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7-3 分担

「壊せた!!やった!!」


「やったー!!」


 アクトとシーリアは思わず抱き合いながら喜んだ。一人では壊せなかった結界を、二人を隔てる壁を壊すことが出来たのだ。


「一時はどうなるかと思ったわよ……」


「僕もさ。会えて良かった」


 少しの間、このまま抱き合っていたいと二人は思った。が、


「おんや!!本当に結界が壊れているんよ!!」


「本当ですね!!遂にアクトがやってくれたのでしょうか?」


 サチとクレスの声が聞こえて、二人は手を離した。こういうのは後でも出来ることである。それに誰にも見られたくはない。


「と、ところで。地上で、人限界で何があったんだね」


「そ、そうね。それを話しておかないといけないわね」


 シーリアは一通りの事情を説明した。


「インジェクター……ねぇ。いよいよ混沌としてきたね。そして敵の進軍ーーもう散々だな」


 思わずボヤキが出た。無理もない、とシーリアは流石に思った。結界で遮られ、開放されたと思ったら今度は更なるゴタゴタに巻き込まれようとしているのだ。


 だが、だからと言って、じゃあ逃げようというわけにもいかなかったし、アクト自身もそんなことを言うつもりはなかった。


「よし、出来ることはやろう。まず魔王に連絡を取る。あーそこのサチとクレス」


 アクトはちょうど飛んできたクレスとそれに掴まっているサチに声をかけた。


「なんです。というかそちらの女性は?」


「(禁句)?」


 サチがとても言い表せない言葉を紡いだ。クレスは「まぁ!!」と驚いているが、この世界にまだ(禁句)という言葉は無いため、シーリアはきょとんとしている。


「開口一番なんつー言葉を言うんだ!!僕の友人、幼馴染だよ。それより!!君達に頼みたいことがある。魔王に現状を伝えてくれ」


「現状?」


 アクトはシーリアから聞いた人間界の現状を説明した。


「向こうの目的は不明だが、魔界が目当ての可能性は高い。共闘の必要がある。僕達は人間界の方に行かないといけない。時間が足りないんだ。そこで君達に伝言をお願いしたいというわけだ」


「分かりました。使いっ走りみたいな扱いには少々文句もありますが、こういう場合はやむを得ますまい。お伝えします」


「まぁ仕方ないんね。あたしらにゃあんまり力無いし」


「ありがとう。ではこれを」


 アクトは魔王から受け取った紹介状を渡した。


「僕は使わなかったが、魔王と謁見するなら多分必要だろう。これを見せればパス出来るはずだ」


「了解。使わせてもらいます。……インジェクターは多分バグのせいで生まれた、エクストラクターの対。私としても何としても除去したいですから」


 クレスはキッとした顔でそう言った。責任を感じているのだろうか。


「私の出世が閉ざされた汚点ですから。忌々しいので鬱憤を晴らす目的でも何としても除去しますよ!!」


 アクトはこの女の中の責任という言葉の軽さ、優先度の低さを思い知った。


「ああ、まぁ、はい、お願いします」


 そう言うとシーリアに向き直る。


「僕たちは人間界に戻る。いいね」


「勿論。早く戻らないと手遅れになる」


 二人は頷くと、天の向こう、黒い大穴へと飛び上がった。


「気を付けるんよー」


「こっちのことは私達にお任せをー。そしてクレアに「姉はちゃんと仕事してるぞ」と言っておいてくださーい」


 後者の言葉はアクトの耳から入り即時抜けていった。

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