【EPISODE5 NOW IS(ナウ イズ)】
ディール♂:
ムーンライト♂:
パウロ♂:
クルス♂:
フラワ♀:
トロイ♀:
♂4:♀2
<場面転換。教会が崩れた直後。ディール、パウロ、ソーイの三人の場面。>
パウロ:『馬鹿者ォ!!!!!!
先のうぬの無意味な足掻きに何の意味があった!!!』
ソーイ:『だって、だって!!!私は死ぬべきではないんだから!!
きっとあの教会の人質も生きている....生きているさ.....私は殺していない....私は悪くないんだ....!』
ディール:べリオ...さん..................。皆........。
<呆然とするディール。>
パウロ:『................ッ...................。よい。うぬの駄々は吾より上の者に吐くが良い。
.......おい、聞こえておるか。』
<ディテクターに通信をするアオオニ>
パウロ:『自爆をされてはかなわん。三日やろう。
崩れた教会の中から生き残りを探し、うぬらの戦艦で機体とデータの受け渡しの支度をせい。』
ディール:...勝手なことをッ!!!!ここで自爆してやる!!!!人殺し共!!!!!!!
無関係な子供にまでついに手をかけたな!!!!!!
パウロ:『漸く自覚したか?
うぬらに銃弾が向かうのはむしろ幸運なのだ。
戦事では、うぬらが立ち上がる限り無辜の民にも銃口が向く。
......では、良き返事を期待しておるぞ。』
ディール:逃がすか!!!!このロックが有る以上お前たちはどこにも
<そこに、回線に割り込んでくる声。>
クルス:『やーどーも、遅れちまいました。
.........おっとっと。
...........................................人質を巻き込むとは。
曇っちまったのはお互い様ですかね、パウロ中尉。』
<上空からスラスターを吹かして急下降してくる機体。
騎士の様な槍、巨大な盾。
それを背に懸架し、構えたバズーカから電磁障害弾が発射される。
ディテクターに当たる寸前に爆発したその弾丸により、ディテクターは脱力。
バスケットラースHDとアオオニはディテクターのクローから逃れる。
そしてやってきた飛行補助型ランドアームズ『ラックスワンプ』に掴まって空中に離脱していく。>
ソーイ:『たっ....助かった....!!
ほっ、ほら見ろ!!!ほら見ろ!!!!!!
私は死ぬべきではないんだ!
私は優れているんだ!!!...うん。
そうなんだ。こんなところを任せられても文句を言わずに収めている私が、報われないわけがないんだ....!!!』
パウロ:『..........地に這う鷹よ。
何かが違えば、吾も貴様の横で宇宙を見上げていたかもしれんな。』
クルス:『何か?』
パウロ:『....下らぬ独り言だ。』
クルス:『...珍しいですね、中尉。』
パウロ:『....集中せい。』
クルス:『...aight、中尉。』
ディールN:........もう.......目が開かない.....。
ディールN:べリオさんは....フラワさんは....教会の皆は無事だろうか......。
ディールN:.....................................すみま..................せん..............................................。
<場面転換 教会崩壊から丸一日。
カリオストロの個人用寝室のドアの前に食事を持って立っているワカミネ>
ワカミネ:.....調子はどうだ、カリオストロ。
あれから食事をまだとっていないだろう?
カリオストロ:軽い脳震盪だったさ、あんなもので医務室の枠を埋めていられないよ。
僕は大丈夫さ。実際、精密検査でも安静が必要だとされただけで...医務室からは離れてもよいとの診断だったよ?
ワカミネN:確かに...いつも通りの声だな。
ワカミネ:そうか....。では、扉の前に置いておく。
カリオストロ:ああ。有難う。
ワカミネN:....何か、引っかかる。
...至近距離では気付けない仕掛けのトリックアートを見ている様な。
目の前で自分の知らない何かが羽化を進めていて...見逃してしまう、根拠のない焦燥感の様な...。
<場面転換 カリオストロの自室>
カリオストロ:あぁ................網膜に焼き付けたかった......。
カリオストロ:脳震盪などと、つまらぬ邪魔のせいで.......。
カリオストロN:教会にランドスタッドのグレネードが命中した際に、孤児たちは一人を除いて全員死亡。
....だが..............。
一人だけ、助かった。
一人だけ、“助けられた”のだ。
ジロぉ......。
聞いたよぉ....。
腹に大穴を開けてまで、孤児の命を庇うだなんて......。
痛かったよね...? 今も、集中治療室と手術室を往復しているそうじゃないか....。
君はパイロットだ。 救助隊ではない。
なのに....。そして、嗚呼.......きっと、きっと....体が勝手に動いたのだろう。
自らの運動神経の悪さなど計算のうちにも入らぬのだろう。
べリオの覇の道を進むには、きっと,....目の前の命の燈火を消すという選択肢はそもそも無いのだろう。
守らな“ければ”ではない。
守るもの“だから”なのだ。
だから,,,,道なのだ。決まっている道程....。
それこそが、王へと自らを導く道なのだ。
自ずと自らを歩ませるから,,,,道なのだ。
ンっふ....ダメだよジロぉ...。
僕が僕で居られなくなってしまう......!!!
