第3話 お庭で
週末の午前中。
晴天に恵まれたお庭で、私はお兄ちゃんを捕まえて洗濯物を干すのを手伝わせていた。
今日の作戦名はズバリ、『下着でドキドキ・露出狂じゃないもん作戦』だ。
一通り服やタオルを干し終えたところで、私は本命の洗濯カゴを持ってきた。
「次はこれも一緒に干そうね」
笑顔で差し出したのは、別洗いにしていた私の下着類。
(さあ、どうなる? 妹のブラを自分の手で干すんだぞ。いくらお兄ちゃんでも、少しは顔を赤くしたり、動揺したりするんじゃないの?)
お兄ちゃんは全く躊躇うことなく、淡々と私のブラを手に取った。
そして、そのレースの塊をじっと見つめ……そのまま、私の方を真っ直ぐに見てきた。
(……!! 来た! 絶対に今、このブラの下にある私の胸を想像してるんだわ! いやらしい妄想をしてるに違いない!)
お兄ちゃんがあまりにもじっと私を見つめてくる。
やばい、こっちがドキドキしてきた。
なんでそんなに見るの? ちょっとやりすぎちゃったかな。
このままお庭で押し倒されたりしたら……あわわわ。
やがて、お兄ちゃんが静かに口を開いた。
「そういえばお前、昨日の夜もこっそりやってただろ」
「びくっ!!」 心臓が跳ね上がった。
(……え? な、なんで知ってるの? 確かに1年くらい前から、部屋でこっそり、結構頻繁にやってるけど……!)
「い、い、い、いつから、知ってたの……っ?」
「いつからって……1年くらい前か?」
(割と最初からじゃん! 嘘でしょ、全部バレバレだったってこと!?)
顔から火が出るどころか、全身が燃え上がりそうだ。
「あれ、結構ドタドタうるさいからな。でも、この下着のサイズを見る限り、あんまり効果は出てないんじゃないか?」
「う、うううるさいっ! まだこれからなんだから!!」
そう、私は毎晩、部屋でこっそり動画を見ながら、ダイエットと『バストアップ』のエクササイズに励んでいたのだ。
まさか、ドスドスというジャンプの足音がお兄ちゃんの部屋まで丸聞こえだったなんて……! しかも、下着のサイズでバストアップの効果が出ていないことまで完璧に見抜かれている!
「そんなに気にするような体型じゃないと思うけどな。ま、頑張れよ」
お兄ちゃんはそう無表情に言い残すと、最後の下着をピンチに挟んで、あっさりと家の中へ戻っていった。
「…………え?」
今、さらっと「気にするような体型じゃない」って……。 それってつまり、今のままで十分魅力的だってこと!? いや、違う! そうじゃなくて!
「……って、結局今回もお兄ちゃんの表情、全く崩せなかったーーーっ!!」
エクササイズバレの羞恥心と、謎のフォローによる複雑な感情。
私の悶絶する叫びは、ヒラヒラと風に揺れるお庭の洗濯物と一緒に、虚しく五月晴れの空に消えていった。
続く!




