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7-14 異形

「それは、一体……」


「ひひひひひははははははは!!!」


 答えはない。ただ笑いだけが返ってくる。《レヴェル》はそのまま手から魔法を放つ。炎の魔法。一見して威力が強大である事はアクトにも理解出来た。


 だがアクトの『魔法変化』スキルと、そしてエクストラクターによるスキル強化により、魔法はブーメランのように《レヴェル》の元へと返っていき、そして爆ぜた。


 ゴオという音と共に《レヴェル》の鎧が炎に包まれる。が、《レヴェル》は一切気に止める様子を見せず、次々に手から魔法を放っていく。


「ひひひひはははははははいひひひひひひひひ」


 アクトには理解出来た。既に《レヴェル》の意識は失われている。残っていれば、アクトのスキルの事は覚えているはず。それに、いくら鎧でダメージが軽減されていたとしても、何かしら驚きを示してもおかしくない。そうした様子は全く見せない。狂ったような笑い声が延々と繰り返されているだけだ。インジェクター、あの黒い影に乗っ取られでもしたのだろうか。


「ならとっとと楽にしてあげよう!!」


『カットモード!!』


 ブットバスターを剣の形態へと変化させ、その刃を《レヴェル》の鎧へとぶつける。


「くらえ!!」


『ブットバスター!!カットバストライク!!』


 ブットバスターから展開された光の刃が《レヴェル》の黒い鎧や棘を砕き、腕を切り落とす。


「ひひひひひひひひひひひひひ」


 だが、砕いた先から鎧は復活する。切り落とした腕もまた、切り口から触手のようなものが一瞬で伸びたかと思うと、落ちた腕と接続して復活する。


「なっ……」


「ははははははははははははは」


 驚愕するアクトに向けて、鋭い爪を振り下ろす。リヴァイアサンの鎧に傷が付く。


「ぐっ……」


 ダメージ自体はそこまで大きくない。だが問題は向こうの再生能力である。武器を得た今でも再生に追いつかない。


「いひひひひひひひひひひひひ」


 いや、もっと酷い事になっている。辺りに転がっている魔物の亡骸、それらに向けて《レヴェル》の背中から触手のようなものが伸びていき、そしてその亡骸に触れる。すると亡骸は触手と同化するかのように黒く染まり、やがて消えていく。そして、《レヴェル》の肉体は一回り大きくなる。


「あひひひひひひひひひひひひ」


 それが亡骸の数だけ繰り返される。アクトも攻撃するがそれを止める事は出来ず、気づけば《レヴェル》の体は木々よりも高く聳え立つほどまでに達していた。


「ははははははははははははははははははははははは!!!!!!」


 声が轟く。大きくなったせいで、兵士達にもその姿は見えるようになっていた。兵士も、それと相対していた魔物も、その姿を見て驚愕し、ある者は腰を抜かし、ある者は逃げ出していた。


「なんだあれは!!」

「バケモノダァ!!」

「怖いよお……」


「ひひひひひひひはははははははははは!!」


 その恐怖・畏怖の声を聞いて、《レヴェル》の笑い声は更に高くなる。まるで歓喜するかのように。


「ひゃはははははははははは!!!!」


 異様な笑い声と共に、《レヴェル》は巨大化した翼を羽ばたかせ、空へと舞い上がった。


「どこにーー」


 向かう先に見えるのは、フィナの城壁。だがそれを通り過ぎて更に東へと向かっているのが見える。


「まさかルフトか、或いは魔界か?!」


 それは何れも決して歓迎すべき事態ではなかった。あの状態の《レヴェル》がルフトを襲いでもすれば大変な被害が出るだろうし、魔界に向かったとしても同様の結果が起こるであろうということはアクトには容易に察することが出来た。


「そうは行かない!!」


 アクトもまた翼を羽ばたかせ空へと舞い上がり、高速で東に移動する《レヴェル》の黒い影を追って宙を駆けた。

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