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神様の導きと私の何度目かの人生。  作者: 可愛い
第二部 第一章

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4/5

水面に落ちた石

よろしくお願いいたします

呼び出しが掛かり私たちはスキルの確認のため礼拝堂に足を踏み入れる


中に入ると正面中央に宗教都市から来たと思われる神職の男性と女性、左側に騎士ラデク、ロッテ院長、そして右側に椅子に座る領主代理のアレク様がいた


私は礼拝堂に入る際に神職の女性を確認するが杞憂であったと知る

見たことがあるかもしれない。でも、思い出せない


輪廻の中で出会ったのかもしれない

友人だったのかもしれない。家族だったのかもしれない。すれ違っただけなのかもしれない


でも・・あの女でなければ問題はない


私たちは六歳児を先頭に最前列に案内され彼らに向かい合うように座らされた

皆の緊張が伝わってくる


兄がそっと私の腕に触れるのを感じた

無意識に髪を弄っていたらしい


私は手を止め兄を見る。兄の微笑みを受け微笑みで返す


なにも心配はいらない

心を穏やかに、定められた運命を受け入れるだけだ


運命?このスキル確認はそれほど重要な意味をなさないだろう

私にとって、ただ弟である確信を更に強めるだけの確認だ


私は深呼吸をして呼び出しを待つ間(アイダ)のことを思い出す

そう、先ほど身だしなみを整える際に兄が髪を梳(ス)いてくれたのだ


とても丁寧に。時間を掛けて

周囲の視線を気にせず私のために髪を梳いてくれたのだ


私は嬉しくて涙が出そうになった


「やった!」と叫ぶ男の子の声で現実に引き戻される

どうやら戦闘スキルを得たらしい


誇らしげに胸を張り私たちの方をチラリと見てくる

そういえば、この子は私たちをよく見ている気がする


何か話しかけてくるわけでもなく難癖をつけてくるわけでもなく


六歳児が終わり私たち五歳児の番がくる

と言っても五歳児で呼ばれたのは私たちだけ


理由は院長から聞かされている

言語の習得と計算能力が六歳児の基準を超えているため実際の年齢は上ではないかと言うことだった


兄が神職の前に立ち差し出された本の上に手を置く


「多言語完全理解」

「時空間収納ボックス」


と告げる

私はホットした。そして弟を・・


いや、弟を見ようとした私は周囲のざわめきを感じる

子供たちがざわつくのは分かる


スキルの獲得が珍しい孤児院でスキルを二つ持つ者が現れたのだから

でも大人たちが驚く反応をしているのはどうしてだろうか?


多言語理解は学ぶことによってスキル同等の能力が得られるし

空間収納ボックスも魔法習得がある段階まで進めば獲得可能な能力だ


スキル二つ持ちが孤児院から出るのが珍しいからなのか?

だとしても驚くには値しないスキルだと思う


私はそっと周囲を盗み見る

ロッテ院長が手を震わせている


ラデクさんがアレク様を見ている

アレク様は兄を見て思案顔だ


宗教都市から来た女性はアレク様同様に兄を見ている

そして、更に神職が告げる


「神の加護」


静寂が訪れる


そしてロッテ院長が兄にふらふらと近づいていく

一瞬遅れてラデク騎士が目の前に手を差し出し彼女を止める


彼女は間違いなく膝をつこうとしていた

そうロッテ院長は兄に対し両膝を折ろうとしていた


なぜ?神の加護持ちなど神殿には多くいるだろうに

気づけばアレク様も立ち上がって女性の神職と小声で話している


どういうことだろう?

次に私を確認すれば私も加護持ちで間違いないのだから兄に対する興味は薄れるのではないか


私は確認を行う神職の顔を見る

彼も周囲の変化が理解できないようだが咳払いをして静粛を促す


私が呼ばれ本に手を置く


「魔法適性(火)」そして

「神の加護」と告げられる


周囲は沈黙して私を見ているが気にしないふりをして席へと戻る

沈黙を破ったのは確認を行っていた神職で


「神の加護を得た人が出たのは喜ばしいことです」

「皆様も神への祈りと奉仕の心を忘れないように日々励みなさい」


「さすれば神の加護を得ることもありましょう」

「さあ、皆様で祈りを捧げましょう」


「この出会いを、神に感謝を「神に感謝を」」

いつもは揃う神への感謝の言葉。今日は揃っていなかった


スキルの確認は終了した。ロッテ院長の案内で神職の男性は礼拝堂を去っていく

ラデクさんはスキルを得た私たちには説明があるから残るようにと伝え


他の子供たちには部屋へ戻るようにと促す

その様子を横目にラデクさんの後ろから付いて来ていた神職の女性が私たちに近づいて来る


「ねえ、ユッタを憶えてる?」


二コリと笑いながら兄に質問をした。さも当然のように・・

それを聞いて私は言い表せない感情で心が満たされ彼女を睨みつけてしまうのであった

お読みいただきありがとうございました。


無断転載禁止。翻訳も禁止

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