域に単身で乗り込んで放射線と強酸性を帯びた爆弾を防ぎきるイカれた性能の未確認機体や!
ンな不確定要素の塊を放置できるわけなかろうが!
フラワ:.....だって。
A.F.S男性作業員C:近域通信波への応答打音を確認!通信、開きます!!!
トロイ:『......久しぶり。』
ディール:『ッッッッッその声は.....ッッッ!!!』
ムーンライト:教会の.....姉ちゃん...。
フラワ:.....トロイ・ロロフス。セントロロフス教会.....いえ。
”セントロロフス・ラボ”の選ばれた子供。そして....
””CT・ALLRANGE GUARD CUSTOM””(シーティー・オールレンジガードカスタム)の適合パイロット。
トロイ:『....本当に、秘密にしていてくれたんだね。フラワちゃん。』
フラワ:...当たり前よ。 友だち。なんだから。
べリオ:『ふッ.....ふざ.........ッ、ふざけるなァ!!!!!!!!!!!!』
ディール:『べリオさん!大きな声を出しては』
べリオ:『なんで...なんでとろちゃんが.....ッ!!!!なんで!!!なんでこんなトコに居るンだ!!!』
ムーンライト:『べリオ...。』
べリオ:『アンタが握るのは!!!!残されたガキの手であって銃じゃねェ゛!
オレ達みてェになりてェのかよ!!!! 武器や機械を憎み、平和を愛してたアンタが、どの理屈でこんなトコに』
トロイ:『フラワちゃんにね。』
べリオ:『ッッ...。』
トロイ:『お願いしたの。 私をCTに乗せてください....って。私にも、守る力をください。...って。
...ゴメンね、べリオ君。教会では、酷い事を言っちゃって。...知らなかったの。IOPLANETの事。それと、その真実。』
べリオ:『そんな事今は関係無ェ!!! 早くその機体で逃げろ!今ならまだ間に合う!!!』
<次の瞬間、べリオとトロイ二人のコックピット、そしてセイヴァージーク内に敵機熱源反応を知らせる警戒音が鳴り響く。>
トロイ:『....そんなに怒らないでよ、べリオ君。女の子に大きな声出しちゃ、いけないんだよ。
大丈夫、この矛盾も。私が今からする事も、全てが終わったら説明するから。
.....さあ、フラワちゃん。』
CT・ARGC『...REMOTE THREE DIMENSION DEFENCIVE』
<そうして、トロイからべリオへの通信が一方的に切断される。べリオの前に浮かぶように空中で静止していたCT/ARGCの背中の翼が空中にバシュン、と展開され、
セイヴァージークの上空を覆っていた光る壁と合流。その壁は球体の様な形に位置を変え、セイヴァージークを球体上のエネルギーフィールドで覆う。>>
べリオ:『待て!!!!!!話は終わってな──...っぶッ....!!!』
<血を口から大量に吐いてそのまま気絶するべリオ。そして場面転換。セイヴァージークのメインデッキ。>
フラワ:ジェイルブレイク捕獲アームを船体右舷部に固定!出来る限り被弾の少ない位置にパイロットの身体的負担の少ない速度で移動させる事!
外部環境の空気中の有害物質が依然のレッドゾーンの為、回収作業は行わない事とする!
所属不明機体の名称をCT・ARGCとし、船体の周囲360度のエネルギーフィールド展開完了を確認後、大気圏高速突破に向けエンジン点火!
剛推進段階飛行エンジンの状態、報告急いで!
A.F.S男性作業員C:はい!静止状態の間もエンジンへの補給を進めていた為、補給率79パーセントまで完了!
大気圏高速突破、そしてそのままの慣性航行に移れます!戦艦用MANTの充填率も目標地点までへの数値に到達!!!
また、本艦左舷97mmマシンガンの砲塔が融解している為使用できませんが、右舷のマシンガンと高濃度荷電粒子キャノンのセッティングは終了!
最低限の空中戦闘武装も整いました!
ムーンライト:全作業員は持ち場に着けェ!
周囲状況演算を最優先!ディールの目と耳がオシャカんなる前にシステムを復旧!
MANTの展開の為の屈折率計算も怠るなよ!!
.....フラワ。説明をしてもらうで。
ディールにブチギレた時、なんて言うたか。忘れてはおらんやろうからな。
フラワ:....分かってる。
....セイヴァージーク!!!! 剛推進段階飛行エンジン!!!点火!!
A.F.S男性作業員C:点火!
<ぐぉん、という音と共にメインデッキ内にかかるG。セイヴァージークがぐんぐんと上空に向かって上昇していく。>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【EPISODE10 NEXT IS NAMED BY PAST(ネクスト イズ ネームドバイ パスト)】
<場面転換。アオオニとナイトスペリオル・FN。
降り注ぐダブルシーボムが防がれた直後。>
パウロ:『何という....事だ..........。
隼の如く空を横切り....。
船をその羽根で守る....。
まるで妖....。』
クルス:『中尉!!! 一体ありゃ....何なんですか....ッ!!!』
パウロ:『分からぬ。分からぬが...。
吾の目が捉えるべきは理では無い。
....NOAHZ全隊員に通達!
