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12-12 声

 氷の結界は溶岩に融けた。しかし僕の肉体は融けるどころかどんどん傷が癒えていく。


 溶岩の中、僕は泳ぐように進む。


 粘ついたドロドロのマグマは魂となった僕には全くの無意味。熱くもない。融けるような感触もない。


 泳ぐように進み、数年前のそれに戻ったらしき僕の肉体に手を伸ばす。


 伸ばしたところで、僕の中の何かが囁いた。


「本当に戻るつもりか?」


 問いかけだった。


 ――勿論だとも。戻らないといけないだろう。


 僕の心の中で即答する。


「本当に戻らないといけないのか?」


 ――どういう意味だ。


「魔物にされ、変な鎧を身に着けさせられ、今度は殺された。この世界に生まれてこなければこんな事にはならなかったはずだ」


 僕は何も言えなかった。


「今誰とも接触出来ないのは、この世界にこだわりすぎているからだ。未練を捨てればまた転生なり何なり出来るのではないか?」


 ――そうかもしれない。


 そう思った瞬間、ただでさえ風に吹かれれば飛んでいきそうな今の僕の体、魂が少しだけ軽くなった気がした。


「このまま未練を捨てればクレアと接触して転生なり出来るのではないか?」


 ――そうかもね。


 僕はそう答えた。だが、体はむしろ重くなったような気がした。


「……こんな世界に何か未練でもあるのか?」


 ――。


「この世界は混沌としている。もう元の平和な世界に戻らないかもしれない。そんな状況下にわざわざ戻る必要はあるのか?」


 言葉が聞こえる。


 でも僕は、手をもっと強く伸ばしながら、その声に答える。


 ――あるさ。


 シーリアの、この世界にしか居ない彼女の、旅の中で見た笑顔を浮かべながら。

 僕の死に際に見た彼女の泣き顔を浮かべながら。

 それでも立ち上がり進み続ける彼女の姿を浮かべながら。


 ――ある。僕は戻らないといけない。


「そうか」


 その声の主は僕の肉体から飛び出した。


 巨大な竜だった。


 レヴェルによって作り出された僕のもう一つの姿。ある種元の姿。


「ならば僕も、共に行こう」


 その言葉と共に、竜は輝きだし――。

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