13-6 そして再び舞い降りる
「いいからぶっ飛べぇっ!!」
『ガウェイン』『ファイナルアップ』
発動したデパーチャー・ツーの力が、エクスカリバンカーへと宿る。
シーリアはアッパーカットの如くそれをサイクロプスの発達した顎へと叩き込む。
「ぶげぇ」
単眼の巨人は間の抜けた声を上げると、上空へと打ち上がる。
今ならトドメを刺せる。
「喰らえ!!ラウンドアップ――」
言いかけたその時、何か遠くで輝くのが見えた。火山の方だ。
『ヒューマン!!』『リリーフ!!』
聞き覚えのあるようなないような、そんな音声が聞こえた。
「あ」
シーリアにはそれが何の音声か分かった。瞬間、涙が溢れた。
その音声は、あの時取り零した、彼が身につけていた、エクストラクターの音声。
『1番、ヒューマン、アクト・ヴァーディ』
輝きや音声の細部は違うけれど。その高らかに宣言される名前は正に、彼女が悲しみ、嘆き、惜しみ、そしてどうか戻ってきてくれる事を祈っていた、彼の名前だった。
『完全抽出!!』
「アクト……!!」
シーリアが振り絞るような小さな声で言う。
『♪その~命の~灯火が~人の~歩みを~照らし~出す~』
その声を聞いたかのように、輝く何かがシーリアの元へと近づいてくる。
『♪ヒューマンフォォォォォォォォォォォォォォォス!!!!!!』
「どりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
彼女には耳馴染みのある咆哮と共に、
『フットバスター!!』『カットモード!!』『グランドスラム・カットバストライク!!』
今までよりも更に強い光を放ちながら、フットバスターから伸びた光の刃が、打ち上がったサイクロプスを真っ二つに切断し、そこから光へと還元していく。
「れ、レヴェル様ぁ……!!」
バシュウッ、という消滅音と共に、サイクロプスの肉体は跡形もなく消え去った。
『ヒューマン!!』『ドラゴン!!』『シャーク!!』『リリーフ!!』
『超越結合!!』
『フル!!』『♪リ・ヴァ・イ・ア・サ・ン、フォース!!』
リヴァイアサンフォースの鎧に白い筋が走り、シーリアの目からも強化されているのが分かる。
『リヴァイアサン!!』『フル・エクストライニング!!』
「さあちゃっちゃと戻そう!!洗い流せ!!押し戻せ時の波!!リワインドタイダル!!」
『リヴァイアサン!!』『グランドスラム・カムバックフィニッシュ!!』
アクトの声が光の中から届く。
その光から放たれた波が、平原を埋め尽くさんとするゾンビ達へと浴びせられる。
「ゔぇぁぁぁぁぁ…………あれ」
「やった!!助かった!!」
平原のゾンビ達が人間の姿へと戻る。口々に喜びの声を上げながら、誰ともしれない近くの人々と抱き合う。
「あ、うえ、え?」
巻き込まれていたゲイアサイルが辺りをキョロキョロ見渡した。
「も、戻った……戻った!!」
彼と同じく巻き込まれていたパターディアが思わず彼に抱きついた。
「ひぃっ!?え、ふひぇ!?」
あまりそういった経験が乏しいゲイアサイルの顔が真っ赤に染まった。
「さて」
そう言うと、戻した張本人は、シーリアに向き直った。
「ありがとう。戻れたよ。ただいま」
アクトはそう言って微笑んだ。
シーリアは万感の思いでそれを見つめ、溢れ落ち続ける涙を何とか吹いて、真っ赤な目で、いろんな言葉が思いが渦巻く胸中から、それでも真っ先に伝えたい言葉を紡いだ。
「…………おかえり!!」




