↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/50

プロポーズ大作戦

 「ニャートピア」の猫たちもすっかり家に馴染んだようで、毎日元気に走り回ったり、お互いをナメナメしあったり、猫窓から通行人を眺めていたり。


 思い思いに、楽しく過ごしているようだ。


 今は、閉店後に猫たちをベッドスペースへ誘導する訓練をしている。猫スペースの掃除は大変だからね。


 朝御飯と夜ご飯は、家族でやって来た人のお母さんや、三人の調理担当が交代で作って賄いとして提供している。


 研修中は調理の練習も兼ねて、こちらも賄いとして提供しているが、営業が始まれば昼食はなし。休憩中に好きに食べてきて欲しい。


 そんな感じで、今日も出勤です。




「旦那さま、おはようございます!」


「「「「「おはようございます!」」」」」


「はい、皆さんはおはようございます。今日も元気そうで何よりです。特に問題はありませんでしたか?」


 昨日は一日、ソフィーさまとピクニックや、そのあとはディナーまで領主さまと今後の打ち合わせをしていた。


 なので、猫カフェへ顔を出せていなかった。


「先ほどヘンリーさまからお電話がありましたが、お話はされてますか?」


「まだですね、一度こちらからかけてみますが、ギルドからでしたか? ご自宅でしたか?」


「ギルドからでした」


「では、連絡してみますか」


『はい、商業ギルドでございます』


「ニャートピアのタケルですが、お電話を頂いていたそうで、ヘンリーさまは今大丈夫でしょうか?」


『少々お待ちください』


 ヘンリーさまの用事ってなんだろうな?


