5-8 Explusion
魔界の上空に存在するはずの大穴。黒い闇。その前に何かが出来ていた。光の壁のような何かが。
「あれは……あれはなんだ!?」
僕は思わず声を荒げてしまった。しかし仕方ないと思う。あんなものついさっき通った時は無かったのだから。
「……あれは結界に見えますね」
クレスがポツリと言った。
「結界!?」
「ええ。立ち入り禁止系の奴ですね。あんな広範囲の結界は本当は張れないはずなんですけど」
「そ、それは困る!!」
すぐに戻らねばならないのに。こっちの世界、魔界では未鑑定品は生まれない。生まれ辛い。リリーフカードを集めれば強くなるのはわかった。となればリリースカードを集めるためにも人間界に戻らないといけない。だが結界でそれが阻まれたりしたらどうにもならなくなる。
僕は急いでドラゴンに戻ると、翼をはためかせて空へと舞い上がった。結界がクレスの見間違いであることを期待しながら。
ガゴン。
結界らしき光の壁に向けて思い切りぶつかってみたけれど、ただただ頭を痛めただけだった。コブとか出来てないかしら。いやそんな事を気にしている余裕はない。
「ならこっちだ!!」
『ドラゴン!!』
『リリーフ!!』
『抽出!!』
『♪燃える炎を身に纏い〜紅蓮の力が湧き上がる〜!』
『♪ドーラーゴーンフォォォォォォォス!!』
ドラゴンフォースを装着するとレバーを操作。炎の爪で引き裂く、インフェルノネイル(今名付けた)を繰り出した。
ガガン。
結界が若干揺らめいたように見えたが、健在のままであった。
「ぐぐぐぐぐぐぐ……」
「無駄です。これは相当頑張らないと壊れません。多分ね」
後をついてきたクレスが言う。
「こーいう結界は多分かけた側、結界の内側から解除しないと壊れない系のやつだと思うね。つまりフツーの方法、力任せその他では開かないっていう感じだと思うんよ。壊すにしても相当の、リリーフカード全部揃うくらいでないとダメだと思うんよね」
クレスの腕にしがみついたサチが言った。……怖くないのだろうか。いや、よく見ると震えている。とはいえ、クレスの魔法で重力場が形成され、落ちても大丈夫なようにはなっているらしい(バイザーにそういう情報が表示される。便利なもんだねえ)。
「……内側って」
僕は空を見上げた。あの結界の内側といえば。
人間界。
……シーリアのいるところ。
「…………シーリア」
彼女は無事だろうか。人間界で何が起きているのだろうか。今は何も分からない。
今分かるのはただ一つ。
僕は今度は人間界から追放されてしまったという事だ。




