13-1 平原を埋め尽くす死者の群れ
「うげぇぐわぁひぎゃぁ」
サチが叫んだ。
「いっぱい!!いーっぱい敵ばっかりなんよ!!」
人住まぬ地の平原にゾンビの群れが大量に押し寄せているのが、火山を降りてきたシーリアやサチ、クレスの目に入った。
遠くに見えるケンタウロス族の住むホスの村には火の手が上がっている。どうやら何人かのケンタウロス達は何とか村を守ろうと防戦に出ているようだというのが、シーリアの視界に映る景色であった。
更に足元の方に目をやると、一部の戦力にはならないケンタウロス達は交流のあるサラマンダー族の村へとやってきているのが見える。
森の魔物達がゾンビを追っているのも見える。だが、数が数だけに狩りきれないようであった。戦闘力が高い森の魔物達にとっては嬉しい悲鳴かもしれない。が、平原に住む魔物達にとっては不幸でしかないだろう。シーリアは迷った。どうすべきか。
「逃げるしかないんよ!!」
思考を邪魔するようにサチが叫ぶ。だがシーリアにも気持ちは理解出来た。出来る事ならそうしたい、自分すらそう思う。でも、
「何処にですか……」
クレスが、シーリアが言いかけた言葉を代わりに言う。その顔には諦めの色が顔に滲んでいる。
「逃げ場は無い。もうここは地の果てなんだから」
シーリアが続ける。
人住まぬ地の果てが火山の中腹からも見える。それは断崖絶壁と激しく波打つ海である。人住まぬ地は大陸の端。ここから先に陸は無い。それを利用して逃げられなくもないかもしれないが、それはサラマンダー達やケンタウロス達を見捨てる事になる。森の向こうの人々もまだ生きているかもしれない。
「……まずは、村を攻めてくる連中を大人しくさせるわ」
そう言うとシーリアはナイツエクストラクターを起動する。
「あの量よ!?無理なんよ!!」
「無理でもやるしかないでしょ。駄目なら空でも飛んで逃げるしか無い。まずは足掻けるだけ足掻くのよ」
それを聞いてクレスは大きな溜息を吐いた。
「やるしかないですか」
そしてローブの袖を捲り、ふんすと鼻息を吹いた。
「こうなったらヤケです。やるだけやりましょう」
二人の姿を見て、サチも腹を括った。
「――無茶だと思うんよ。でもまあ、出来るだけなんよ、出来るだけ」
シーリアは深く頷いた。
「ありがとう」
そして前に向き直る。
「まず村に結界を貼ってゾンビ共の動きを止める。アタシはホスの――向こうの、ケンタウロスの方に行くから、火山麓のサラマンダーの村は二人に任せた」
「あいよ。やるだけやってみるんよ」
「ですね。行きましょう」
もう敵は村の近くまで到達している。サチとクレスは了承の合図をすると、シーリアと共に駆け足で山を下り始めた。