空中戦闘基準値の推進剤と燃料を残す機体は空中の戦艦を追従!
空中戦闘が行えぬものは射撃武器の銃身をスペリオル内部の冷却装置で無理やり冷やしながら目標戦艦へ攻撃を行え!』
クルス:『....ッ....、聞こえたなァ全部隊!
近接兵装の部隊も先のパウロ中尉の伝令に従え!
飛べない兵装の奴等はアークエンジェル部隊への攪乱!
深追いはせずに戦況を常にかき回せ!!! これ以上の地上の戦力の減退は可能な限り避けろ!』
NOAHZ兵士A:『了解!』
NOAHZ兵士B:『了解しました!』
<場面転換 アークエンジェル部隊。上空でダブルシーボムが防がれたのを呆然と眺めながら、我に返ったかのように震えた声でズングソーイが叫ぶ。>
ズング:『むっぐう....ムググググググゥ.....!!!!ぼっっっっっ!!!!ボキの何が間違っているというんだ!!!!
完全にヤツ等の意表をついた!!!!ついた筈なんだァ!!!!!』
ズング:『びゃびゃぁぁっ!!!!』
<ごがんッッッ。ズングのコックピットに唐突に訪れる重たく無慈悲な振動と鼓膜をえぐり取る様な轟音。
NOAHZの地上部隊の制圧射撃が始まったことを意味していた。>
ズング:『それもこれも.....ッ.....!!!あんな艦がのこのこやって来たからだ....ッ....!!!!
.................疫病神め..............ッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
アークエンジェル部隊!!!!!!! 残存燃料は全て空中戦闘に回せ!!!!あの艦とNOAHZを叩き落とし.....ッ、”真の英雄”にボキがなるんだッッ!!!』
アークエンジェル戦闘員A:『しっ...然し、ソーイ様!D-IZは空中戦闘用に作られていません!
エンジンがオーバーロードしてすぐに落下してしまいますよ!!!』
ズング『だま...ッ、だまれだまれだまれだまれだまれええええええッ!
ズングの血を引くこのボキの命令なんだぞ!!!勅命!!!天命!!!!さながら....天帝からの指令なんだぞォォォォッ!!!
着いてこないなら貴様らの家族の居住区画に仕込んだ対建造物爆薬を起動させるッッッッ!!!!!!!
脅しじゃないぞ!!!脅しであるものかッッ!!!!さあ選べッッッ!!!』
アークエンジェル戦闘員B:『そん.....な.....』
アークエンジェル戦闘員A:『わかっ、わかかっ、分かりました!承知いたしました!
ぜっ、全アークエンジェル残存機体!エンジンの回転数に強制的にゲインをかけろ!
ただちに空中戦闘へと移行し、上空の目標戦艦に取り付けェェ!!!絶対にこの空中から出すなァ!
邪魔なNOAHZも全て撃ち落とせェ!!!』
<ぎゅびびびび、と異音が響く。 沼を踏みしめるかのような不快なへばりつくような低音を響かせながらD-IZの機体背部のバックパックが蒼い炎を出して空中へ飛んでいく。>
<場面転換。空中でNOAHZとアークエンジェル、エネルギーフィールドに囲まれたセイヴァージークとその横に密着して飛ぶCT・ARGC。三つ巴と言うべき状況が展開される。>
A.F.S男性作業員C:通達します!地上からの砲撃を確認!然し...CT・ARGCにより発生したエネルギーフィールドにより損害は皆無!
続いて......NOAHZの残存兵力と思しき機体、および....アークエンジェル残存兵力が飛行して急接近!
ディール:ッ....そんな馬鹿な! 何で追ってこられるんだ....!?
重力下での空中戦闘が可能なら最初からそうしていたはずだ!
NOAHZはまだしも...アークエンジェルの機体がまっとうに空中での継戦能力を携えているようには見えないぞ!
フラワ:....自分達は落ちても構わない。 セイヴァージークを堕としさえすれば....。
まるで呪いね。
トロイ:『少しだけ、”羽根”、使うね,,,ッ、皆!』
<そうトロイから通信が入るとセイヴァージークを球状に覆っていたエネルギーフィールドの上部が離れ、CT・ARGCの背中に収まっていく。>
トロイ:『....ごめんなさい。でも。もう...。守る為に、泣いてばかりじゃ何も守れない...ッて、分かったから。』
トロイ:『だから。』
CT・ARGC『FOR THE CHILDREN』
<CT・ARGCの表情の十字架がやや下にずれて、45度ほど回転する。”X”の形に見える表情に変わったその機体が艦を守る様に艦を背にして。>
トロイ:『私も、戦うよ。』
<CT・ARGCの背部から羽根が射出され、自由に飛び回り。空中に飛んでくるD-IZやスペリオル機体を羽根で薙ぎ払っていく。>
NOAHZ兵士A:『な....ッ、何だァ!?!!?これはッ....』
NOAHZ兵士B:『正体不明の飛翔物体が突如複数出現!