......................................でも。思うのだ。
....きっと。このままでは僕は、あの女の様になってしまう。
王の横に居ることが人生の全てであり、王の横に居る事のみが自分の証明である、あの女に。
血を分けた程度で王を忘れる弱い弱いあの雌狐に....。
.......でも。...いや、では。
何が王の道なのだ?
親の下から逃げた僕は、べリオの光を浴びて居るだけでは無いのか?
僕は....道の先にある覇では無く。覇の道だと信じた道に映る自分を見つめているのではないか?
...僕が成るべきなのは王だ。
王への道を歩まねばならない。
ただ....僕は今覇の道を歩めているのかが分からない。
....べリオは眩い(まばゆい)ばかりの覇の道を歩んでいる。
その光に...僕は生かされている。
では........僕が,,,,いや....““オレ””がなるべきなのは.....。
<時計を見てゆっくりと体を起こし、着替えるべく備え付けられたクローゼットへ移動する>
<そして、足を止めて呟く>
カリオストロ:............気持ち悪ぅ.............................♡
<そのまま気を失って鼻血を垂らしてどさっと倒れるカリオストロ。
通信に出ないカリオストロを不審に思った作業員が部屋に駆けつけて、倒れたカリオストロを治療室へ運んでいく。>
<場面転換 夜の月の光に照らされた教会。そこに居るのはほぼ無傷であるフラワとトロイ。
子供たちの遺品やがれきの整理をするべくセイヴァージークの救助員と教会を歩き回り、遺品を拾い集めている。>
フラワ:......なんか、喋りなさいよ。
トロイ:.............................。
フラワ:..........気持ちは分かるわ。
トロイ:...................わかんないよ。
分かるわけ。ないよ。
フラワ:...............いいえ。分かるわ。
いえ...完全には理解できないけど。
トロイ:急に宇宙から人が押しかけてきて。
そして、大きな機械と軍人まで追いかけてきて。
..........そしたら。そしたら。
ソーイ様が.....暴れて。
その弾丸で.....................!!!
フラワ:........薄々、気付いていたんじゃないの?
このコロニーの為、と声を上げるだけ。
戦っている、と声を上げるだけ。
宇宙海賊に立ち向かうのはいいけれど、見たところ軍事的なノウハウも施設もこのコロニーには見当たらないわ。
武勲欲しさに兵士を無駄死にさせているだけの腐敗した権力。
,,,一方、為政者が見せなければいけないのはビジョンと成果。
............成果の伴わない声に縋り続けた結果、化け物が生まれてしまうなんて...。少し考えればわかるでしょう。
トロイ:だって.......だって!!!
縋るしかないじゃない!
主に!!!ソーイ様にッッ!!
誰も助けてくれないって分かっていながら!
お父さんやお母さんが消えていくこの異常な世界で生きていくには!
もう...何かに縋らないと生きていけないんだよ!
運良く大人になれたって....、飢えていく子供を直視し続けさせられる!
出来る事なんて何もない!
祈り以外に私たちに何が許されているんだよ!
祈り以外に私たちが正気で居られる方法ってなんなの!?
...そうやって憐れんでくれてもね!
生まれるところを選べなかった私たちと同じ視点で居ようとすること自体!!間違いなんだよ!!!
フラワ:.........まず一つ。セイヴァージークで調べた結果。
フェザーポータルの私設警備組織“アークエンジェル”。
まともなシゴトがないこのコロニーでは多くの人間が就職するこの組織だけれど。
“周辺宇宙海賊とほぼ無計画に戦闘行為を行い、且つアークエンジェル側のパイロットはほぼ撃墜をされている”わ。
<回想開始>
トロイ:私達を守ってくださるソーイ様だって!
卑劣なNOAHと戦って...!
宇宙海賊と戦って...!沢山、たくさん人を殺してる!
....っ、どうして殺さなきゃ何もできないの、貴方たちは!
<回想終了>
フラワ:...貴女のおかげで思い出したのよ。
宇宙海賊と戦っている勇猛な君主が、教会の前での戦闘であんなに狼狽える(うろたえる)かしら?
