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神様の導きと私の何度目かの人生。  作者: 可愛い
第二部 第一章

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私の存在理由

よろしくお願いいたします。

孤児院の朝は早い

毎日私は兄と一緒に礼拝堂の清掃へと向かう


日々の掃除は孤児院の決まりであり孤児院を統括する神殿の教えとも一致している

なので数人のグループに分かれて掃除をするのだけれど・・


私と兄はいつも二人きり。兄の黒髪を毛嫌いする子がほとんどなのだ

この孤児院で黒髪は兄一人。金髪の私と一緒にいると一際目立ってしまう


ある時、私に向かって「一緒にいると髪の色が移る」などと馬鹿げたことを言う子がいた

私と同じ五歳児の発想とはいえ・・・何を考えているんだろう?


親切心?からかわれてるだけ?

それとも優しい兄の傍にいる私に嫉妬してるの?


いえ、五歳児相手に嫉妬なんて考えすぎかもしれない


でも・・・・私たちの家族に加わろうとした女の顔が頭をよぎる

そう、あの女。弟を誑(タブラ)かし進むべき道を踏み外す切っ掛けとなった女


神の定めを覆そうとした許されざる女


誰であれ弟に興味を持つ者には警戒しておくべきだろう

たとえ恋愛の対象外であろうとも即物的な欲求に負ける人間はいる


弟の真実を知ってしまえば

弟の心と魂のありようを知ってしまえば


周囲が放っておくことはないだろうから


私といることで兄の髪色が目立つとしても

私といることで弟が道を踏み外さないことのほうが重要だ


いつも二人きりで掃除をする私たちに気づいた院長から二人で出来る場所を任されるようになった

ロッテ院長と警護の神殿騎士、ラデクさんは兄が黒髪であることを気にしていない


あと一人この孤児院に関わる人で兄の黒髪を気にしない人がいる

この領地の御子息で孤児院と折衝に当たるアレク様で神殿騎士を務めていたらしい


私の知る大人でこの三人だけは兄の黒髪を気にしていない

時には親しみを持っているように感じることもある


多分彼らは神殿の教えに忠実で神に対する揺るぎない信仰心があるのだろう


彼らに神の祝福がありますように

他の神職たちも彼らを見習いますように


清掃が終わる

私と兄はいつものように食事までの時間に奇麗になった礼拝所で祈りを捧げる


横目で兄を見てから期待している自分に気づく

いつもそうだ、私は兄の口から私を呼ぶ声が聞こえてくるのを期待している


「姉さん・・」

私を呼んでくれた。転生前と同じ口調で


何を思い呼んでくれたのかは分からない。でも、私は弟を思わず抱きしめたくなる

いつもそうだ、私は私を呼ぶ声を聞くたびに弟を抱きしめたくなる


そしていつも残念に思う

あの女の名前も呼ばれるのだ


私は周囲の様子や大人たちの話であの後直ぐに転生したのだと知った

私は不思議に思う。あの女は兄が死んだ後も生き続けているのだろうか?


今の私には弟のいない人生など想像もつかない


私はあの女の行く末について祈っていない

祈ったほうが良かったのだろうか?


いえ、たとえ罰を与えるにしても神に祈るのは間違いだろう

あの女について祈ること自体が罪だろうから・・


今日も同じことを考えていた

いつも辿り着く答えは同じなのに考えてしまう。いつも同じことを


だが明日は違う。私たちの清掃後に礼拝堂ではスキルの確認が行われる

本来であれば確認の際には神殿に対し寄付金が必要だが領主が出して下さるそうだ


私たちも六歳児と一緒にスキルの確認に参列する

結果は分かっている。弟の得るスキルは二つ


「多言語完全理解」

「時空間収納ボックス」


これは前世で弟が持っていたスキル

二つを持つのは珍しいが弟を弟たらしめるスキルだから転生しても変更はないだろう


私については分からない。私は前世では魔法適性(火)を持っていた

魔法適性のみだと上級までしか伸ばすことのできない能力も適性として(火)がついているので(火)に限って最上級まで研鑽で伸ばすことができるものだ


前世と違い出自の不明な私には貴族家が持つような魔法や戦闘スキルは望めないだろうし

過去の転生ではスキルが無いときもあったためスキル無しの可能性もある


なのでスキルを得られること、出来れば弟の役に立つスキルであってほしいと願うことしかできない

もし、私の出自が貴族ならと考えなくもないが・・・


たとえスキル無しであっても弟と一緒に過ごし家族になることは決まっている

それを私が望み神が叶えてくださるのだから


私は祈る弟の横顔を見る。穏やかな表情だ

私も心を穏やかに持とう。何も悩む必要はない。悩みは全て杞憂に終わるのだから


そう、私は全てを神に委ね弟の傍に居るだけで望みの全てが叶うのだから

私の望み。それは家族として弟が幸せになるために生きること。これこそが私の存在理由なのだから

お読みいただきありがとうございました。


無断転載禁止。翻訳も禁止。

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