ビビリに仕事が廻ってきました
隠れ里生活で、亜人には迫害があり、子供には必然的に自衛手段が求められます。称号持ちの方々は先生として、子供を教育する義務を請け負っていました。
☆
暑が夏い。
暑っ暑いいぃ。
陽射しは強火、木陰に逃げなきゃ。
夏の盛りが訪れて、作物への手入れに一段落つくと、本格的に動き出すのは学校です。
母の騎士道教室は自衛の体術を教えており、手隙の村人が何人か参加していました。
父の魔法教室には、村の子供達が参加しています。
モチロン僕も参加するハズ…… だったんだよなぁ。
個人レッスンは別枠で貰っているから、基礎の基礎を復習するのもいいかなーと思っていたのだけど。
僕に勤まるかな。
まあとにかく、復習復習。
魔力判定、アイテムや相手から魔力を受け、何であるのか知る。
感知、周囲の存在を文字通り感知する。
範囲は技術次第。
収束、魔力の流れを変え、二つ以上の別魔力を集める。
集中、魔力の流れを加減速し、魔力量を増減する。
拡散、魔力の濃度を希薄化し、流れを限界まで減速する。
放出、魔力の濃度を濃縮し、流れを限界まで加速する。
具現化、魔力の外殻面を変形させ、意味を持ったカタチにする。
と、ローテーションで組まれている基礎を暗唱するも、降って湧いた違和感に溜め息が出る。
先生側に立たされて居る、違和感。
前日に知らせるなんてヒドいよ。
「おとーさん、僕、自信ないよ」
「大丈夫、お前なら出来る」
出来そうにないから言ってるのに。
「だっだって、今日はレモ姉ちゃんもブルク兄さんも来るでしょ」
あの二人、苦手。
主に見た目が。
レモ姉ちゃんは単眼鬼人。
ブルク兄さんは牛人鬼。
良い人達なのに、見た目が超恐い。
もうすぐ3歳になりますが。
見慣れて来たんだけれどもだ。
ギョロッとした目、ムキムキに磨きがかかってしまった体。
血走って何処を見ているのか分からない双眼、デッカい声。
二人とも体がデッカい。
特にブルク兄さんには赤ちゃんの頃から乱暴にあやされた記憶しか無いので、恐怖も一入。
高い高いで木の上に投げられ引っ掛かってしまい、下ろす為に木を蹴り倒したという無茶苦茶。
正確には揺さぶるつもりだったらしいけれど。
雪の日。
子供達は雪合戦に夢中になって、カマクラの中に残された僕。
仕方なく待ち惚け、何気なく外を見たら何故か雪玉(直径2m弱)が転がり込みカマクラの入り口を塞ぐ瞬間で、飛び退いて命拾いしたとか。
恐いでしょ。
思い出して震えてるもの。
「はははっ、昔は二人を見ただけで泣いてたもんな」
うん、笑えない。
レモ姉ちゃんは見た目が凶悪犯みたくなっちゃった。
昔のがまだ……。
気が引けるが、詳しく言うと。
腕と脚が倍の太さにビルドアップ。
腕毛とかの体毛がね。
ちょっとね。
髪の毛は三つ編みで後ろ流してるけど、先の尖った耳が顕わになって、悪魔っぽい。
唇が薄く赤く、八重歯が覗いて……。
慣れないんだよ、まだ。
目を伏せる度に悲しそうにしてるのを知って、母からも諭された。
女の子なのだから邪険にしないで、と。
目を逸らせたくないけど中々…… ね。
あ、レモ姉ちゃんにも赤ちゃんの頃に乱暴にされた記憶が。
あやすと言うかハグが痛かった。
あと、髭が痛かった。
スリスリのつもりで、じょりじょりされた。
レモ姉ちゃん、ドワーフの血を引いてるからね、女性でも髭が生えるんだって。
今は恥ずかしいらしくて処理してる、らしいよ。
じょりじょりの時は泣いたなー。
何か分からないけど超恐かったんだい。
「大丈夫だって。一緒に居るし、見ているから」
見ている、ってか『記録する』気でしょ。
それ、映像記録用の魔力結晶体と動作機器。
何処からソレ仕入れたの。
高いんじゃないの?
