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冒険は推奨レベルを超えてから~ビビりだけど幸せ求めてがんばります!~  作者: 爆微風


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13/50

ビビりの母は子離れできない

ママのターン☆(°▽°)



 ☆




 昨日はありがとう記念日だ。

ふわほわな気持ちが溢れる日だった。


……悲しみに打ち据えられたあの夜から、一年。

うちの息子達が1歳に。

もう、一歳祝(ムカレ)なのねー。


オギャ~って言ってたと思ったら、もう歯が生えて。

オムツ交換で泣き続けていたと思ったら、歩き始めたり。

おっぱい飲んで。

ねんねして。


ふふっ、離乳食も良く食べてくれる。

アタシは燕麦粥(オートミール)、嫌いだったなー。

美味しく思ってもらいたくて、ヨーグルトとジャムを混ぜたり、山羊ミルクでふやかして練って薄焼きクッキー作ったり手を加えてみてる。

今日の朝食は、木苺ジャムと牛乳入れただけのフツーな燕麦粥(オートミール)だけど。


「おいちーっ」


って言ってにこーっとされたら、やる気満々に次の料理に取りかかるわ!

ごめんね、手抜きして!

もっと何かが出来た筈よ。

次こそもっともっと美味しくするわー!


うちの子マヂ天使(エンジェル)

さぁ、長くなってた髪の毛を、神殿(レパーベル)に行く前に切らなくちゃ。


「スライーおいでー」

「あいっ」

「ここに座って、じっとしててー。髪の毛切るからー」

「あぁいっ」


大変良い笑顔貰いました~!

もうっ、キュン死しちゃいそう。

アタシは欲張りだから、まだまだ死ねないけどねー。


昔使ってた深緑色のマントをスライの首周りから下げて、特注のハサミと櫛を構える。

指が太いのよ、悪かったわね。

ハサミは高かったけれど、これも仕方ないの。

長め丈で、切り揃える。


「よっし、こんなモノかなー」

「おかさん、ありあとー」

「どーいたしましてー」


にぱっと笑い合って、頭を撫でながら切れ端を払い落とす。

と、肩の上の髪の毛を抓んで、じっと見てる?


「おかさん、おとさん、一緒」

「あ」


切っているときのキラキラは、可愛さ効果(エフェクト)じゃなかった。

私達の髪色が、混在してたんだ。


金髪の束に、銀色の髪が入り混じって光ってる。


「一緒だねー。嬉しい?」

「さいっこう」


最高、って、可愛さが、かな!?


「嬉しいのはアタシもだぞー!!」


わしゃわしゃ撫でると、為すがままの首がフルフル揺れる。


「えへへー」


……転生者。


やっぱり良くわかんない。

だってこの子。

夜泣きこそ無かったけど、生まれて直ぐはお腹が減ると泣き続けて、おしっこしちゃって泣き喚いてと、ごく普通の赤ちゃんだったし、何処が違うのか何て、忙しくて考えられなかった。


初めての子供だから、かも知れない。

面倒でも可愛くて、ウルサくても柔らかくて、手間取るけど温かくて、見詰められたらムズムズして、笑い掛けられたら幸せになる。


逆に泣き顔は悲しくて焦る。

苦しくなる。

中身がオッサンかも知れないとか言われても、ねえ。


可愛すぎ。


……(バァン)に惚れた時より重症じゃない?

我が子には何をされても親の所為(せい)って言うし、自分が与えた全てが子供を育てる感動って、凄いわー。


愛情込めて育て上げるからね。


ミュゼラは、起きるかわからない眠りの中だと言われたけれど。

この子がお兄ちゃんって。

言ってるのを聞いちゃった。


「……お兄ちゃ、ちゃんとかやだかえしゅね」


お昼寝の寝言にしては、ヘビーよ。

でもね、アンタがそんな覚悟してくれてるなら、親であるアタシ等だって決めちゃうわよ。


アンタが何をしようと、何かしでかそうと、変わらない。

私達二人の子供だから、全力で育てるし。

何かやりたいなら、相談して。


まぁ、アタシは頭の仕事向きじゃないから、(バァン)に考えてもらって。

皆で、生きていこう。

……親離れだけは、もう少し待ってね。



   …………………………



 一歳祝(ムカレ)は神殿にある黒石盤(モノリス)へ、一歳を迎えた赤児を近づけ、神の恩恵、加護(ギフト)を発現させる儀式。


そのギフトが、二つ現れた。


二人分の、加護。

スライが石盤を指さし、呟く。


「にぃちゃの」


そうね、お兄ちゃんの分だよね。


「ふぅっ……」


ダメ、泣きそう。

ミュゼラの分も、現れた。

ちゃんと、存在してるんだって、言われた気がした。


思いっきりキいた。

良かったよぅ。

良かったああ。

何かに向けて叫びたくなる。

黒石盤に映し出された、この子達(・・)の、ステータス。


如何しよう?