本機目掛けて突撃してきます...ッ!撃ち落とせッ!』
NOAHZ兵士A『ぐ...ッ、捉えられません! 予測移動経路演算、間に合いません!』
NOAHZ兵士B:『サイドスワンプ部隊からの連絡…ッ、クソっ!汚染物質の滞留…ッ、こんな上空にまで影響するのかッ!通信安定せず!うっ、うわぁぁぁぁぁッ!来るなッ!来るなぁぁぁッッ!』
クルス:『....何だ、報告....、詳細は…、”剣が飛んでいる”....?
....上等だよ。何が来ようが、あの艦を堕とせッて言われてンだよ。
ビビってる暇なんざ、無ェってなァァァァァァァァッ!!!』
<空中に飛行し、セイヴァージークに追いついたクルス搭乗機体 スペリオル・FNが長く伸びたかぎ爪を構えて突撃するが、
二枚のエネルギーを携えた羽根がバツを描くようにスペリオル・FNの行く道を塞ぐ。
そして、上空から羽根の後ろに 祈りをするように両手を握り合わせたポーズでゆっくりと下降してくる。>
トロイ:『....もう、辞めにしませんか。』
クルス:『....あの艦の妙な障壁はアンタのか。
....急に戦闘に介入する理由は何だ?』
トロイ:『ッッッ、私の問いかけに答えてください!
...この無意味な争いを、辞めてください。
あの艦は....私の機体で必ず宇宙に連れて行きます。
だから…。だから。弾薬も、人の命も.....もう、無駄にしないでください。』
クルス:『エラく上から目線じゃねェの。
だが......無理な相談ってヤツだ。
オネエちゃんのお願いは可能な限り聞いてきた人生だったが....。
軍人って仕事を、分かってくれ。』
トロイ:『あの艦に銃を向けるというのであれば、制圧行動を取ります。』
クルス:『...悪ィな。』
トロイ:『残念です...ッ!』
<二つの機体がぶつかり合う。>
<場面転換。>
ズング:『何...だ.....?艦の周りのあの光っている壁は....。』
アークエンジェル戦闘員A:『簡易検知の結果、耐衝撃及び耐粒子状攻撃性能を兼ね備えた障壁と表示されています!目視でも確認できますが、NOAHZの機体と交戦中の艦体付近を飛行している機体…仮称“天使”! その天使の軌道データから計算する限りッ…、機体の空中での機動性も非常に高く…いえ、これは…“空中での運用を前提に作られた機体である”と考えられます!地上戦を目的としたD-IZ及びバスケットラースHDでは圧倒的に不利かと…ッ!』
アークエンジェル戦闘員B:『報告です!地上からのNOAHZの部隊による支援射撃が来ます! また、これ以上の滞空行動を続けると…ッ、D -IZ、バスケットラース共にエンジンが焼き切れ落下してしまう可能性が非常に高く…っ、』
アークエンジェル戦闘員A『続き報告です!NOAHZの空中戦闘部隊の集結を確認!3時方向、目視完了!目標艦に向かって射撃を行なっていますが…ッッ、此方にも向かってきます!』
ズングN:『どうするどうするっ…!!!どうするどうするどうするどうするッ…!!!!』
〈すると、ピピピッッ、とソーイのコックピットにセイヴァージークの最新周辺検知結果が更新される。〉
ズング:『んあああああああッッッッッ何だァこの忙しい時にィィッッ!!!!!
……… “目標艦上部のエネルギーフィールドの消失を確認”……?…………ギヒヒヒヒヒッ………!!!!
そうさ………!!!天帝たるこの私はこんな所で終わる人間じゃないんだ……!!!! ここで大きく手柄を立てるのはこの私……ッッ! アークエンジェルの諸君ッッッ! 目標艦のエネルギーフィールドが一部消失しているッッ! 目標艦上部のスキャンを終えた機体から私について来いッッッ!NOAHZには構うなッッ!目標艦に取り付くぞォッッ!!!!全隊ィィッ、ボキのマーカーした座標まで全速で突っ込めェェェッ!』
<場面転換 パウロ・グランツ率いる地上部隊>
パウロ:『目標艦”セイヴァージーク”にズング機を始めとしたアークエンジェル部隊の接近を確認。
....吾らの役目は無くなりそうだな。例の妖もクルスと刃を交えておる。....それに加え吾らNOAHZとアークエンジェルの絶やさぬ銃弾...。
セイヴァージークを包むあの繭も、早くも軋み始めている様に見える。
あの艦が墜ちるのも最早時の気紛れひとつ,,,,か。
地上部隊。射撃の手を緩めるな。
”今は”...アークエンジェルの邪魔をせず、あくまで...あの艦を堕とす事を主とし、行動せよ。
そして....セイヴァージークの墜落と同時に、アークエンジェルの掃討を直ちに行う。武装の簡易メンテナンスも並行して行っておけ。
...突然に現れた妖よ。そして...鷹よ。蒼きを胸に飛ぶ若人どもよ。
...詰みだ。』
<そう呟いてクルスと戦うトロイの機体にスコープのピントを合わせていく。>
<すると、パウロのコックピットの唐突に回線が開き、聞き覚えのある声が飛び込む。>
カリオストロ:『おやおや。』
パウロ:『何............ッ!?!?!?!?!?』
カリオストロ:『回線を開けっ放しで独り言とは、可愛らしいねえ。
....嫌いではないよ。可愛い男性はね。』
<ズンンッ。 重低音を伴って落下してきたのは、MANTを展開した”ネペンテス”。>
パウロ:『一体....ッ、』
NOAHZ戦闘員B:『パウロ中尉!背後にセイヴァージーク所属の機体と思われる機影を検知!
