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友人A  作者: HRK
二〇一三年
14/21

14.




 「と、いうわけで。欲張りな俺的には両方叶えたい」

 どういうわけか、RAITが仕切る空気に包まれている。

 改めてリビングダイニングでRAITは持参したノートを広げた。今後のプランを構想するらしい。

 「とりあえず大まかな目標を立てていくね」

 話し合いというよりも事後報告会に近い。

 RAITの頭の中で決まった内容を聞くのが俺らの役割だった。

 「一年後にリベンジドーム。これは決定ね。やるやらないとか聞いてないから。やるの。で、」

 「さすがに人集まらないと思う」

 「ううん、やるの。で」

 空の不安をよそに口を動かし続けた。

 「それまでに揉め事は片付けたいから、弁護士に連絡をして…、あ、一応ね、空のお母さん、訴えるよ」

 右手にスマホを持ち、左手を胸の前で挙げたRAITは一応、形式上の許可をとった。これは意見を聞くものではなくやはり報告だった。

 「記事を大々的に拡散して話題を集める」

 「広太くんには空専属のメンタルケアラーをお願いしとくね」

 「あ、うん」

 「勝訴の知らせとドーム告知をほぼ同時に出す」

 「前回より高値に設定しても世間の同情によって飛ぶように売れる想定。グッズなんかも開発しようか?」

 ここまで一人で喋って、ようやく意見を求められた。

 「一般人が調子乗ってるって言われるのは傷付くから無しで」

 「OK。俺と大地とのツーショをランダムで引くのを千円以下に抑えて…」

 「話聞いてた?」

 「いや、段取り組んでるから今話しかけないで」

 「えぇ………」

 「ペンライトは必須。問題はデザイン。うん、デザイナーと打ち合わせするとして…」

 「あっ!そうそう、ダニエル知ってる?アメリカの歌手なんだけど」

 「ダニエル?知らない」

 「ジョー・ダニエルのこと?」

 空は首を傾げた。日本の有名人もろくに知らない空だから当然の反応だった。でも俺は知っている。超有名なロックバンドのボーカルだ。

 「そうそう。少し前にダニエルと一緒に仕事をしたんだけどね。コラボの話を持ちかけられたんだよ」

 「へーすげえ」

 「空にね」

 素直に感心した。さすが日本を代表するRAITだ。と思ったらそうじゃなかったらしい。

 「え、俺?なんで」

 俺も困惑する。

 「やっぱ、詰まるところは俺が見つけただけあるって話でさ。空の才能を買いたいって人はごまんといるわけ」

 「えーすげえ」

 「いやいや、まさかねそんな」

 「で、その返事を今送っといたから、ちゃっちゃとお仕事してもらって、ドーム前に公開、話題拡散、大儲け。よし」

 ここへきてRAITはやたらと金の話をしている気がする。才能云々と言って空を育ててくれてはいるが、結局ここまでしてくれるのは空が金のなる木だと思うからなんだろうか。

 「ドームを使うのがどんだけ高いか分かんないけど…俺じゃそんなに金儲けはできないよ。赤字になったらそれこそ返済できないからやめとかない?」

 空も同様の疑問を抱いたらしい。

 「何言ってるの?お金は二の次。俺は空を自慢したいだけ」

 RAITは素っ頓狂な口調で言った。

 「え、自慢?」

 「俺の空は無実だぞーって。そのついでに歌聞いてけよーって。じゃあお金は三の次か」

 「え、でもグッズとか」

 「いいのいいの。そんで、あとは新しい楽曲を収録してMVなんか作っちゃったりとかして、うわ!こんなことしてる場合じゃないな。早く曲作ろ。じゃ、またなんか適当に連絡して!俺もすぐLINEするから!」

 いつも落ち着いている印象のRAITが一人でドタバタと嵐のように帰っていった。しばらく状況が飲み込めずに二人してフリーズした。

 RAITが家を出た数分後に、空のスマホにLINEが届いた。

 『英語の発音練習しといて!』というRAITからの雑な依頼だった。


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