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いずれ公爵の男爵 〜今度の人生は努力する〜  作者: 三者凡退
幼少期編

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試用

2/2

2話更新。

 「ふあー。なんだよ。こんな時間に起こしやがって。」


 「私、一晩中考えてたの。ベッドの中でなんで今回こんなことが起こったのかを。私が作った回路は10歳でも作れる魔法回路なのよ。それなのにこんな簡単に失敗するなんて。それに——。」


 魔法回路が書かれた昨日の紙を取り出した。


 「コピーをとってるからわかるけど、私達が作った回路は魔力の源流から(火と風の混合回路の魔法陣)ダンパー、そして最後の中級火魔術の魔法陣で終わる単純な魔法回路。実際に使えるかはともかくとして魔法回路を書くだけなら間違える要素はなにもないし、あんたが寝てる間ローデリック先生に聞いたら間違いはないって言われたし。」


 そういってコピーを見せてくる。


 そこには上から直線が引かれ六角形の中に三角形が接続され、そこからまた直線が伸び二重の六角形に接続されている魔法回路が書かれていた。誤差はない。ちゃんとした直線、六角形、三角形だ。


 「それで確かに僕達が残してるコピーはとても精巧に作られているけど、使ったほうは精巧じゃなかったんじゃない。直線じゃなかったりして。」


 「それも考えたけど、私はコピーより精巧に作ったのよ。しかもこれがそれを証明してる。」


 そう言ってエリシアは実際に実験に使った魔法回路を見せてくる。


 一部焼かれて黒くなっている。


 「確かに全貌はわからいけど見えるとこはちゃんと精巧にできてるね——。あれ、この線ってなに?こんなのコピーになかったよね?」


 「そう。その線。私が書いたのには絶体になかった。そして私はこの目で見たの。魔法回路にあんたが魔力を注いでたときにこの線が出てきたの。」


 「え!?そんなのまるで回路が自ら作ったみたいじゃないか。」


 「多分だけど、自ら作ったんだと思うわ。」


 しばらく焦げた回路を見つめる。


 (ダンパーは完璧に焼ききれている。俺がもろにくらった爆発はここから発生したんだろう。」


 「で、エリシアはなぜこの線が出現したかはわかったの?」


 「そしてそれを私は一晩考えていたんです。そこで一つの結論が出たのよ。」


 「それは?」


 つばを呑む。


 「ダンパーでは処理しきれなかった魔力を外に放出しようと様々な迂回路を作ろうとしたのよ。」


 「それはつまり魔力処理ができなくなってってこと?ダンパーが壊れたの?」


 「違うわ。ダンパーの故障は迂回路、新たな魔力線が出現したあとに起こったこと。でも、迂回路は新たな放出先を見つけることができなかった。その結果ダンパーにすべての魔力が行ってしまい、負荷によって壊れたと私は推測するわ。」


 (なるほど。確かにそれなら説明がつく。魔法回路がというよりは魔力が放出先を自ら探して様々な魔力線が出現したのなら結構どころかもう完全に辻褄が合う。)


 「とりあえず、今回の原因は多分僕が出した魔力量のせいだと思う。夜が明けたらローデリック先生に聞いてみよう。過去にこういう例があったかどうか。」


 「そうだわね。もしない場合はこれ大発見よ。」


 「そうだね。あ、じゃあ今回こういう結果が出たってのは伏せて聞こう。先生に横取りされたくないしね。」


 (これは正真正銘、二人で見つけた実験結果なはずだ。)


 「じゃあ次からは通常の魔力量で魔法回路を発動させてみよう。」


 エリシアが頷く。


 



 起きてから1時間が経過し夜が明けた。


 その間、銃の試作品を五個ほど作ってみた。大方土魔術で作りその中に昨日の魔法回路を組み込む感じだ。


 モデルはケベール銃とかそのあたりだ。


 (アリシアには不思議な顔をされたがこの世界に合ってると思う。)


 「やっと一段落したわね。」


 「五個も試作できて良かった。」

 

 ケベール銃をモチーフにした銃が五個ほど作業机の上に置いてある。それを見つめる。


 「今すぐにでも試したいところだけど、ヴァルがやると全部壊しちゃうし、私は魔力注げないし、先生とか他の生徒にやらせるのは秘密の観点から無理だし——。誰かできる人はいないかしら?」


