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12-2 思案

 逃げ出した所で何が出来るのだろうか。


 アタシは彼の体を抱きかかえて木々の間を飛び回りながら考える。


 そういう作戦系は彼が考えてくれていた。だからこそ助かっていたのだけれど、今は、今はそうは行かないのが現状。


 そもそも彼の体を持っている意味はあるのか?今後どうすれば良いか問いかけたところで答えてはくれない、彼の冷たい体を。アタシの中の何かがそう問いかける。

だがアタシの本能が即答する。


 意味があるかどうかではなく、そういった打算とは無関係に、彼の体を捨てる等出来ようが無い、と。


 ――彼について考えるのは止めよう。今は考えるべきではない。考えたところで答えは出ないし、考えれば考える程頭が疲れる――というかロクな考えに至らない。


 では他に何が出来るか、何を考えるべきか。


 ――アタシでは考えがまとまらない。他に誰か考えてくれそうな、それこそアクト並みに打開策を生み出す事の出来そうな知り合いは居ないだろうか。いや打開策もクソもない、今何が起きているかも分からないまま逃げてきたこの状況ではどうにもならない。まずは、何が起きたのかを把握しなければ。だが今から戻ったところで迎えてくれるのはゾンビの大群とさっき彼を貫いた槍くらいなものだろう。それじゃ意味が無い。どうにかして、今この迷宮の森ラビリンス・フォレストで事態を把握する事は出来ないだろうか。


 と考えたところで、アタシの脳裏に蘇ったのは、ついさっきの光景である。


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「ひいいいいいいいいい助けて!!まずいんよまずいんよ!!私を喰っても美味しくないんよ!!」

「クレア!?クレア!?こういう時に反応しないのは無いんじゃあないですかオイ!!未だ現役の管理者のくせにどーしてこういう時に何もしてくれないんですかこのままでいいんですか!?」

「山の上で無いと聞こえないゆーてたやんよ!!」

「使えねえ妹ですねぇ!?」

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 そんな会話をしながらこの森に入っていった二人組の事を。


 サチとクレス。迷宮の森ラビリンス・フォレストの外に居た彼女らであれば、ある程度の状況は把握しているはず。彼女らを探す事が先決だろう。それでもって、まず何が起きているかを確認するのだ。


 そして彼女らの会話に出てきた言葉、クレア。魂の管理者、即ち神に近い存在である彼女であれば、事態を打開する方法を生み出す事が出来るかもしれない。……元管理者であるクレスのあの慌てぶりから言って、あまり期待してはいけないかもしれないが。


 だが今、このまま森の中を飛び回っているだけでは期待も希望もクソもない。まずは、行動あるのみである。その方がアタシの性に合っているし。


 アタシは方針を固めると、再び木々の間を飛び回り、森の中に居るであろうあの二人組を探した。多分魔物か何かに追われているだろうから、森の中でも騒がしいところを探せば――


「ぎゃあ美味しくないんよ!!助けてほしいんよ!!」


「食べるならサチからにしてください!!私はその、受肉したばっかで美味しくないですよ」


「クレス貴様言うに事欠いてとんでもないサバの読み方するんじゃないんよ!!アンタが追放されたの数百年単位で昔のはずよ!?」


「世界の壮大な時間の流れ方からすれば私の数百年なんて僅かな期間に過ぎません!!」


「アタシよりは長いの確定よ!!」


 ああ、あっちか。今後の事を考える事に集中していたせいで気付けなかったが、でっかい声でピーチクパーチクやりながら森の中を駆けずり回る音が聞こえる。


 アタシはそのやかましい声が聞こえる方へと向かった。

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