光学粒子迷彩装備...MANTを展開して接近したものと思われます!!』
カリオストロ:『敵が見えた後に”敵だ!”なんて....可愛い上司には可愛い部下が集まるのかな?
くっく....。...おっと、失礼。思い出してしまったんだよ。小さい頃に...僕に群がる子犬たちを思い出してしまってね。』
パウロ:『ほざけ小娘がァァッ!!!!
単騎で吾らの隊に乗り込んだことを後悔するが良いッッ!!!
全隊ッッッッ!!!目標をこのセイヴァージーク所属機体に切り替えろッッッ!!
構えぃッ....!!!』
カリオストロ:『....吠える犬は....、だね。』
パウロ:『ッッッッッッッ撃ェェェェっ!』
カリオストロ:『ふぅぅっ.....!!』
<VON...と不気味な音を立て僅かに浮き上がるネペンテス。
滑る様に地上を移動して周囲から迫りくる弾丸を回避していく。>
カリオストロN:見てくれているかい、べリオ.....。
感じてくれているかい、べリオ....。
ご覧よ、僕のこの姿を....。
空から舞い降り、鉄槌を下すべく現れた鈍く光る僕のネペンテスを....ッ!
僕達に不義を為す愚劣で矮小な虫けらを、今僕が.....”オレ”が....ッッッッ!!
カリオストロ:『塵も残さず!!!!後悔する暇すら与えずッッッ!!!
覇の道を歩むに相応しく、全てッッッ!!!全て撃ち落として見せるよぉぉぉぉぉッッッッ!!!』
<グパァッ、とネペンテスの背中のバックパックが展開する。中からは うじゃら...とうねる触手の様なケーブルが無数に現れ。
先端がにゅぱぁ...と開くと、黄緑色の光線がネペンテスの周囲を縦横無尽に薙ぎ払う。>
パウロN:『ぐぬうううっ...!!!! 予測移動経路演算には動体情報が足りぬ....ッ!!
我が武装も万全ではない...ッ、想定を超える長丁場に機体の精度も落ちてきている...ッ!』
パウロ:『うろちょろと...ッ、鼠がァァァァァァァァッッッ!!!』
カリオストロ:『君達の将は”耳障り”と吐き捨てたそうだが.....
実に、実に愉快だよォ....ッ!
追い詰められた愚かな存在の吐き出す....怨嗟や苦悶に満ちた....ッッ!!
情けのない鳴き声はねェェェェェェェッ!!!!』
<10分ほど前 セイヴァージークメインデッキ>
A.F.S男性作業員C:CT・ARGC、交戦状態に突入!従って、セイヴァージーク周囲のエネルギーフィールドが34パーセント消失しました!
ムーンライト:...この壁は無尽蔵に生み出せる訳ちゃうか....。
そもそも、何が目的で造られたんや、あの機体...、CT・ARGCは...。
A.F.S男性作業員A:セイヴァージーク上部、完全に無防備になりました!
...ッ、それに伴い、周囲のD-IZ及びNOAHZのランドスタッドが急接近!
A.F.S男性作業員B:このままでは戦闘は不可避です!
フラワ:.....セイヴァージークを守ってるこのエネルギーフィールドもヤバそうね。
時間が経つにつれヒビみたいなものも入っているし...。
A.F.S男性作業員B:その通りです...ッ、目視でも確認はできると思いますが、セイヴァージーク周囲のエネルギーフィールドの密度が少しずつですが減少しています!
このままでは...ッ、大気圏に到達する前に丸裸にされてしまいます!
ディール:地上からの砲撃があまりにも連携が取れているんだ...ッ、絶え間ない砲撃をずっと疲弊無く守り切れる兵装なんてあるわけがない!
フラワ:セイヴァージークの半数の武装の射角を地上に修正!無いよりはマシ...、威嚇射撃でもなんでもして、とにかく逃げ切るのよ!
カリオストロ:いや。
<頭部に包帯を巻いた姿のカリオストロがメインデッキに入ってくる>
フラワ:!?