 「あぁ。それなら一人いるよ。僕のすごい護衛兼使用人が。」


 「そんな人がいるの?今どこにいるの?できることなら連れてきなさい。」


 「わかったよ。一緒に来る?」


 「いや、遠慮しとくわ。来てくれるっていうならいいけど、あんまり気乗りしないわ。」


 「なんだ。たまには令嬢らしい一面もあるんだ。」


 「何よ。その言い草は。まるでいつもは令嬢っぽくないって言ってるみたいじゃないの!」


 「まぁ。なんでもいいよ。じゃあ連れて来るから。」


 そう言い残し作業室のドアを開け、シエルを呼びに行く。


 (シエルは確か俺の指示で冒険者稼業をやらせてるから、どこかの宿に泊まってるはずだ。いちいち当たるのはだるいな。)


 空にあるうっすらと赤い雲を見ながら城下町へと降りる。


 (それはそうとまだみんな寝静まってるよな。宿一件ずつ当たるのは馬鹿だよなぁ。)


 (あ、そうだ。)


 


 太陽が25度あたりのとき。


 (ここならシエルはいるだろう。)


 「こっちの依頼受けてみねーか?結構報酬高いぞ。」

 

 「次の方どうぞ〜。こちらへ。」


 (そう、冒険者ギルドだ。依頼を探しに来るシエルをここでとっ捕まえてやる。)


 椅子に座って待っていると一人の女が入ってくる。


 ——シエルだ。


 銀髪、ポニテ、すらっとした背筋。そして何よりメイド服ではない。体型がよく目立つ冒険者が着るような機能重視の服。


 席から立とうと腰に力を入れる。


 (あれ、なんか変だ。ギルドがおかしい。)


 さっきまであった冒険者の声が消え受付嬢が発する声だけになっている。


 その静まりの中シエルは依頼掲示板へとツカツカと歩く。


 その進路を事前に予想していたかのようにすべての冒険者が退く。まるでシエルを畏怖しているかのように。


 「おーい。シエル。」


 シエルが振り返る睨んだ目を向けたかと思えば急に表情を変え俺に近づいて来る。


 「おい...あのガキやばいぞ。あの死神に声をかけるなんて。」


 そんな声が小さく聞こえる。

 

 「ヴァル様。わざわざ私のところまでご足労いただきありがとうございます。で、何か要件は?」


 ギルド内部がどよめく。


 「あの死神がガキ相手に様呼び?なんだあのガキは?」


 「おいそこのお前。ヴァル様に向かってガキ呼ばわりとはなんのつもりだ?」


 剣の柄を握って構える。すぐにでも斬れるとでも言いたげな構えだ。


 「いいよ。シエル。それよりも要件が。」


 「そうでしたね。」


 「じゃああっちの席でちょっと話を。」


 シエルが俺に続いてくる。


 「あのガキなにもんだ?シエルって言ってるけどもしかして死神の名前か...?」


 円卓の椅子に座る。


 「ちょっとやっぱりここじゃちょっと話せないね。なんか空気がっていうか...」


 「あぁ。それなら。」


 ギルド内の全員を睨む。構うなと合図を送っているようだ。


 するとちょっとずつだが、先程の喧騒が戻った気がした。


 (シエル...ギルドのこの異様さ。何をしたんだろう?)


 「シエル...本題の前にだけど。何したの?このギルドで。」


 「あぁ。別に変わったことはありませんでしたよ。」


 「あぁ。そう。」


 (まぁ。あのシエルだ。大方検討はつく。)


 「まぁ。じゃあ本題に入るんだけど。パートナーでの魔道具開発が授業の課題が出たんだよね。それで試しに試作品を作ってみたんだけど魔力を注げる人がいないんだよね。」


 「ヴァル様ができるじゃないですか。」


 首を傾げる。


 「や、僕だと魔力が多すぎて回路を壊しちゃうからさ。」


 「なるほど。確かにそれは。パートナーの方は?」


 「やっぱり、まだ魔力注入はできないっぽい。」

 

 「で、私を当たったわけですか。」


 「まぁ。そうだね。」


 「もちろん。できますよ。というか使用人として当たり前ですよ。」


 ギルドの手がピタリと止まる。


 「っちょ。シエル。そういうのはやめてよ。」小声で囁く。


 「なぜですか。ヴァル様の使用人であることは私にとっては誇らしいことですよ?」


 「あぁー。もうともかく行くよ。」


 シエルの手を引いてギルドを出る。




 シエルを連れて作業室の扉を開ける。


 道中、会う人すべてに畏怖の眼差しを向けられ門番には敵対されたのは言うまでもないだろう。


 (全く、シエルは何をこの一週間でしたんだろうか...)


