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10-11 解明

「まずね、この部屋に侵入の気配が無いし、争った気配もない時点で身内の犯行の可能性が高いというのはあったんだ」


 アクトに言われて、シーリアはもう一度部屋の中を見渡した。村長の部屋は彼の死体を運び出した以外はその当時のままにしてあったが、確かに吹き出した血以外は特に乱れた様子は無かった。普通の部屋といった様相が残っている。確かに彼の言う通りのように思える。


「そして、これが気にかかっていた」


 そう言うとアクトは未鑑定品を一つ取り出した。シーリアには見覚えがあった。村長の部屋で見つかったものに似ている。


「これはスローウさんの部屋から見つかったものだ。形状は元より、魔力の密度等が、村長の部屋で一つだけ見つかったものと一致している。つまり村長の部屋で見つかったものは、スローウさんの魔力と村長の魔力が反応して出来たものだと思われる。ゴーシュさん。この手のゴミは毎日掃除していると言っていたね?」


「そうだな」


「つまりこの部屋にスローウさんが入ったのはこの証拠からも伺える。そしてこれが見つかったのは村長の死んでいた床の近く。ここにスローウさんが近づいたのも凡そ確定」


「しょ、食事を運んでいるのだから当然ではないですかー」


「まぁ確かに。だが凶器の問題があってね」


 そう言うとゴーシュが慌てて割り込んだ。


「そ、そうだ!!凶器!!私がスローウ様を見た時、彼女はそうした武器等何も持っていなかった!!」


「それはそうさ。凶器は部屋に残っていたのだから」


「……は?」


「これだよ」


 そう言ってアクトが指差したのは、血に混じって存在した水たまりだった。


「これが何か?」


「昨夜改めて確認したところ、微量な魔力の反応があった。氷の魔法のね」


「氷……あ」


 ゴーシュは何かに思い当たった。


「水を固めて氷にしてそれで突き刺したんだよ。それで時間が経ったら溶けて消える。部屋に入った時、この部屋には暖房がついていた。」


「そういえば熱かったわね。……ああああ!!」


「そう。犯人がつけたんだよ。で、魔力の痕跡には皆指紋のような跡が残る。それを調べれば誰がその魔法を唱えたかが分かるというわけだ。鑑定スキルの特権だね。なんでこれが外れスキル扱いされているのか全く分からないね」


「しもん?」


「……まあ、誰がやったか分かるというわけだよ。それで調べたらスローウさんの手から放たれた魔力と一致した。つまりこの氷の魔法と暖炉に火を付ける炎の魔法はスローウさんが放ったということだ」


「…………」


「僕達を見つけたのはアリバイ作りも兼ねていたのだろう。氷のナイフで心臓を一突き、殺した後に外に出て、殺された時間がもっと後であるように見せかけた。そして僕達と会うことで自分には犯行が出来ないと思わせようとした。残念ながらあまり意味はなかったね」


「……そうだとしてー、私が何故父を殺す必要があるというのですかー」


「何故。そうだね、今回はそれが問題になる。誰が殺したにせよ、突発的にせよ計画的にせよ、動機があるはず。ホワイダニットだったかな?それがこの事件の問題だった。だけど見つけた」


 そう言ってアクトはあるものを取り出した。

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