ディール:か...ッ、カリオストロ...さん....。
カリオストロ:心配をかけたね。 まだ多少身体がなまっている気もするが....つい先ほど目が覚めてね。栄養補給も終えたことだし。
ムーンライト:”終えたことだし”...ッて....、お前まさか
カリオストロ:そうさ。今ドックでネペンテスにMANTの換装とバックパックのメンテナンス...、そして、地上からの大気圏高速突破用ユニットの換装をしてもらっているところさ。
フラワ:地上からの大気圏高速突破用ユニット....? カリオストロ、貴女地上での戦闘を引き受ける気...ッ!?
カリオストロ:?そうさ。 このままジリ貧で盾が無くなり、タマが当たらない様に祈りながら空に向かうのかい?
なに、地上の兵士のあの数を相手に戦うなんて愚かな真似はしないよ。
ただ戦況をひっかきまわして、頃合いを見て離脱...、地上からちょっと飛び上がって大気圏に向かうセイヴァージークに回収してもらうさ。
ディール:......成功確率の低さを知っててそれを言っているんですか!
フラワ:................。許可します。 ...行ってきなさい。
ムーンライト:なっ....マジで言うとるんか!? 夢物語に近いハナシやど今のは!
フラワ:0パーセントか0.1パーセント。どちらに賭ける?...という話なだけ。
ただ、リスクも大きい。ネペンテスが落ちれば無駄死にどころでは済まないわ。
貴女に地上の防衛を任せるの。セイヴァージークの全ての武装は空中戦闘に運用する以上、地上からはほぼ無防備になる。
ネペンテスが落ちれば...セイヴァージークも落ちる。プレッシャーをかけたいわけではないけど...普段以上の空間認識能力を以てミッションにあたって頂戴。
カリオストロ:...信用されたものだね。
では、行ってくるよ。”貝殻のお姫様”。
<そう言って踵を返し、ヘルメットを抱えてネペンテス発進ドックへ向かうカリオストロ>
フラワN:...この言葉を最初に言い現した人間は、余程言語化がうまいのね。
.......、”胸騒ぎ”。
...神様。
ズング:うぐっぐっぐっぐ....!!!!(笑い声)
補給もままならずに、空中をモタモタモタモタ.........!!!
ボキ達が見逃すとでも思ったかァ....!!!!
N:最早焦点の定まらぬ目を血走らせ、ズングソーイの率いるアークエンジェル部隊は、空を切り裂いて飛翔していた。
帰還に用いる燃料を明らかに計算していない急加速。
金属の軋む音を響かせ、高速飛行による空気抵抗によって鈍く光る金属片をばら撒きながらセイヴァージークに接近するその姿は、皮肉にも──
ディール:.......天使......!!!!
A.F.S男性作業員A:アークエンジェル部隊の接近を確認!
機体数多数!エネルギーフィールド消失個所を目掛けての直線飛行です!
フラワ:撃ち落としなさい!!!
対空防御を前方に集中!ジェイルブレイクへの射撃振動を計算に入れつつ一機でも多く撃ち落とすのよ!
A.F.S男性作業員A:了解!
A.F.S男性作業員B:対空防御射撃、命中率68パーセント!続きマガジンリロード完了まで30秒!
フラワN:っぐ...ッ!当たらないわけじゃない、それより問題なのは......ッ!
N:”当たっても構わない"。制空圏内に入りさえすれば──。
自が命を問わぬ、文字通りの捨て身の特攻。
────圧倒的に、間に合わない。
眼前の緑色の群れ。
湖を汚す微生物の群れによく似た其れは、誰の目に見ても明らかなほど。
振り払うには、絶望的な大きさとなってセイヴァージークのメインデッキモニターに映った。
ムーンライト:フラワ。
フラワ:何よ!!!忙しいのよこっちは!!!
ムーンライト:整備班に連絡。
プランが有る。
フラワ:..........聴かせて。
<場面転換 コックピット内ソーイ>
ズング:ボキは天才.....!!!ボキは天才.....!!!!ボキは選ばれし天帝......!!!!!
この無駄にでかい船を地上に叩き落とし!!!!!
このフェザーポータルを踏み台に僕はのし上がるんだァァァ!!!!!!!!!!!!!
N:隣の機体が1つ。2つ。自分の周囲の機体がひしゃげ、対空バルカンに撃ち抜かれ、墜落していく姿も、ズングソーイには見えていなかった。
いや....見ないフリをしていた。だからこそ、なのだろう。己が部隊から目を逸らしていたからこそ。
目の前の”それ”に。 ズング・ソーイは一瞬早く気付いた。
フラワ:『はぁっ.....、はぁっ......!!!!準備、良し!!!!』
ディール:『フラワさん!!!今です!始めてください!!!』
フラワ:『言われ....なくた.....っって......んんんにゃりゃああああああああああああああああああああああッ!!!!』
N:響くのは釘打機を打ち込むような音。
ズング:何....だ............。 なんだそれはァァァァァァァァァーーーーッッッッ!!!!!!!!!
<場面転換 数分前 セイヴァージークメインデッキ内>
フラワ:絶ッッッッッッッ対無理。
ムーンライト:ワガママ言いなや。
フラワ:だだだ大体私は司令官!