 ぎぎっと実験室のドアを開ける。


 そこには試作品を作っているエリシアがいた。


 「あぁ。やっと来た。待ってたわよ。ヴァルの使用人さん。」


 「こんにちは。ヴァル様の使用人兼護衛のシエルです。」


 「そういうことでシエルは信用できる。誰にもこの魔道具の情報は流さない。」


 「そう。なら、じゃあ早速試用始めましょう。」


 


 道中、銃についての


 そして機能爆発が起こったとこに行き的を立てる。


 「じゃあシエル。筒の先端を的と合わせるように構えて、構えられたら魔力を込めて。」


 「かしこまりました。」


 そうして右手だけを上げて照準を合わせる。


 「あ、シエル待って。それだと撃った後に肩が外れる。起きる反動を身体全体で受け止めるように構えて。」


 「わかりました。しかし、反動とはなんですか。」


 「なんか、撃った後に弾とは逆方向に働く力のことだよ。」


 実際の反動がわからないが、全身を使えと言われたのでどこかの軍人かのように構える。


 「では、発射いたします。」


 次の瞬間、パンともボンとも取れるような音が響く。


 的は貫通。後ろにあった壁が欠けていた。


 「やった~~。見た!?ヴァル!!あの弾丸。すごいわーー。銃って!!弾丸を目で追えないもの。」


 「成功したようで何よりです。ヴァル様、エリシア様。」


 「あぁ。ありがとう。ふたりとも協力してくれて。」


 「まぁ私の尽力があったからの出来栄えね。」


 もう何発かシエルに撃ってもらい、たまたまではないことを確認する。


 シエルの腕が良いからかはわからないが全て命中した。


 


 実験室に戻って少しばかり調整を行ってる最中。


 「そういえば、威力はすごいけど装填が少し大変よね。」


 「確かに。それは大変だし時間がかかるね。」


 何かひらめいたような仕草をする。


 「そうだ!弾丸も魔術で生成すればいいのよ!」




 そんなエリシアの発案から弾丸も生成できる銃制作。


 以外にも難航している。


 「うーん。弾丸のサイズ調整がちょっと難しいわね。」

 

 「だねー。それに土魔術で鉄を生成するのは結構魔力食うしね。そんなには使えないね。」


 「それがネックだわね。弾丸生成ありは軍事利用は厳しそうね。魔石もばかばか使えるもんじゃないし。」


 


 「とりあえず。一丁仕上げてみたわ。」


 「ここに魔力を流し込めば多分弾丸が生成されるわ。ちなみに使った魔法回路はこれね。」


 最後に弾丸を生成するための土魔術魔法陣、そこに至るまでに蓄積型のダンパーがある。一つの弾丸を生成して余った魔力で追加を作る。エコだ。


 「シエル、魔力は大丈夫。今回も撃ってみてほしいんだけど。」


 「まだ余力があります。構いませんよ。」


 


 構える。


 まず、一発。もとより込められていた弾が発射される。


 そして肝心の装填。


 シエルが触れる。


 少しの間の後、パンともボンともとれる音が響く。


 「お、ちゃんと撃ててるな。」


 「あ、でも何か見えた気がするわ。線みたいなものが一瞬。」


 「そうか?俺には特に前のやつと変わりない用に見えたけど。シエル念のためあと三発くらいできるか?」


 「はい。」


 {気のせいでしょうね。}


 銃声が屋外に響き渡る。時刻は昼過ぎだ。


 「良い出来栄えだな。シエル魔力はどうだ。」


 「そうですね。結構魔力持ってかれますね。常人なら装填は十回くらいしかできないでしょう。軍事利用なら弾丸生成なしか魔石を大量に使わないといけなくなりますね。」


 「そうか。ありがとうシエル。」

 

 「ありがとうシエルさん。」


 (銃はできた。エリシアが何か言っててのが少し気になるな。ひょっとしたら前の暴走と同じなのか?)


 「エリシア。明日の発表までにこの装填型を後三丁作ってくれないか?」


 「もー。私の魔力だって有限なのよ。まぁ作るけど。」

明日以降毎日できないかもです。

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