...そして、軽くハッキングしてみたら出るわ出るわ、悲惨な戦績の数々。
このコロニーの人間はハッキングなんてしてこないって高をくくってんのかしらね。
<そう言ってトロイに死亡者リストと書かれた紙を手渡す。>
フラワ:見覚えのある名前は見つかったかしら?
...見つかった、って顔ね。
...そもそも、おかしいと思わない?
貧しいコロニーとはいえ、私設の警備部隊に就職してからほぼ確定で一定数の人間が連絡が取れなくなってしまうなんて。
トロイ:....................ッ.......。
フラワ:加えて。卑劣なNOAH.....その言葉の意味。
セイヴァージークでこのコロニーの放送電波を受信したから、見てみたの。
コロニーにカネを出さない卑劣なNOAHと断固戦う....ですって。
ご立派。
...そして、調べてみたの。
相も変わらず杜撰な(ずさんな)データベース管理で、ハッキングも情報収集も容易だったわ。
その結果...呆れた。
NOAHからの支援金は八割が使途不明金として処理されている。
分かる?
“あなた達に渡るべきお金がフェザーポータルに額として計上された瞬間渡された額の二割に削減されている”...って事よ。
トロイ:うッ....嘘だ!!!
嘘に決まってる!!!
ソーイ様は生きている限りNOAHと戦うと仰って(おっしゃって)おられて
フラワ:その言葉はただの音なの!
意味なんか持っていない!
......どこにそのお金が流れているか分からない。
ただ...フェザーポータル上層部はカネを横取りし、NOAHを仮想敵に仕立て上げている。
...ここからは確証がないから私の推測として聞いてほしいけれど。
まぁ....NOAHから重要視されず、監視の緩いコロニーで
退屈な仕事さえしておけばカネをネコババしてもお咎めは無し。
国民は飢え、疲弊している。自分を疑う気力など残ってもいない。
自分を英雄の様に見せておけばころっと騙されてくれる。
更に宗教施設をオマケしてやったら涙を流して縋り始めた。こんな楽なことは無い。
さぁ、これからも戦争の真似事を余ったカネで続けよう。
宇宙海賊との戦争に勝ち目はないけれど、命とカネは沢山ある。
勝つまでやればいつか勝てるに違いない。
.............って、ところでしょうね。
トロイ:.................ッッ!出てって!さっさと!補給でも何でも終えて...っ、このコロニーから出て行ってよ!
いいよね、恵まれている人たちは!
そうやって私たちを憐れむことが出来て!
そんな綺麗な服を着ているあなた達は、私たちの気持ちなんて絶対分からない!
結局人殺しを連れてきた時点であなた達も同罪!
もう顔なんて見たくもないよ!
....こんな地獄しか知らない私に!
帰る場所が有るあなた達が!!!!
知ったような事、言わないで.....。
フラワ:.........私の故郷はね。
いや、べリオやディール、そしてセイヴァージークに乗ってやってきた人間は全員....IO PLANET
からやってきたの。
トロイ:....え.....。
フラワ:そう....貴女も知る、.......。“謎の事故”で爆発したコロニーの事。
私は目の前でそのコロニーの爆発を見た.....。
....だから、分かるの。貴女のその、ぽっかりと心に穴が開いた気持ち。
自分の無力さに、吐き気を覚えるその自己嫌悪も。
トロイ:......。
フラワ:隠していた理由は、今の貴女と同じ。憐れんで欲しくなんかないから。
そして...、貴女を巻き込みたくないから。
だけど伝えたのは....私は貴女を憐れんでないって知ってほしい、から。
一人じゃないって、知ってほしい...から。
トロイN:この人は....一瞬で愛する家族が死んで.....コロニーに住む人が蒸発しても....。
..........でも..............。
トロイ:......分か....んない...よ。
機械のせいで...、貴女の大切なものも、そこに生きていた人が沢山...、沢山死んでいるのに......。
どうしてその機械を使うの!!!
フラワ:....それはね。機械じゃないと戦えないから。
トロイ:.......!!!
フラワ:プライドの為に死ぬくらいなら、前に進まないといけないって、私が決めたから。
私のプライドは、私の無力で死んでいった人たちに比べ物にならないって...知ったから。
.....私たちの船。セイヴァージークはNOAHに向かう。
理由は詳しくは言えないけど....私たちを追ってやってきたNOAHは奇しくも偶然このコロニーの現状を見た。
ディールが言うには....
