7-2 解放
ガコッ、パイーン。
そんな音を立ててシーリアが結界に激突する。
「いでぇっ」
口ではそう言うが、実際のところダメージは無い。『無敵』という彼女のスキルに加えて、彼女が身に纏うナイツオブラウンドテーブルアーマー(以下KORアーマー)が衝撃を吸収しているからである。が、相当の高度から落下し、ワープ魔法を経由、魔界の天井から落ちてきたという実体験は、彼女に精神的ダメージを負わせるには十分であった。
「ふ、ふ、ふう、死ぬかと思った」
「君は死なないだろ、普通なら」
「それでも怖いのよ!!」
魔界の結界は壁ではあるが、先が見えないものではない。ナクールの城を囲ったものよりはるかに巨大であるためだろうか、先が透けて見えるのである。そのため、アクトの目からシーリアを、シーリアの目からアクトを捉える事が出来た。
数日会っていないだけで、なんだかすごく、懐かしく思えた。
「二度と会えないかと思ったわよ」
「こっちのセリフさ。……この壁壊さないとどうしようもないんだけどね。しかしその姿、まさか?」
「そのまさか。アタシも手に入れたの」
そう言ってシーリアは腕を翳した。そこには、白亜のエクストラクターが、多少アクトの物とは形状が違うが、しっかりと装着されていた。
「おおおおおおおおお!!」
これならば結界を壊せるかもしれない。アクトの中で一気に希望が湧き溢れた。
「なら壊そうこの壁を!!そして行こう!!」
「それこそこっちのセリフ。こっちは色々あって大変な事になってる。アンタの力が必要なの」
「あれ以上大変な事があるのかね?」
「起きてるから困ってる」
「わかった。それは直接、会ってから話そう」
アクトは、ドラゴンのカードを起動し、エクストラクターに読み込ませた。
「内部からの攻撃であれば弱いはずだ。更に最大火力でこの結界の内外から攻撃することで、外部からの干渉に結界の要領を割かせて、内部からの攻撃のダメージを高める。つまり、わかりやすくいうと」
「一気に叩くってことね」
「その通り!!」
『ドラゴン!!』『シャーク!!』『リリーフ!!』
『統合!!』
音声とともに海竜の鎧がアクトを包み込んでいく。
『♪リ・ヴァ・イ・ア・サ・ン、フォース!!』
「何それ」
「後で説明する。さあ行くぞー!!」
「OK!!」
色々な説明を保留して、まず結界を壊すことに決定した二人の息は完全に一致していた。
アクトはレバーを一度スライド、リリーフカードを表に出すと、再びレバーを倒して読み込ませた。
『リヴァイアサン!!』『ラストイニング!!』
カードとプレスレットが連動して声を上げ、アクトの右腕に水流が発生する。
シーリアは装備している盾、エクスカリバンカーのトリガーの横にあったボタンを押した。
『ラストナイツ!!』
すると盾の短い縁の部分から光が溢れる。シーリアはその光の部分をぶつけ、もう一度トリガーを引く。
同時にアクトはその右腕の水流を結界の向こう、シーリアの盾の光目掛けてぶつける。
『リヴァイアサン!!』『バトルエンディングヒット!!』
「オーシャンストリーム!!」
『アーサー!!』『バンカーストライク!!』
「エクストリームシュート!!」
強烈な勢いの水流が結界へ水圧を掛ける。ピシピシピシと音を立てて結界が揺らぐ。と同時に、その揺らぐ結界の内側に、エクスカリバンカーから打ち出された光の杭が激突する。バキバキバキバキ、という音とともに結界にヒビが入っていく。だがまだ決壊しない。
「おおおおおおおおおおおっ!!」
「くっ、だっ、けっ、ろぉぉぉぉぉぉっ!!」
二人の雄叫び・叫びとともに、水流と光が増して行き、やがてーー
パリン、という音が響いた。




