表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/13

第9話 カラオケで

挿絵(By みてみん)

映画の帰り道。

私は「ちょっと歌いたい気分かも!」とお兄ちゃんを強引に誘い、カラオケボックスへとやってきた。


密室、薄暗い照明、そして防音。

映画館での不完全燃焼(自爆)を取り戻すべく、私はドリンクバーで別々のジュースを持って部屋に戻った。


お互いに歌い、ある程度ジュースを飲んだところで、私は仕掛けることにした。


「ねえ、お兄ちゃん。そっちのジュース、少し味見していい?」

「ん? ああ、いいよ」


お兄ちゃんは全く気にした様子もなく、自分のグラスをすんなりと差し出してきた。

私はそれを受け取り、ストローに口を近づける。


(これって完全にお兄ちゃんとの『間接キス』じゃない!! なんでお兄ちゃんは何の躊躇いもなく差し出せるの?)


自分から言い出したことなのに、いざストローを目の前にすると、急に心臓がドクドクと音を立て始めた。

お兄ちゃんの唇が触れたかもしれないストロー。これを咥えるということは、つまりそういうことで……。


「……」


私はグラスを持ったまま、恥ずかしさで数秒間フリーズしてしまった。


「なんだ、飲まないのか?」

「えっ、あ、いや、今飲もうと……」

「じゃあ、俺もそっち少しもらうわー」

「え?」


お兄ちゃんは身を乗り出すと、なんの躊躇いもなく、私のグラスに刺さっていたストローをヒョイと咥え、ゴクゴクと一口飲んでしまったのだ。


「――っ!?!?!?」


(のっ、飲んだ!? 私のストローから!? それこそ本当の間接キスじゃん!!)


「ん、これ結構美味いな」


悪びれもせずグラスから口を離すお兄ちゃん。

私は顔がカァァァッと限界まで熱くなるのを感じた。

幸い、カラオケボックスの薄暗い照明のおかげで、私が真っ赤になっていることはバレていないはずだ。


「か、勝手に飲まないでよーーっ!!」


恥ずかしさを誤魔化すために、私は思わず大声で怒鳴ってしまった。


「なんだよ、減るもんじゃないだろ」


お兄ちゃんはキョトンとした顔で私を見た。


「そういう問題じゃないの! 私のだし!」

「ケチだな。足りなくなったなら、またドリンクバーで新しいの頼めばいいだろ。ほら、グラス持っていってやるから」

「そ・う・い・う・こ・と・じゃ・なーーーいっ!!」


マイクを通さずに響き渡った私の絶叫は、カラオケの伴奏にかき消され、お兄ちゃんには「怒りっぽい妹」としか伝わっていないようだった。


ああもう、お兄ちゃんのバカバカ!!


続く!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