『待たせたな、タケル君』


「いえ、大丈夫ですが、何かありましたか?」


『ああ、娘が宿場町に到着したという連絡があってな、明後日の朝に迎えの馬車を出す予定なのだが、タケル君の予定はどうだろう?』


 アンナさまが到着したのか。店は直ぐにでもオープンできる程度の仕上がりだし、明後日でも問題ないな。


「大丈夫ですよ、明後日の朝にヘンリーさまのご自宅へ向かえばいいですか?」


『そうだな、申し訳ないが二の鐘で出発を予定しているから、それまでに来て欲しい』


「わかりました」


 そのまま誕生日兼、お帰りなさいパーティーの詳細を詰めたが、迎えの馬車が到着して一泊し、翌日出発するということなのでパーティーは三日後だ。


 ソフィーさまへ連絡をして、予定を確認するがこちらも問題ない。


 パーティーは領主さまのシェフもお借りして、和食尽くしで用意する予定だ。そのためにシェフには料理を仕込んである。


 和食の評判は良かったので、サプライズで提供しても問題はなさそう。




 そして翌日の朝――


「では、明日の朝に宿場町を出たのを確認したら、ハンナさまにお電話しますね」


「はい、よろしくお願いします」


「そのあとは、私の自宅で待機して、通過するのを確認してから、こちらへ参ります」


 馬車は出発し、街の門を出る。性能的にスピードはもっと出せると思うが、今日は冒険者さん四人の護衛が付いている。


 その足に合わせるため、スピードは普段通り、初めての郊外だが乗り心地も悪くない。


「タケルさま、今日も馬はご機嫌ですよ! お尻も痛くないのは最高ですな」


 御者さんも、お馬さんにも相変わらず大好評な魔改造馬車です。


「そんなに違うものなのか?」


「おう、乗って見るかい、冒険者の旦那! ってタケルさま、構いませんか?」


「いいですよ、どうせこの辺りは安全でしょうから交代でどうぞ」


 そんなわけで、冒険者の四人が交代で馬車を経験することになった。この四人は「ニャートピア」御披露目の時に、警護として参加していた人たちだ。


「こいつはすげぇ! 疲れてたら寝ちまいそうだぜ」


「そうですね、これは画期的です。馬車で移動したら、どうしても腰やお尻が痛くて、しばらく宿で休まないと動けないですからね」


「やっぱり、そうなんですね。長距離だと尚更キツいでしょう」


 予想通り、今までの馬車では長距離だとかなりキツいようだね。


「そうだな、馬車に乗ってるより、護衛の方がマシってなぐらいさ」


「その点、この馬車ならすぐ動けそうですね。馬の休息は必要そうですが」


「ところで、タケルの旦那よ、相談があるんだがいいか?」


 なんだろうな、改まって? リーダーのおっちゃんが相談を持ちかけてきた。

「まあ聞くだけなら」


「俺たちもよう、結構いい年なんで、そろそろ身を固めようかと思っているんだが……」


「結婚されるんですか?」


「そうだな、まだちゃんと話しはしてないんだが、一緒に護衛してる二人がいるだろ? 俺とコイツ、それぞれのいろんな意味での相棒なんだわ」


「タケルさん、おれたちを『ニャートピア』の警護として雇ってもらえませんか? 外の二人とも猫を気に入ってしまって、このまま引退するのもアリかなと思っているんです」


 もう一人のお兄さんがストレートに投げ込んできた。


「うーん、聞いてるかも知れませんが、加護があるので猫たちやお店が、危険になることは無さそうなんですよね……」


 家族用の部屋もあるし、人を雇う余裕もあるが、警護や護衛に意味を感じないんだよねぇ。


「そいつは聞いているが、実際に警護に人が立っているのと、そうでないのとでは安心感ってものが違うんだよ」


「そうです、実際に目立っていますし、お店への直接的な被害じゃなくても、店の前での揉め事とか、色々と面倒なことが起きたとき、きっと役に立ちますよ!」


「そう言われると、確かに必要性を感じますが……プロポーズはまだなんでしょ? オッケーの返事を貰えたら雇ってあげます。ただ、四人も必要ないので、男性のお二人だけです。部屋はちゃんと家族部屋を用意しますけど」


「よっしゃー!」


 二人ともガッツポーズをしているが、ちゃんとオッケー貰えるんだろうな……知らないぞ。


「じゃあ、今から俺は御者席に移りますので、さっとプロポーズして結果を出してください。宿場町までに返事を貰えなかったら、この話は無しということで!」


 御者さんに馬車を止めてもらい、俺は外を歩いている女性二人へ声を掛けに行く。


「ちょ、タケルの旦那! いきなり過ぎるぜ、心の準備ってもんが!」


 何か聞こえるが、知ったことではない! リア充爆発しろ!


「お姉さん、二人にそれぞれ大事な話があるそうなので、馬車のなかで聞いてあげてくれませんか?」


「急に止まったと思ったら何? 大事な話?」


「どうせロクな話じゃないわよ」


「まあ、そう言わずに……何か提案されたら宿場町に着く前に返事してあげて下さいね。護衛のことなら、お気になさらず。危険があれば探知できるので、そのときはすぐに呼びますから」


 よし、これで男どもの退路は絶った。あ、でもこれって普通なら死亡フラグが建ちそうだけど、大丈夫ですよね、神様!


 そのあとは、男どもの決意が固まるまでしばらく時間を要したが――


「やったぜ! いやっほぅ!!!」


 と野太い大歓声が聞こえると、リーダーのおっさんは馬車から飛び降りて、喜びを爆発させていた。


「おっちゃん、危ないよ!」


「すまねえ、タケルの旦那! いや、旦那さま! 一生ついていきまっせ!」


「タケルさん、あ、なんて呼べば……」


「今まで通りタケルでいいですよ」


「残念な男でごめんなさい、でも腕は確かだから安心してください」


 その辺はヘンリーさんが信用して、護衛にしてるぐらいだから心配はしていない。


「ええ、奥さんたちも暇でしたら、朝と夜の賄い準備を手伝ってもらえれば、お給金出しますよ。なんなら一緒に食べてもらってもいいですし、部屋へ持っていっても構いません」


 そんなわけで、警護要員二人と、お手伝いさん要員二人をゲット。


 決め手はやはり、家付き、職付きというのが大きかったようだ。

 実際に女性二人は家族用の部屋を見ていたから、そこに住めるというのは、かなりの魅力だったみたい。


 部屋の壁は十分厚いはずだから、問題はない、頑張ってくれたまえ!


 リア充どもめ! 末永く爆発しやがれ!!!!


 俺の魂の叫びが、異世界に響き渡った。



お読みいただき、ありがというございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。