7-12 武器
一方、ナクールの遺跡。
兵士の護衛付きで、アーチェとアンペールが発掘作業を行っていた。フィナの状況を知らない事もあって、至って平和でのんびりとした状況が続いている。
「おお何でございますかこの箱。何か書いてあるでございますよ!!」
掘り出した何かの箱を見てアーチェが叫ぶ。石で出来た箱。封印の魔法がかけられている。
「素晴らしい!!世紀の発見かもしれません。これもクレア様の思し召しですね!!」
アンペールは、アーチェと発掘作業をする事で、この短期間ですっかり「クレア様」を信じるようになっていた。目が輝いている。
「その通りでごさいます!!読みましょう。何なに?『悪魔を封じるためにはこれを用いよ』おお?これはまさか?」
「あのインジェクターをどうにか出来るアイテムということでしょうか?」
「おおおなんと言う事でしょうか!!開けましょうでございます!!」
アーチェは燥ぐようにバタバタとしながらも、慎重かつ(アーチェ的には)冷静に箱を開ける。古い封印を解く方法は彼女も知っていた。適切に魔力を調節して、封印の魔法と波長を合わせた振動魔法を当てることで封印を解く事が出来る。実際、その箱はガァンという音と共に封印が解除された。
息を呑んで、箱を開ける。普段二人のテンションに押され気味だった兵士も気になるのか、二人の頭の隙間からそれを覗き込む。
カビのような時間経過の匂いに包まれていたものは、よく分からない棒のようなものであった。
「なんでございますかこれ」
ツンツンと触る。金属で出来ている。その周りを土が取り巻いている。カビのような匂いは箱の隙間から入り込んでしまった土の匂いだったようである。古い封印は土のような小さいものまでは除外できないのだ。
「わかりません。が……なんか箱ですよね」
アンペールがカンカンと金属を叩く。するとその金属が突然震え出した。
「え?」
土が飛び散り、そして光を放つ。
「ちょちょちょちょちょ、なんでございますかなんでございますか」
「わわわわわわからないですよ」
思わず二人が箱の入った箱を落とす。
箱の中の箱らしき金属は更に激しく輝きだすと、光が天井へと立ち上った。天井が溶けて穴が開き、青い空が見える。
そこからその金属はビュウンと音を立ててどこかへと飛んでいった。
アーチェとアンペールはぼーっとその姿を見ていた。
「……」
「……」
「あの、今のは一体?」
警備の兵士が話しかけた。
「……神の」
「御技、でございますかね」
二人にも何が起きたのかはよくわからなかった。
「ん?」
スキル無効化の剣を振るっている最中、何か空がやけに眩しい事が気になって、一瞬レヴェルの意識が逸れる。
「何あれ」
それを盾で防ぐシーリアもまた同様に意識がそちらに向く。
空を光が切り裂いていく。一筋の光が、フィナの城壁の方へと向かっていく。
「なんなの?あれ」
「知らないわよ」
思わず会話をする。そしてハッとなる。
「あああああ今隙があったのに!!」
カンカンと更に力を込めて剣を振るうが、シーリアが全て防ぐ。
「知らないわよそっちが悪いんでしょうか!!」
二人の言い争いも物理的な争いも続く。人々はまだ逃げ惑い、兵士と魔物達の一進一退の攻防が続いている。
それを知らぬまま魔力切れで眠っているアクトは、何か目の前が眩しい事に気づいた。
「んん……まぶしっ……なんだなん」
目を開くと、目の前には赤と白の金属の箱があった。なんだろうか?武器?トリガーのようなものがあるので直感的にそう思ったが、自信は持てなかった。
その箱に向けて、エクストラクターから赤い光が伸びる。すると箱が叫んだ。
『フットバスター!!』『カットモード!!』
すると箱は伸びて握るグリップ部分と光の刃が生えた部分、それらを繋ぐ接続部分の三つに大きく分かれるように変形した。
「ぶ、武器?エクストラクターと連動したってことは、この鎧のあれ?」
困惑しながらもその武器を握ってまじまじと観察する。持った瞬間、武器から魔力が溢れ自分の体に満ちていくのを感じた。本来あの技はこの武器を持って使うべきものなのだろうか。随分と楽になり、眠気も取れた。
「と、とりあえず……行こう!!」
動けるようになったのだ。今すべき事はこの武器がなんだろうかと怪しむ事ではない。人々を、そしてシーリアを助ける事だ。
アクトは寝ていたベッドから飛び起きると、鎧の翼をはためかせ空へと舞い上がりシーリアの元へと文字通り飛び出した。




