第24話 ジム・ライト
第24話 ジム・ライト
アニーは自身の控室に戻ったが、サバサバした様子たった。
CランクハンターがDランク受験者に負けるなど、あり得ないことだが、あれは相手がEランクと言うこと自体おかしいのである。
アニー自身はCランクハンターとしての実力も実績もあり、この審査でも、その実力を示している。
今回の相手は戦闘に特化した、そういう奴なのだろう。
『気にすることは無い』と思っていたが、そこに、無法者:ジム・ライトがやって来た。
何かを会話する訳でもない。ただ、座っているだけだが、言いたい事は、アニーにも伝わってきた。
アニーはため息を吐き、言いたい事があるのなら、「実力で示せ!」という態度を取った。
「勿論そうする」と、言いたげにジムは去ってしまった。
ジムは、無法者と呼ばれる事がある。
戦争での腕を見込まれて、シェリフとし各都市に雇われるが、汚職やら無断で決闘を行っていたらしく、解雇された。
その後、用心棒を続けているうちに、ハンターとなった様だ。
また、シェリフ時代に商人との繋がりを持ち、賄賂をせしめていたようだが、不思議なことに、ジムからの賄賂を断った商人は、盗賊に襲われることになる。
こんな奴が、今、片田舎とはいえ、盗賊でなくハンターをやっているのは、やはり“商人との繋がりは大事だ!”ということかもしれない。
だから、アニーの様に“実力があれば、上に行ける。生き残れる”という考えのハンターとは、ジムは性格的に合わないのだ。
そして、今回の受験者も、そんなアニーの様な匂いを、プンプンさせている。
そんな臭いが、ジムにこの様に言わせた。
「奴の次の相手は、オレにしろ!」
「わかった。いつもの武器は用意してある」
と、ギルド職員らしき男は、ジムに、そう答えた。
つまり、審査試合で使う武器は、木剣のように木製であり、ナイフや手裏剣も木製で出来ている。
だが、ジムはこの職員を使い、見えない調整や細工が出来るらしい。
外見は木製であっても、中は金属の武器にすり替えることは、この2人には朝飯前の様であった。
その元シェリフであるジムの愛用武器は、普段の戦闘に於いてもロングソードよりも、ナイフを手にすることが多い。
暗殺用ナイフのカランビットナイフだ。
しかし、この審査ではナイフ型模型を使うつもりだが通常のものではない、先ほどのギルド職員が用意した、それである。
一方、その頃、蒼井は、まだお茶の時間であった……
読んで頂き、ありがとうございます。
設定、凝りすぎて書きにくくしてしまい、
反省です。