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死後の世界は人手不足 ―お茶と空手があれば何とかなる―  作者: 井上 正太郎
第ニ章 空手家、異世界冒険者になる
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第25話 無法者

仕事帰りの暇つぶしにでも、どうぞ!

第25話 無法者


 この町のギルドは町役場としての機能もあり、体育施設はハンターが暇な際、トレーニングをしていたり、各種受付窓口には一般人も来ている。

 そんな中、ハンター資格試験が野外格技場で行われているとなると、いつの間にか、人は集まるものである。

 そこに、引き続き、2試合目が行われると、通知された。


 ハンター達は、それは「おかしいのでは?」と思い、ざわついている。

 そもそも、魔法使いなら、1日に使える魔法の数も決まっているだから、連闘となるとハンデが大きくなる。


「本気かよ?」

「受験者にキツイのでは無いのか?」

と、いった声が上がっている。

 審査室でも、ギルドマスターや毒堀らが、“止めさせるよう”に指示をしているが、先ほど、ジムと話していた例のギルド職員が、「蒼井からの“要望”で、まだまだ出来るとのことです。今、対戦相手を選考しております」と、マスター達の行動を阻んだ。


 無論、そんな要望等、蒼井は言ってもなければ、誰も聞いてはない。また、対戦相手を選考などしてはない。

 対戦相手は、端から決まっているのだから。


 さて、話は変わり。

 ジム・ライトは、蒼井の様なハンターは好きになれるはずもなかった。先ほどのアニーと同じ理由だけではない。

 スピード出世する同業者は、早く潰すに限る。

 それに、コイツは、独りで清掃から農作業に護衛に魔物の駆除・討伐まで行いやがった。

 独りで、そこまで行うような便利屋が現れたら、ジムような“殺し系の仕事”しか出来ない、元殺し屋ハンターは、売上に関わるということだ。

 

 実は、この男、魔物の討伐やら用心棒やら護衛の仕事を増やすため、わざと魔物を引き寄せ、行商人や牧場を襲わせたりしていた。


 それがである。


 元ハンターの牧場経営者が現れ、『ハンターに依頼などしなくても、大丈夫なのではないか?』という空気が、この町を覆い始めた。

 魔物など襲ってこないと!


 ジムは焦った。

 地方都市最高のランクであるCランクハンターの価値、用心棒や護衛の価値が崩れる可能性があるのではないか?


 そこで、ジムは仕掛けることにした。

 

 魔物に牧場を襲わせ、まだまだ、ハンターの護衛が必要であるとを町民達に教えこむことにしたのだ。


 連日、鼻の効くゴブリン達を誘導するように、街道沿いや牧場の近くに生肉や小動物の死骸を仕掛け、行商人や牧場の牛を襲わせた。


 そんなある日、ジムは“あの人”と出会った。

 “あの人”は、ジムの話をよく聞いてくれた。

「このままでは、地方都市のハンターは売上を下げ、存続の危機がくるだろう」と、ジムは話した。

 すると、生肉等で、ゴブリンを誘導することしか出来ないジムに、“あの人”は、ゴブリンに命令が出来る魔法石を与えてくれた。


 その日以来、ゴブリンはジムの指示する処に現れ、人々を襲うようになった。

 そのお陰で、人々は「やはり、高くてもハンターに護衛を依頼すべきか」と考え始めていた。


 しかし、このやり方が、順調に思えてきた頃に、何故か、2度の失敗を犯した。


 1度目は街道沿いで、野営をしている旅人を襲わせた際、ウルフが現れ、ゴブリンを瞬殺したのには、大いに驚いたが、あれ以降はウルフを見かけたことはないので、たまたま、そのウルフは通り掛かったのだろう。


 もう1度は、元ハンターの経営する牧場地区を大規模襲撃をさせた時だ。普段から、ゴブリン達は、あの地区に出没していたようだが、元ハンターのせいで、ハンターを雇うというところまで被害を与えることが出来なかった。


 そこで、ジムは“あの人”から頂いた魔石を使い、大規模襲撃を行わせたが、元ハンターだけでなく、普段、牧場の清掃をしていたハンターが活躍して、追い払ったらしいではないか!


「そいつは、バカか!」


 オレがハンターの価値を上げようと必死なのに、わざわざ、お手軽に使われよってからに!?


 そして、そのバカが昇格試験を受けに来ていると、ギルド職員からの話を聞いて、駆けつけた。

 単なる腹いせだけでない。罰を与えねばなるまい。

 そう、あとは、如何に事故に見せかけて、殺すかである。



読んで頂き、ありがとうございます!


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