運動会のパパママだ。
……あ、母も隠れて見てる。
騎士道教室はどうしたの。
「自習にして来たから大丈夫よ! ファイトっ!」
隠れる気は無さそうだ。
「基礎授業だけ、な。予行演習と思って」
今年、村でベビーラッシュが発生してます。
3軒で産まれ、今後の予定が5軒。
畑を開くと豊作、という図式が後押ししているのは確実だけれど、凄いなあ。
亜(種)人同士の出生率は低いので、異種家庭の多いこの村をやがて無くなる状態と捉えていた他村もある。
主に海の国以外のお隣とか。
交易になる度にアタリが強いと、交易も担当していたマブリさんがこぼしていた。
これだけ多種多様な異種族の村というのは珍しいらしく、人数は多いが変な集落という認識の様子。
こちらからするとピンとこない。
亜人種って言い方も、人間主体の発言だけどね。
隣村の山羊人と羊人の様に同じ部族や種族が集まるのが普通。
海なら海、山なら山の世界があるし。
しかし、この村には今、神の恩恵が。
[間接的にね]
そう、お零れと言うと響きが悪いけれど。
豊作が確実なんて素晴らしい。
そもそも出生率が低い原因は、栄養素の欠乏と防御スキルの所為だった。
この世界に蔓延している『ステアンド』という細菌が、鉄を悉く腐食させるとかで、慢性的に稀少栄養素としての金属(鉄分や亜鉛)摂取量が少ないわけだけども。
『亜人種』に掛けられている呪いとも言えそうな種族維持の法則が伝えられている。
曰く、人間との交配に大きな問題ナシ。
曰く、他種と他種は育成時血液障害の危険、出産時に呼吸困難の危険アリ。
曰く、多種間の受精率は人間の半分程度、安定期への移行は低確率。
……障害のソレ、鉄分不足だけじゃないな、と思ったら。
[神が与えた獣人の性質は、体の構成に追い付いていないのです]
……最初に聞いた時は「?」だったけれど。
つまり『胎児に必要な栄養素は母体と違う』という点だ。
同族なら不足を補うのは容易いけれど、食生活や習慣の違う他種では、栄養素の不足は致命的になりかねないという事実。
僕等の場合はプラスして母のスキルも影響していた。
タンパク質やカルシウムやら大分足りなかったから体重は少なく、羽根が未熟に。
母の体からは翼人の羽根へ回す栄養素を引き出せなかったのだ。
・スキル「防御力増加」という防御スキル。
……体の状態に関わらず装備品と掛け合わせた防御力を維持する。
……一定の状態変化を防ぐ。
最後の「一定の状態変化を防ぐ」のが、普通の妊娠中に回される栄養素を見逃し、足りない分を補おうとする赤子側からのアプローチを防いでしまった。
戦闘向きのスキルが多いこの世界。
これは致命的になる齟齬。
……この事は母には言わないよ。
因みに『一定の~』は、妊娠にも適応されてるらしい。
受精率の低下は、コレも原因だろう。
……頑張ったんだろーなー…… 父よ。
で、だ。
代行者さんから村の住民へ、
[子を宿すには防御スキルを外しなさい]
とアドバイスしてもらったら、こうなったと。
赤ちゃん沢山、騎士道及び魔法教室開校、先生は父、息子は次期主力の教師候補と、トントン拍子に進んだ。
赤ちゃんだったけれど、赤ちゃんの世話は未経験だよ。
うええん。
超展開早い。
「うっ、やっぱ止めとくか」
涙ぐんでいる僕に父が手を差し伸べる。
「う、ぅうん、やるよ? がんばる」
勘違いをして欲しくないのだけれど。
媚びてるワケでも言い訳したいワケでもないんだ。
頑張ろうって思ったから。
自信が無いのは事実だけど、成長しようって決めたから。
「……おし。じゃ今日の先生はお前だ」
「ファイトよっスライー!」
やるけど、授業中は、応援ナシでね?
人へ教えるのも何もかも、初体験ばかりだ。
……恐いけど、楽しくもある。
スライ・オーニス Level=1
状態=育ち盛り
職業=幼児 称号=誠実な徒弟(神の愛し子)
ギフト=「壁無き友垣」対話、心理学、人類学、生物学、多言語の優良性
「狙い違わぬ指」目星、回避、隠密、追跡、投擲、技能数値への補助
スキル=「?」
精神力向上(大)
集中力向上(大)
身体強化(小)
魔法=?
バァン・オーニス Level=77
状態=溺愛(永続化)
職業=魔術研究者 称号=賢者
ギフト=「遠き呼び声」気配察知、聞き耳、神学
スキル=黒、白、空間、精神魔術強化
常時ステータス異常回復
常時魔力微量回復
調理師Level.2/10
狩猟採集level.3/10
鳥目
魔法=黒、白、空間、精神、召喚魔術
ロギー・オーニス Level=73
状態=溺愛(永続化)
職業=狩猟者 称号=騎士
ギフト=「空気の階段」高低差無効、跳躍、登攀
スキル=跳躍力向上(大)
剣術特化
槍術特化(大)
防御力増加(大)
弓術特化
調理(中)
直観力(小)
魔法=?




