暴発
2話更新です。
「ヴァル!ヴァル!」駆け寄る。
{これは、暴発じゃない。}
右手首に指を当てて脈を確認する。
{脈はある。大丈夫ちゃんと生きてる。治癒魔術を使えばなんとかなるはず。}
「エリシア嬢。何かあったのですか?」
「あぁ。エドヴァルド。ローデリック先生と保健室の人を読んできて。」
「わかりました。エリシア嬢。」
{やっぱり、歪んでいたわ。ダンパーが赤くなると同時に流れていた魔力が変に歪んだ気がするわ。}
しばらくして保健室の先生とローデリック先生が駆け寄ってくる。
「どうした。エリシア。」
「先生。すみません。魔道具開発の過程で暴発が起こってしまいました。」
「妙に落ち着いてるな。ヴァレリウスを保健室へ。」
「まぁ。ヴァルなので。」
「それもそうだな。」
ダンパーがあったであろう回路を一瞥する。
(魔力を伝える魔力線が異様に多い。こいつらが書いたものには見えない。こんなに無駄な魔力線の数——。)
{とりあえず、今日あったことヴァルが起きたら全部伝えなきゃ。}
目を開ける。
「ここはどこだ。確か爆発をもろにくらって——。」
横を見ると椅子に座って眠るエリシアがいた。
「エリシア?」
「っは。ヴァル!起きたの!」
「う、うん。」
「よかったぁ。心配したんだからね。もろにあんな爆発くらって——。」
「にしても、何だったんだろう。あの爆発。」
「そうね。あれは暴発とは呼べないような爆発だった気がするわ。実際に私の目には魔力が変わったように映ったわ。」
「そうなんだ。それは大分探求のしがいがありそうだね。」
「そうね。探求してみるのは結構面白そうだけど、今回は課題が先よ。今週末に終わらせないといけないものね。」
「そうだね。」
ドアが開く。
「楽しく話してるとこ悪いがヴァレリウス、エリシア。」
「あ、ローデリック先生。」
「容態の方はどうだ?」
「処置が早かったおかげで今はもう大丈夫です。迷惑かけました。」
「そうか。まぁ。あんまり気に病むなよ。魔道具開発には失敗や暴発はつきものだから。逆にエリシアを守ったお前の心粋に脱帽といったところだ。エリシアとお前がくらうとでは話が違うからな。」
「べ、別に私がくらっても大丈夫だったわよ。」
{まぁ少しうれしかったけど。}
(心粋ねぇ。まぁ確かに折れは頑丈だけどさ——。)
「まぁ。そういうことだ。注意はしたから週明けの最初の授業までに仕上げろよ。」
ローデリックは踵を返して保健室を出ていく。
「今日起こったこともっと詳しく明日、実験室で話すわ。」
「あぁ。わかった。」
斜陽が保健室のベッドを茜色に染める。
(明日も頑張るかぁ。失敗しちゃったけど。)
(危険に臆するような俺じゃない。臆して逃げてはいけない。)
(この課題、やってのける。)