戦況の状況を
ムーンライト:総合的な戦場把握が必要な戦闘においては、お前はメインデッキに居てもらうわそら。
ただ....今は目の前のあの群れを何とかせにゃあアカンやろ。
フラワ:..............。
ムーンライト:ディールもオレも、セイヴァージークの人員全員がお前を殺させん為に動く。
信じろ。
A.F.S男性作業員A:....メンテナンス、終了いたしました。
A.F.S男性作業員B:フラワさん。ご決断を。
<場面転換 セイヴァージーク甲板上>
N:ムーンライトの考えはシンプルだった。
セイヴァージークの武装はほとんど使えない。
残された武装は自動リロードのタイムラグが大きい。
であれば。
ムーンライト:弾ァかついで
N:そこに、武装が有るのなら。
ディール:敵に向かって
N:船の武装を取り外し。
フラワ:吹きと.........べぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!
N:手動で撃ってしまえば良い───。
ズング:さ、避けられないぃぃッ!!!!弾幕が厚すぎる......ッ!!
N:至極単純。子供ですら思いつかない程の、策とも呼べないアイディア。
だからこそ。”誰も思い付かない”というオリジナルだからこそ。
ズング:ぐゎばぁぁくぁwせdrftgyふじこlp;!!!!!!!!!!!!!!!!
N:そのムーンライトの思い付きは、致命的に。そして、それが当然であるとでも言うように呆気無く。
ズング・ソーイの機体、バスケットラースHDを貫いた。
<場面転換 数分前のセイヴァージークメインデッキ>
フラワ:CTでセイヴァージークのバルカンを外して使うううう!?!?!?
ムーンライト:エネルギーフィールドは消えとる。
...ま、不利な事に間違いはないが....。
敵が来る方向は分かっとんや。
ある一方向のみから敵が攻めてくると分かっている場合、複雑な射撃演算処理も要らん。
そこにタマぁブチこみゃええだけや。
フラワ:だからって.....
ムーンライト:CTなら身体に弾薬巻いて、手動で弾薬を補給....、射撃も行えるはずや。
幸いセイヴァージークの対空武装は後から溶接したもんや。外したって使える.....筈や(”筈や”は小声)
フラワ:筈やって聞こえてんのよ!
ムーンライト:ッッッしゃあないやろ!!!!今動かせる船の武装じゃ間に合わん!
オンラインで動かせん飾りのバルカンの一丁くらい担いで敵追っ払ってこんかい!!
フラワ:.......分かってる......、分かってるわよ!!!
ディール:『フラワさん。』
フラワ:...ディール.....。
ディール:『信じて。』
<場面転換 フラワがソーイを撃ち落とした直後。>
ディール:『アークエンジェル部隊の機体、撃墜達成率82パーセント!!!!』
A.F.S男性作業員C:『敵部隊残存兵力、39パーセントまで減少しました!』
A.F.S男性作業員B:『!!! アークエンジェル部隊、撤退していきます!』
<場面転換 アークエンジェル部隊>
アークエンジェル戦闘員A:『そっ、ソーイ様が撃ち落とされたぞ!』
アークエンジェル戦闘員B:『馬鹿な....ッ!!し、信じられん...ッ!!』
アークエンジェル戦闘員A:『もうやってられるか...ッ!!!逃げるぞ!!!』
<場面転換 ズング・ソーイコックピット内>
ズング:何.....で.........。
私.....が.....私は間違っていないはずなのに........。
私.....が.........。私こそ.........が......。私こそが.....統べる.......んだ.......。
N:割れ、暗くノイズの走るモニター。正面のモニターの後ろは裂け、空が見えている。
その様子から、自分が落下しているのだとソーイは悟った。
やけに長く感じる落下。死が迫っていることを実感させるには、あまりに長すぎる落下時間。
然し、怯えは無かった。
彼が感じたのは、深い絶望。愛以外の全てを用意された彼の人生で、唯一思い通りにならない、イレギュラーの存在。
自分に頭を垂れぬという、全くの未知の存在。
船に乗って現れたそれらは、自分の悉くを否定した。その身を懸命に張り詰めさせ、抗った。
何故だろう。自分と何が違うのだろう。自分の何が足りなくて....いや、自分の何を捧げれば。
ズング:パパあ.....カナあ.... たすけ
ラプラス:撃て。
ヒメ:了ぉ~解ッ⭐︎
N:初めて自分以外の人間について脳を回転させた彼のこのつかの間の平穏は、意外な形で終わりを遂げた。
<NOAHZ戦艦VAILSIDE内。>
ラプラス:…報告を。
VAILSIDE作業員A:ヤクト軍曹による超長距離貫通射撃、命中を確認!アークエンジェル部隊隊長機、駆動部を撃ち抜いたものと思われます!
ラプラス:………そうか。
VAILSIDE作業員A:ヤクト軍曹のスコープからの映像、送ります!