ねえバァン……。


あ、(バァン)もう泣いてる。

声も無く。

それ見たらアタシも堪えきれなくなってしまった。


「はあっ…… く…… うぅっ……」


口を押さえても漏れ出る嗚咽は、儀式の最中だけれど許して欲しい。

無理。


「スライ…… ミュゼラ…… ありがとうー……」


「ここに新たなる命が歳を重ねるも全てが良き神の恩恵……」


ティグルさんがスライを抱えて祝詞を上げて、続いてマブリさんが映し出されたステータスを蝋板(タブレット)に写し取る。

後で清書してもらうのが楽しみ。


「えっ…… 称号?」


その手が止まる。


「……神の、愛し子!!」


称号に、そんなモノがあったから。


「既に称号が、しかも、神の愛し子と」


うわ、周りがザワついてる。

参加者がスゲー居るんだもの。


ご近所さんだけじゃなく、うちの村長から隣村の山羊人(パーン)村長、海の国の商売姉妹(ネレイス)と、人魚王妃まで(!)何故か座ってる。

ちょっとバァン、お祝いだからって増やすのはもいいけど、増やし過ぎでしょー。


「かはっ……」


あれ?

マブリさん興奮気味?

や、違う、これアレだ。

神降り? ってヤツだ。


[……此の辺に告ぐ……]


有難い事に、カミサマが説明に来てくれた?


[彼の者へ祝福と加護を…… しかし、望まぬを塞き除けよ]


あれ、説明に来たんじゃないの?

つまり、この子を愛してやって、この子の希望通りにするべし?


[囲い、担ぐは厳禁]


政治に使うな?


[是等が護られる限り、此の辺に繁栄を]


約束通りにしてくださいね。


[違うならば絶望を……]


じゃないと酷いぞ、と。

うわ、カミサマもスライに肩入れし過ぎじゃない?


はっはーん?


このカミサマ、女だわ。

しかもスライにべた惚れだし、甘々だし。

教育上良くないんじゃない?


……アタシは母親だもの、いーの。

お、ザワつきが非道くなった。

ネレイスとパーンが言い合ってる?

あ、村長に取り入ろうとしてるのね。


[我が望むは、安寧と静寂]


瞬間的に音が消え去る。

言い合ってた二人は倒れ、その倒れ込む音さえ無い。

あー、チョイ怒?


[従わぬは厳禁]


うん、怒ってるね。


[ただ緩やかに見守るを、健やかな未来を]


あ、音が戻った。

倒れた二人は介抱されて、椅子に座らされている。

意識はあるみたい。

空気読めー。


[聞け]


……どこからか、子供の声が、聞こえる。


「この村を発展させたい……

父に教わりたい……

母に鍛えられたい……」


これは、スライの、声。


[彼の者の目標、希望、願いは優しく、此の辺に幸をもたらすだろう]


……泣かすわねえ。

さすがアタシの子。


[村長(むらおさ)、是を守るを誓うか]


村長は満足顔で肯き、喝采が上がる。


[良き日よ、大地に海に繁栄を]


一歳祝(ムカレ)が何か分からない祭りになっちゃったね。

夫に寄り添い、溜め息を吐いた。


……母親の勘だけどね。

カミサマも、人魚王妃も、多分うちの村長も、倒れた二人以上に下心あるんじゃないかなー?


でも、あげないわよ。


ロギー・オーニス Level=73

状態=溺愛(永続化)

職業=狩猟者 称号=騎士

ギフト=「空気の階段」高低差無効、跳躍、登攀

スキル=跳躍力向上(大)

    剣術特化

    槍術特化(大)

    防御力増加(大)

    弓術特化

    調理(中)

    直観力(小)

魔法=無し

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