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10-6 調査

 そのような流れを聞いてアクトは考え込む。彼は今探偵になっていた。決して浮ついた気持ちでどうこうしようというわけではなく、純粋にこの謎を解き明かそうとしていた。スローウの言う通り、自分達のような存在の方が状況的に対応しやすかろうという事実もあり、また目の前で起きた事件を見過ごす事もできまいという正義感も手伝っていた。


「他にこの部屋に入った方はいますか?」


「いえ、来客はその二人だけです」


 アクトは部屋の中を見回した。窓は無い。どうもそういう文化が無いらしい。村の中の家を見ていたが、特に窓は無かった。そして壁に傷は無い。


「外からどうこうという事はなさそうですね」


 そして再びターケンの死体を見る。


「背中から何かで刺されている。……ん?」


 アクトは血の中に何か別のものが混じっているのを見つけた。


「……なるほど」


 アクトは得心したように頷く。シーリアには何にどう納得したのか全くわからなかった。


「ただの水じゃない」


「ただの水だから分かったんだよ。とりあえず」


 全くわからない。シーリアはポカンと口を開いて、そして多分今回はアクトに任せてしまった方が良さそうだと判断した。


「任せた」


「任された。さて、そうなると誰がという問題になるが……む」


 アクトは部屋の隅に何かが落ちているのを見つけた。その形状には見覚えがあった。


「未鑑定品だね。……ふむ、これだとそこまで高位の魔物では無いようだ」


「これーたまに落ちているのでー困るんですよねー」


「ゴミは毎日掃除しているはずなのだが」


「つまりこれは今日見つかったわけですね?」


「うむ」


 ケンタウロス族も未鑑定品を生み出す、そしてこれは今日出現したもの、と。アクトは自分の脳にメモした。つまり、これは村長のものか、あるいは。


「家の中を見てもよろしいでしょうか?」


 アクトがスローウに尋ねると、「良いですよ―」との事であったので、彼はずかずかと木の床を歩き、部屋という部屋を漁った。そこで見つかったものは殆どが上位のアイテム。必要な魔力は低く、恐らく村長のもののように思われた。


「ああこの部屋はーそのー」


「スローウさんの部屋ですか」


「はいー」


「乙女のプライバシーよ」


「まぁそうだね。やめておこう」


 シーリアの忠告に、アクトは渋々従った。どの道彼女は容疑者ではない。――今の所は、だぞ。アクトは自分に言い聞かせた。こうした場合、情に流されてはいけない。


 とはいえ。


「まずは最有力容疑者の方々の話を聞かないといけないね。エースさんとセカンさんの家はどちら?」


「ご案内しますー」


 アクトとシーリアはスローウの案内で村の中へと向かった。

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