N:低い唸り声の様にモニターに光が灯る。
そのモニターには、両腕と右脚が消し飛び。
不自然な方向に曲がった左脚が痛ましく映える、墜落したバスケットラース・HDであった。
ネリルN:バカな…。そんな…。
落下する機体に照準を合わせ、機体が爆発しないように駆動系を撃ち抜くなんて…。本当に…、本当に遂行するなんて…ッ!!!
─────しかも、宇宙空間から地上への狙撃でッッ……!!!!
ヒメ:ど〜ですかぁ、大佐ぁ⭐︎ ヒメぇ、じょ〜ずに出来ましたかねぇ?⭐︎きゃははっ⭐︎
ラプラス:上出来だ。 遠距離狙撃部隊には是非とも君に指揮を取ってもらいたいのだがね。
ヒメ:えぇ〜っ⭐︎そぉ〜んなの退ぁ〜い屈だも〜んッ⭐︎ ヒメはぁ〜、血湧き肉オドル〜、ってのが良いのっ⭐︎あっでもぉ〜、死にたくはないから〜、退屈な狙撃部隊でもいっか〜⭐︎ でもでも、やっぱり敵をブチ抜いた時の気持ちよさは忘れられないしぃ〜…⭐︎ 迷っちゃう〜っ⭐︎
ネリルN:……この……ッ……
N:『化物』、と。素直に怯えられたらどれほど良かったのだろう。
然し。幾多のミッション。冷たい己の出自。
そして、軍の生み出した道具であれと囁く彼女の過去が。それらが彼女の刹那に満たない怯えを拭い去り、表情の僅かな歪みは次の瞬間には消え失せていた。
ネリル:ヤクト軍曹の射撃により、残す手順は僅かです、大佐。
ラプラス:……。 進めろ。
ネリル:は。 …降下シークエンスを急がせます。
VAILSIDE作業員A:VAILSIDEよりMANT装備ステルスポッドの降下シークエンス、承認願います!
VAILSIDE作業員B:アナライズシステムオフライン!MANTによる影響、許容範囲まで低下!
ネリル:…………大佐。承認を。
ラプラス:分かっている。…移動しよう。
N:ラプラスは表情を変えず。
ただそう告げて、歩き出した。
N:同時刻。セイヴァージークを頭上に構える地上。
飛行用ブースターを背に携え、異形の出で立ちで降り立ったネペンテス。
ネペンテスの多方位迎撃武装”ペチュニア”により、地上のアークエンジェル、NOAHZは縦横無尽に暴れまわる緑色の直線に明らかに統率を乱されていた。
NOAHZ兵士A:パウロ中尉!敵機の射撃、予測出来ません!演算による処理では回避ルート算出不可能!なんだあの武装はッ...!!ぐっ、ぐあああああああああああっ!!!!
パウロ:彼奴から離れるな!
視認できる距離を保て!
彼奴の背中から粒子が射出されておる!
遠方からでは弾道の予測は困難!だが敢えて近付くのだッッ!!
彼奴の背中の触手の動きを見据えるのだ!
動き自体は俊敏に程遠い! 各機....ッ、援護せいッッッ!!
カリオストロN:......やり辛いな。
.....。
順応してきている....。
あの青い機体を中心に、僕のネペンテスの弱点を分析して立て直しに来たという訳か....。
パウロN:成程考えてはおるようだな。
背から生える射出口からの空を平と捉えぬ....立体の射撃。
さらに”銃を構えぬ射撃”による射撃数の豊富さ....。
対集団における絶好の能を持ちよるわ。
然し....。
パウロ:接近戦
吾の目にッッッ!!
吾という”個”の存在にッッ!!
”多数”を前提とした小細工なぞがッッッ!!!!見抜けぬ筈も無かろうがァァーーーーッッッ!!!
N:パウロの分析は、寸分も違わずに的を射ていた。
ネペンテスの多方位迎撃武装”ペチュニア”の弱点。
接近戦に持ち込まれてしまった際に、ペチュニアによる優位は半減する。
それはカリオストロの空間把握能力をもってしても、変わらぬ事実であった。
接近戦において自分の機体にペチュニアのレーザーが当たらぬよう捌き、加えて敵の機体に攻撃を与えるという一連の作業は...人間の脳で処理するには複雑過ぎる。
もし仮に、万が一.....ネペンテスが”速度”も”接近戦”もクリアした機体なのであれば....最初から戦法に組み込んだ動きをするのであろう。其れを行わぬ今、接近戦を仕掛けるのは至極当然。
現にペチュニアを使わぬネペンテスのスペックは....スペリオルの改良版程度でしかなかった。
目の前で起きる全てを隅々まで見渡すパウロ・グランツの眼。
そして注意深く。鳶を撃つ狩人の様に、淡々と採取したデータ。それらがネペンテスを追い詰めた。
───筈であった。
カリオストロ:───君たちは、本当に────....。
パウロN:......何だ.....?
何だその熱反応は.....!!
何が....ッ、ぐっ...!臆するな....ッ!!!
