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夢野  作者: 秋瀬あい
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慌てる女と考える男

「…わ、私!可哀想な子じゃないですよ!」


必死に青い瞳に訴えかけたが、全然通じないせいかますます悲しそうな表情になり、ついにはぎゅうっと抱き締められた。…そんな馬鹿な!私は今年で25歳になる女ですよ!?確かに貴方との体格差をみれば中学生とその父親に見えるか見えないかぐらいの差がありますけど年齢は大体同じですよね!?


「…あっあ、あの!あの……私は大人ですよ…!」


彼は私を慰めているつもりなのか、尚もきつく私を抱き締め離してくれません。

もう私は子供ってことでいいかな…いいよね…ふふ、と私が半ば自棄になりかけた瞬間、急にビクッと彼の体が震えたかと思うと器用に私の方を向いたまま後方へと超人的な跳躍力を見せ付けたかと思うと、そのまま壁にへばり付くようにして私を凝視してきました。


え、え…っ!?急にどうしたんですか…!?私、別に何もしていないのですが!?自棄になって笑っただけなのですが!?

誰かこの状況を詳しく解説してくれる方至急切実に募集中…!







…大変だった。

あのあと、気を失った少女を背負いながらポンディ村に行き、あのモウオウの持ち主に軽く経緯を交えつつ謝罪をし(持ち主殿は心優しい人物で直ぐに俺を許し少女の心配をしてくださった)、少女と絶対に俺が看病すると決して譲らなかったギルバートを宿屋に残し、残りの兵士達と怪我をしたモウオウ達の治癒とモウオウを囲う柵の修理をすることにしたのだが……、本当に大変だった。

柵の修理はよく騎士団の訓練所の柵が壊れるから慣れていたが、治癒が苦手な俺は何度か間違えて炎の精霊やら氷の精霊を喚んでしまい、治すはずの行為が危うく動物虐待の行為になるところだった…。

結局、申し訳なさそうな表情の部下数人に「副団長は指示をしてくださるだけで大丈夫だと思いますよ。今回は正式な魔術部隊も動向していますし、治癒する人数は足りていますよ」と言われ「…そうだな」としか返せなかった。

…今度本部に戻ったら魔術に精通している友人に治癒を習おうと深く決意をし、目を瞑って今日何度かめになる溜め息をついた。


…と、そんなことを考えながら宿屋を目指していたらいつの間にか部屋の前に着いていた。

だが、部屋の中が何やら騒がしい。彼女が目覚めたのだろうか?


ゆっくりと扉を開けるとそこには……………、

「ギルバート!」

「ジルバート?」

「ギルバート!!」

「ジルバート!?」

「ギルバートッ!!!」

「ジルバートッ??!」

…謎の問答を繰り返す少女とギルバートの姿。



…………何やってんだ、こいつら…。



暫く理解に苦しみ固まっていると、少女が私に気付いた様子で瞳を大きくした。……正直言ってなんだか、可愛いぞ…。


「…もう身体は大丈夫か?」


照れ隠しのように慌てて彼女に聞くが、彼女は困ったような顔をしてギルバートに視線を移した。………なんだ、このむずむずする嫌な感じは…?


ギルバートは彼女と顔を見合わせて苦笑すると、俺の方に向き直り、「彼女、俺たちの言葉が分からないらしいんだ。」と言った。…なるほど、だから彼女は先程困ったような顔をしたんだな。


しかし、我が国の言葉が分からないとするときっと余ほど遠くの異国から来たに違いない。なにせ、我が国の言葉は比較的広範囲の国々で公用語として使われている。知らないとすれば、アルミテウロ大陸からそうとう離れた小島か、最近発見されたという新大陸から来た可能性が高い。


マックスはきっとむっつりさん。

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