<回想開始>
パウロN:逃げずに立ち向かううぬの姿勢に敬意を表し、一つ教えてやろう。
うぬらも気づいておろうが....このコロニーには、腐敗という単語では片付かぬ外道がおる。
うぬらを片付けたら、次はその外道よ。
青き理想に胸を焦がした若人よ(わこうど)よ。安心せい、歪みは正される。
<回想終了>
フラワ:おそらく...このコロニーの腐敗にNOAHも気づいたと見えるわ。
....もう少し。
もう少し、耐えて頂戴。
トロイ:.....................っっう....!!!!!(目に涙がたまっていくトロイ)
トロイ:....っごめん..............!!!
ごめんね、フラワちゃん........!!
私、自分の事ばっかりで....!
でも、辛くて、くるしくて....!!!
フラワ:.........良いの。いくらでも、やり直せる。
貴女にはまだ、帰る場所が有るんだから。
<教会を照らす月の光が、二人を優しく包む。>
<が、次の瞬間。二人のすぐ目の前の床がズズズン、と崩れる。
その下に何か影が見えた。>
トロイ:....きゃぁぁっ....!!
フラワ:トロイ!!!....危ないわね、地盤がぼろぼろになってる....。
なんて威力のグレネードなの....、こんなものを市街地で撃ったなんて....!!!
.......ん.............?
あれは....................?
<教会の抜けた床の下に見えるのは、土埃や風化でやや茶色く色を汚してはいるものの、大部分が白くペイントされたランドスタッド。背中にマウントされた複数枚の盾の様に見えるプレートはまるで羽の様で。
膝をついてまるで頭を垂れているように見えるソレは、微動だにしない。>
トロイ:.........あれは.......。天使様....................................。
<月明かりに照らされたその機体を前に呟くトロイ。そして、その機体を見つめ、悲しそうにつぶやくフラワ。>
フラワ:............................CT...................................?
<場面転換 教会崩壊から1日後。朝を迎えるAFS。
集中治療室の“手術中”の赤い光を眺めながら、沈痛な表情でベンチに座るディール。>
ムーンライト:......よう、いつまでそうしとるつもりや。
<つかつかと足音を響かせながら缶コーヒーを片手にディールに話しかけるムーンライト。>
ムーンライト:この缶コーヒーもラスト5本やってんて。
....んで、いいニュースや。補給船がなかなか来れんらしい。
なんでも、このコロニーに接近しようとすると未登録の機体に銃撃されるねんて。
..........ほれ。
<ばさっ、とディールの前にその機体らしきものが写った写真が無造作に投げ置かれる。>
ディール:......これは。
ムーンライト:視認された機体の影や。
肩んとこに下ッ品にロゴ塗っとるわ。
......AA、やと。
ほんで、天使の羽のデザイン。
.......子供でも分かるわな。
ディール:...........アークエンジェル..................。
ムーンライト:....こーりゃ、八方塞がりっちゅう奴やな。
ズングのぼっちゃんがオレ等をぶっ殺そうといよいよマジになったっちゅうことや。
.......なんちゅったか......。せや。
兵糧責め、っちゅう奴やな、こら。
ディール:...........今後のビジョンは。
ムーンライト:まず...二日目の夜。光学迷彩....アレや、“MANT”を装備をさせたワカミネのサイドホーンとフラワのCTで補給船と宇宙でおち合う。
サイドホーンとCT...、燃料はまあまあ残っとるしいけるやろ。..ま、損傷もヤベェが。
ジェイルブレイクとディテクターよかマシやでな。
んで、そこでランドスタッド用の修繕物資と...、セイヴァージークの燃料を受け取る。
そらチョビ~っとしか持ってこられへんやろうが....
ま、このコロニーからNOAHZに豆鉄砲撃ちながら脱出する分くらいはギリ持ってこられる筈や。
ほんで、残りの分の補給物資は宇宙で受け渡しを行う。
宇宙海賊やらがおるから本来は好ましくはないが....このコロニーで補給が邪魔される以上、しゃあないわな。
ディール:..危険なミッションです。
ムーンライト:そうやな。
突貫工事に装備をケチったスニークミッション。
...死ぬかもなあ、どっちか...もしくは二人共が。
ディール:...ッ縁起でもない!
ムーンライト:だが現実や。
ディール:...ッ....。
ムーンライト:....ったく、フラワは通信に出たかと思えばワタシまだ戻らない!やることが有るぅ~!って教会から戻らんし。
甘ちゃんばっかやの。
...疲れが顔に出とんど。
ちった休みや。
....ほれ、コーヒー。
アンタの分、貰っといたわ。
<ディールにコーヒーを投げてよこすムーンライト>
<それをパシっと受け取るディール>
ディール:.......ありがとうございます。
ムーンライト:.....フン。
<つかつかと去っていくムーンライト。>