カリオストロ:分かっていない。分かっていないのだよ。
パウロ:総員!!!!!!何をしておるッッッッ!!!!!
この間抜けを叩き潰せぇぇぇぇぇぇぇええぇぇぇええーーーーッッッ!!!!
カリオストロ:『オレ』達が─── そして、『オレ』が。
どれほどの怒りと絶望を、ぐつぐつと、ぐつぐつと.....ッッッ、心に滾らせているかをなァァァァァアアァァアア~~~~ッ!!!!
N:パウロの眼は、捉え切れなかった。
いや、見えてはいる。
捉えてはいたのだ。
ただ、その眼は教えてはくれなかった。
ネペンテスが背中に背負った物が、飛行用ブースターなどと。
カリオストロ:『オレ』は勝ちに来たんじゃあ無い。
君達を一人でも塵に変えるだけで良いんだ....!!!
だが。....全員......
覚悟しろォォォォォォォッ!!!!!!!!!!!!!!
N:空間が歪む。
錯覚でも比喩でもない。
陽炎が生まれていた。
そして。蒼く、歪んだ音を撒き散らしながら明滅するブースターを携えたネペンテスのみが全てを理解していた。
カリオストロ:さぁ、さぁ、さぁ.......!!!!
オレに近づいてご覧よ...!!!オレに触れてご覧よ....!!!!
このオレの歩みに!!!!!
覇の道を歩むに相応しい人間は!!!このオレだけなんだッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
N:上空へ飛び去るセイヴァージークへこの地上から移動し、着陸するための飛行用ブースター。
カリオストロは自分の機体 ネペンテスの弱点が看破されたと見るや否や、躊躇をせずブースターに点火をした。
NOAHZ兵士A:パウロ中尉!!とても追いつけません!ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!!!
N:強烈な速度で移動をするネペンテス。
近接戦など行える訳もなく、NOAHZや周囲のアークエンジェル部隊はネペンテスのレーザーによって薙ぎ払われていく。
パウロN:恐らく点火したのは成層圏までの頭上の戦艦へたどり着くための補助上昇装置....ッ!!
ぐ....ッ、速過ぎる...ッ!!!追いつけん..ッ!
おのれ....ッ、この時間にもあの艦は飛び去る...ッ!!!
回避するにも限界が....ッ!!!
パウロ:...............こっ.....の..............!!!!妖共がァァァァアアァァァアァァァアアァァアアーーーーーーーーッッッ!
カリオストロ:オレが妖ならお前は犬だろォ.............?
自惚れるな..........ッ!!!
大人しく....ッ、薙ぎ払われろォォォオオォォォォオオォォォオオォォォオオォォッ!!!!!!!!
N:次の瞬間。
カリオストロ:な...........。
N:音が止んだ。
カリオストロ:想定より早...ッ....
N:本来は直線飛行の為に用いるブースター。
強弱。左右。想定外の方向へのエネルギーの噴射の多用。
それらは事前に計算された予測時間よりも遥かに短い時間でエネルギーを使い果たし。
パウロ:.......一手。見誤った様だな....!!!
N:優劣の天秤は、再び逆に傾いた。
パウロ:全隊ッッッ!!!!!前方機体に....ッ、突撃ィイイイィィィーーーーッッッ!!!!!
カリオストロN:そ...........んな..................馬鹿...........な...........
こんな..........僕が..........
こんな...........!新兵の様なミスを.........!!!
N:聴こえる。脆いカリオストロの心。
その心にヒビが入り、泣き声の様に軋むのが、確かにカリオストロの耳に聞こえていた。
カリオストロ:だ....から..........ッ........!!!!だからどうしたァァァッ!!!既に距離は十分とってある!
撃ち落としてやるッ....、”ペチュニア"!!!!全員消し炭にしてやれエエエエエエエエエエエエエエッッッ!!!
N:カリオストロが我に返り、ネペンテスを再起動して...ペチュニアを掃射するまでの数瞬。
ほんの刹那に満たないその数瞬は、周囲を包囲され、攻撃をされるに余りにも足る致命的なタイムロスであった。
パウロ:無駄だァッ!!!
ここまで接近すれば回避するのも最早演算処理に任せても構わぬほど...ッ!
貴様を即刻処理し...ッ!!!あの艦を撃ち落と
トロイ:『させませんっっ!!!!!!!」
N:カリオストロに向けて怒号と共に発射された弾丸が、
空中より地面に突き刺さった巨大な羽根の形の盾によって轟音を響かせ防がれる。
パウロ:きッ.......
トロイ:いい加減に...ッ!いい加減にして下さいッッッ!!!!!
<そして、次の瞬間。アオオニに向かってCT・ARGCが体の前に羽をX字に展開させ、猛烈な勢いでスラスターを吹かして体当たりをしてアオオニを吹き飛ばす。>
パウロ:貴様等あああああああ~~~~~ッッ!!!
<吹き飛び、何度も地面を弾むように転げながらも、アオオニから怨嗟の声が響く。>




